猫の目ひなた(4) | ちびちゃ ちゃんのブログ

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 昭和の頃 不景気(せってい)時代の物語です。 オロナンミンC、ボンカレー、蚊取り線香の錆びた看板が飾られている。 

 景気対策で 雇用が作られ 中学卒業したてのダイアモンド達。 安い賃金を 文句に 東京への集団就職が 始まる。


 猫の目ひなたは ふんふぅ~ん とことこ 中学校の校門を出て 社宅に向かう途中。 裏路地で 待ち伏せ襲撃にあった。 

”きゃぁ。” ”にゃぁ。”


不景気の暴漢 ”この妖怪め。日本から出て行け。” ”おまえがいるから 街が不景気になるんだ。 また お店がつぶれた お前のせいだ。” はぁ。はぁ。 ぜいぜい。” ぽ~ん。

ひなたや ちびちゃちゃんに タマゴを投げつけてくる。


”なんで 俺だけが 不公平だ。” ”悪いのは世間の方だ。” ”きにいらねぇぜ。” はぁ。はぁ。


”ひ~んっ。” ひなたは 大きな通りを選んで 中学校の制服のまま 妖怪管理者に 出社。

からんからん。 じぃ~っ カチン。 タイムカードを入れている。 (着換えに帰りたいなぁ。 1時間はやいわよぉ。)

ひなた (ひどい目にあったよ。) 髪を気にしている。

ちびちゃちゃんは 玄関で 体についた タマゴを舐めている。

”あっ 泥田坊さん。 こんにちわ。” 

大きな声で ”会社の お風呂借りるよぉ。” 大フクロウが こくりと 頷く。 (よかった。)


 妖怪 泥田坊(どろたぼう)は 荒れ地の開墾作業を おえて報酬を 貰いに来てた。 大きなにっかぽっかを着こみ 厚めの報酬を 管理者から 受け取る。

”ひなた お前 地域の人と仲良くやれ。 地域の人の利益に繋がる会社でねえと 事業は存続できねえと 妖怪10則に 掲げてるでねえか。”

ひなた ”・・・。” (泥田坊さんの 指が5本に生えそろっている。昔にかけられた のろいがとけかかっているんだ。)

ひなた ”わたし わるくねぇもん。” ばたん。


 かぽ~ん。 ひなたと ちびちゃちゃんは お風呂に入る。 ピュアピュア りんす。 ちびちゃちゃんは 雌猫である。 ぴちゃぴちゃ。 お湯飲みに夢中。 気持ち良いわぁ。 

 

 洗濯機は まわり 高速自動乾燥機が 上についている。 ぶ~ん。 代わりに 大きめのシャツを お借りして 乾くまで 着ている。


 妖怪管理社にわ たくさんの 奇矯な依頼が舞い込む。 御葉書の宛名に 妖怪管理社行きと 書いたり・・ 郵便でーす。 人外と思(おぼ)しき 奇怪な事件は 国から 御仕事の依頼が 訪れる。


 ひなたは テーブルの椅子に座り お茶を置き きょう届いた お手紙を 読んでいる。

夜中にぼろを 纏った 坊さんが 杖を片手に 練り歩いている。 これはただの 見間違えかも。

虚無僧傘が 夜 渋谷をあるってた。 コスプレかも。

おいはぎが 近所で あらわれた。 山賊のたぐいね。


 最後のお手紙は・・ひなたさん はぁはぁ。 きゃあ。  ぼわっ。 お客さまように 出されている 灰皿の上で  葉書を 手で焚いた。 青い鬼火で燃やしてしまう。 これは 妖怪以外。人外? 動物外? 地獄変かもっ。 


 ひなたは 天井を向いて ため息。 ふぅ。 こないだTVに出た後から こういう手紙 増えたよなぁ。

”御近所のみんな 猫の目 ひなただよ。 妖怪体操はじまるよー。” ”出なければ よかったのかなぁ。”


”何かが 起きるから 何もしないは 怠けもの理屈。”

”だったら 勉強も 仕事も 飯も 遊びも 何もしないのが よかろう。”

”めんどくさくなって 何にもしなくなったから 今の不景気は起こったんだ。 ”


ひなた ”あれっ。ぬらりひょんさん。 いつの間に此処え。”


 猫の目ヒナタは 乾いた服に着替えて 髪をブラッシングしてる。


 不景気が長引くと 周りの人達の目が 険悪に変わっていったわ。 搾取(税金)が多くなり もめ事が 収まらなくなった。 東京オリンピック開催が決まって 仕事が出来始めてから みんな 目的が出来て 仕事に 取り組めるようになってきた。 けど 人権問題が 多くなってきた。


”でてけぇー。 でてけぇー。 ようかいでてけー。”

 小動物達が そりゃないよー 働いているじゃん。 税金いっぱい 払ってるじゃん。 搾取するだけかよー。 にゃんにゃらり にゃんにゃらり。 動物にも人権をー。 自由民権運動で 追い返していく。 

”ひええ。 やられたー。 ” ハッ。 ”慰謝料はらええ。” 


ばんっ。

ひなた ”ちゃばんだわ。”


 混沌の原因は ぐちにあり。 経済の混迷の原因は 空洞化に原因があると 解かっている。 簡単に  そめられてしまう。

”均等でないの。 おかしくないかい。”

ひなた ”争い事を起こす へんな しつもんだわ。” ばんっ。


 4本足テレビ(ブラウン官)が 明るくなり始まり ぶ~ん 白黒の 映像がぼやけて 映りだす。

帝都政府 ”職業訓練制度が始まります。 労働者層にも 賃金が上がるように しまーす。”

やっと まともな 底上げが 始まりましたわ。 


 ひなたは 袖に赤地の妖怪委管理社の腕章を通した。 すっと。

 わたし達の 仕事は 景気が良くなっていくときに 起きうる 妖怪に対する 人権問題(フランケンステイツ)を 未然に防ぐためにあります。


 島根にいた時 ひなたの前に 暴漢が来て・・

”言うこと聞かねえと お前が妖怪なこと 学校のみんなに ばらすぞ。”

”みんなと いられなくしてやる。” きゃぁぁあ。


 男は凍り付き 御近所の人達の通報で 警察が来て 男は確保される。

”なんで 人間様が捕まるんだ。” ”悪いのは妖怪の方だろ。”


ひなた ”妖怪と 人間との共存の為。 悪い事する 妖怪を 可憐に ジャッジメント。” すたっ。

”われら 妖怪管理社です。” 



つづく


元気に頑張ろう。


鳥山石燕 『今昔百鬼拾遺』

人間の手の5本指は2つの美徳と3つの悪徳を示し、瞋恚、貪婪、愚痴という3つの悪徳を知恵と慈悲の2つの美徳で抑えている。泥田坊(どろたぼう)の 指は3本と設定されているらしい。


瞋恚(しんい) 激しい怒り・憎しみ、または恨み

貪婪(たんらん) 他の人の財まで欲する(プラスの意味とマイナスの意味がある。)

愚痴(ぐち) 言ってもどうにもならないことを言って嘆く