東京都は、中学受験する子の割合が
4割~5割に上るという区も珍しくない。

文京区のとある地域は公立中に進学する子が2割程度しかいない、
という学校もあるらしい。
息子の学校でも4割程度は受験組らしく、
もはや、中学受験組はマイノリティではない。

そういった現状を受けてか、
東京都は、小学校において高学年では算数の習熟度別クラス分け、

というのを行っていて、息子の学校も成績によって、
算数のクラス分けを行っている。

息子の学校には算数の専科の先生もいて、
その先生が授業を担当するときは、
中学受験で扱うような難問を題材にしてくれることもあって、
受験組の子供たちにとっては、とても楽しい授業らしい。

でも、習熟度別クラス分けで、上位クラスの授業で何を扱うかについては、
決まったカリキュラムがあるわけではないのか、
算数の専科の先生が上位クラスの授業を担当しない日もあって、
算数の専科の先生が授業をしない時は、
通常の教科書に則した授業なのだそうだ。

習熟度別クラス分け自体は、とても良い試みだな、と思う。
日々難解な算数の問題を解きまくっている受験組の子供たちにとって、
教科書に則した授業はあまりにも退屈だろうと思うから。
専科の先生がそのことを意識した授業を行ってくださることは
子供たちにとっても刺激的で楽しいに違いない。
 
でも、せっかく習熟度別クラス分けしても、
受験組ばかりを集めて教科書通りの授業をやるなら、
習熟度別クラス分けの意味がない気がする。
 
だって、そこにいる子は全員退屈しているってことを、
教師も生徒もひしひし感じながら、
双方にとってあまりメリットのない
45分を過ごすことになると思うから。
 
その辺、もっと割り切って、振り切って、
ガンガン、受験算数進めてくれちゃったらどうかな、と思ったりする。
場合によっては塾と公立校がタッグを組んでも面白いんじゃない??と思う。

東京都の教育委員会が都立の高校に大手予備校から講師を招いて
教育内容のコンサルティングを受けるという試みが数年前から行われているらしいけれど、
中学受験の選択肢として、国立や都立の中高一貫校等、私立以外の選択肢が増えている昨今、小学校においても、同じような取り組みをしてもいいのではないかと感じるのだ。

入学試験によって入学者を選抜している
都立、国立の中高一貫校も私立に負けず劣らず(むしろより難しい)、
難解な算数の問題を出題するのだから、
本来は塾に行かなくても、公立の小学校の授業の中で、
受験できる力をつけさせるだけの教育をする責任があるのではないかと思う。
 
そうでなければ、結局塾に行かせる経済的余裕のない家庭は
どんなに子供のポテンシャルが高くても
中学受験は断念せざるを得ないということになる可能性が高い。
 
せっかく、国立、都立と、お金の比較的かからない進学先も用意されているにもかかわらず・・・だ。
 
それに、小学校で中学受験対策をしてもらえたなら、
子供たちが寝不足に悩まされることもなくなるのに、とおもってしまう。
 
余談だが、私も実は私立の中高一貫校を卒業している。
田舎の私立なので、都内における中学受験の厳しさとは違って、
ゆるーい中学受験だったけれど、
子どもの多かった時代のことだから、それなりに競争率も高くて、
やっぱり塾で受験用の勉強をしなければ、合格できなかっただろうと思う。
 
私が中学受験をしたいと思ったのは、小5の時。
きっかけは、クラスがあまりにも荒れていたから。
 
クラスの一部の子が授業妨害を主導して、
授業中にお菓子やジュースを持ち込んで「宴会」と称して
机を勝手に組み替えてどんちゃん騒ぎをしたり、
始めは一部の子が主導していったけど、だんだんそれを面白がって加わる子が増えていき、加わらなかった私含め一部の子供たちはひどい嫌がらせを受けた。
授業は全く成立せず、
年度の途中で担任が変わった。
学習できる環境になかった。
 
定年間近と思われる年配の女性の担任が泣きながらクラスを
飛び出していったのも一度や二度じゃなくて、その光景は今でも鮮明に記憶に残っている。
 
私はそのクラスの子たちと同じ中学に行くことに大きな不安を覚え、
また、仲の良かった友人が中学受験の塾に通い始めたこともあって、
小5の時親に中学受験をしたいと頼んだ。
 
でも、おそらく経済的な理由もあってか
親は中学受験には否定的で、当初塾には通わせてもらえなかった。
 
ただ、前述のとおりクラスの荒れ方はひどくなる一方で、
一年間、懇願し続け、6年生に上がるころ、親が折れて、
塾に通わせてもらえることになった。
 
私は特別に勉強好きの子供ではなかったけれど、塾の勉強は楽しかった。
 
中学受験をさせるのは子供が可哀想、
というような話を大人たちが話しているのを耳にするにつけ、
勝手に可哀想な子扱いしないでほしいと思ったりした。
 
本当はもっと早くに塾に通いたかった、と今でも思うことがある。

経済的理由で中学受験を諦めてしまっている子供の中には、
機会さえ与えられればもっともっと、勉強したいという子はいると思う。

サッカーや野球などのスポーツ、音楽などの習い事を一生懸命頑張りたい、
と思う子供がいるように、勉強を頑張りたい、と思う子供だって実はいるのだ。
 
学びたい子供が、その意欲に見合った教育を受けられる世の中になるといいなあ、と思う。