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チビタコのブログ

自由に生きているチビタコが
つれづれなるままにパソコンにむかいて書いているブログです。

 本日の中学2年生の国語の授業は,先週に引き続き古文を扱いました。先週の授業では歴史的仮名遣いの復習がメインだったので,今週は本題の『枕草子』を深く掘り下げてみました。ここでも簡単にまとめておきます。


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【作品の紹介】

作者…清少納言

時代…平安時代

ジャンル…随筆

 →『方丈記』(鴨長明,鎌倉時代),『徒然草』(兼好法師,鎌倉時代)と並び,“三大随筆”の1つ。


【作中の用語】

■古文単語■

 ・あけぼの=「明け方」

 ・やうやう=「だんだんと」

 ・さらなり=「言うまでもない」(≒言ふべきにあらず)

 ・なほ=「(それでも)やはり」

 ・をかし=「趣がある」(≒あはれなり)

 ・あはれなり=「しみじみとしたものを感じさせる,趣がある」(≒をかし)

 ・いと=「たいそう,非常に,とても」

 ・はた=「(それも)また」

 ・つとめて=「早朝」

 ・さらでも=「そうでなくても」

 ・つきづきし=「似つかわしい」

 ・わろし=「好ましくない」

(補足)

「あけぼの(明け方)」と「つとめて(早朝)」の違い

 ・あけぼの…太陽が出る直前の時間帯(まだ薄暗い)

 ・つとめて…太陽が出てすぐの時間帯(もう明るい)

「をかし」と「あはれなり」の違い

 ・をかし…客観的・理知的(おもしろくて心が“わくわく”する)

 ・あはれなり…主観的・感情的(しみじみと心が“じーん”とする)
■歴史的仮名遣い■

 漢字の部分も含めて全てひらがなで答える問題が多い! 問題をきちんと読むこと!

 ・

 ・山ぎ→やまぎ

 ・な→な

 ・飛びちがたる→とびちがたる

 ・かし→かし

 ・さ→さ

 ・あれなり→あれなり

 ・言→い


【作品の現代語訳】

■古文を読むときのポイント■

省略された主語述語を補いながら読む

省略された助詞(「が」「は」「を」など)や名詞(「こと」「とき」など)などを補いながら読む

」と「」を入れ換えて読む

〈已然形(~)+ば〉は「~ので」「~すると」「~したところ」で訳す


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本文のまとめ

第1段落:テーマ「春」

 春はあけぼの()(をかし)。やうやう白くなりゆく山ぎは()、すこしあかりて、紫だちたる雲(→)ほそくたなびきたる(こと)()(をかし)。

春の“をかしポイント”=明け方

 ・だんだん白んでいく山際が少し明るくなって,紫がかった雲が細くたなびいている様子が○!


第2段落:テーマ「夏」

 夏は夜()(をかし)。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍(→)多く飛びちがひたる(こと)()(をかし)。また、ただ(蛍が)一つ二つなど、ほのかにうち光りて行く(こと)もをかし。雨など()降る(こと)もをかし。

夏の“をかしポイント”=夜

 ・月が出ている“明るい夜”は◎! 蛍が飛ぶ“暗い夜”も○!(「月(のころ)」⇔「闇」の対照関係)

 ・雨などが降っている夜も趣がある!


第3段落:テーマ「秋」

 秋は夕暮れ()(をかし)。夕日(→)さして山の端()いと近うなりたる(とき)に、烏(→)寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど()、飛びいそぐ(こと)さへあはれなり。まいて雁など(→)つらねたる(こと)が、いと小さく見ゆるはいとをかし。日()入り果てて、風の音()、虫の音など()、はた言ふべきにあらず。

秋の“をかしポイント”=夕暮れ

 ・夕日が山に沈みかけている時間帯…鳥(見えるもの)

  カラスが巣へ飛んで急ぐ様子や,ガンが連なって飛んでいるのが小さく見える様子

 ・太陽が沈んだ後…音(聞こえるもの)

  風の音や虫の音が聞こえる様子

 (前半の“視覚”⇔後半の“聴覚”の対照関係)

(補足)

「山ぎは(山際)」と「山の端」の違い

山ぎは&山の端

 ・山ぎは…山に近い部分=(「水際」が水に接する“陸地の”部分(≠水の部分)であるのと同じ)

 ・山の端…山の端っこの部分=

第4段落:テーマ「冬」

 冬はつとめて()(をかし)。雪(→)降りたる(こと)は言ふべきにもあらず、霜(→)いと白き(こと)も、またさらでもいと寒き(とき)に、火など()いそぎおこして、炭()もて(廊下を)渡る(こと)もいとつきづきし。昼になりて、(寒さが)ぬるくゆるびもていけ、火桶の火も白き灰がちになりてわろし。

冬の“をかしポイント”=つとめて

 ・雪が降っている早朝は◎!

 ・霜が真っ白な早朝も○!

 ・(霜がなくても)とても寒いときに,火を急いで起こして炭を持っていくのも似つかわしい(冬らしい)!(→昼は火桶の炭が白い灰になって×!)(「つとめて」⇔「昼」の対照関係)

 今日の小学6年生の国語の授業では,二字熟語の構成について復習と予習をしました。普段何気なく使っている言葉ですが,こうして分類してみるといろいろあって,案外おもしろいものです。小学校では4年生と6年生,中学校では2年生で扱う内容です。

 今回は,そんな二字熟語の構成についてまとめておきます。


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【二字熟語の構成】

 ①~⑤は絶対覚えておく! 余力があれば⑥~⑧も覚えておく。

■初級編■

同じ意味・似た意味を組み合わせたもの(○=□)

  救助〔救助〕  減少〔減少〕  増加〔増加〕  停止〔停止〕

  絵画〔絵画〕  河川〔河川〕  倉庫〔倉庫〕  道路〔道路〕

  飲食  改革  開始  過去  競争  指示  尊敬  存在  転回  表現

  暗黒  永久  温暖  寒冷  清潔  豊富  優秀  容易  

  金銭  岩石  憲法  自己  品物  樹木  種類  身体  森林  土地

反対の意味・対になる意味を組み合わせたもの(○⇔□)

  寒暖〔寒暖〕  苦楽〔苦楽〕  高低〔高低〕  損得〔損得〕

  左右〔左右〕  縦横〔縦横〕  男女〔男女〕  天地〔天地〕

  否応〔否応〕 ←「不承知・承知」のセットだから⑥ではない!
  往復  開閉  加減  集散  出欠  進退  生死  増減  断続  問答

  新旧  正誤  善悪  軽重  貧富  明暗  因果  公私  夫婦  利害
前の漢字の意味が後の漢字の意味を修飾しているもの(○→□)

 (連用修飾語になるもの)

  暗示〔暗示(暗に示す)〕  仮定〔仮定(仮に定める)〕

  再会〔再会(再び会う)〕  最高〔最高(最も高い)〕

  右折  左折  後退  前進  激減  激増  必至  必要  再現  再発

 (連体修飾語になるもの)

  新年〔新年(新しい年)〕  温泉〔温泉(温かい泉)〕  黒板〔黒板(黒い板)〕

  海底〔海底(海の底)〕  光線〔光線(光の線)〕  国旗〔国旗(国の旗)〕

  青空  温泉  高山  深海  親友  美人  丸顔  笑顔  晴天  変人  
  往路  初期  上空  上流  助言  室内  祖母  童話  身分  夜風

後の漢字の意味が前の漢字の目的(「…を」「…に」)を表しているもの(○←□)

  読書〔読書(書(書物)を読む)〕 ←「読むこと・書くこと」ではないので②(読⇔書)ではない

  挙手〔挙手(手を挙げる)〕  作文〔作文(文を作る)〕  納税〔納税(税を納める)〕

  帰国〔帰国(国に帰る)〕  着席〔着席(席に着く)〕  登山〔登山(山に登る)〕

  育児  営業  開幕  求職  決心  採光  写生  受信  預金  離陸
  在宅  出社  出勤  乗車  乗馬  進学  成人  登校  入室  入手
前の漢字の意味が主語,後の漢字の意味が述語になっているもの(○が□)

  国立〔国立てる〕  骨折〔骨折れる〕  神授〔神授ける〕

  人造〔人造る〕  日照〔日照る〕  雷鳴〔雷鳴る〕

  円高〔円高い〕  頭痛〔頭痛い〕

  官製  県立  公立  国営  市営  地震  私立  日没  民営  腹痛

■中級編■

前の漢字が後の漢字の意味を打ち消しているもの(前の漢字が「」「」「」「」など)

  常  情  力  正  足  

  害  休  料  着  定  

後の漢字が接尾語になっているもの(後の漢字が「」「」「」「」など)

  悪  緑  老  悪  属  毒

  断  平  歴  劇  知  病

長い熟語を省略させたもの

  学割〔引〕  国連〔合〕  特急〔行〕  入試〔験〕

  市議〔議会員〕  原発〔子力電所〕  農協〔同組合〕

■上級編■

前の漢字が接頭語になっているもの

  貴社  第一  御飯  芳名

故事成語などで本来の意味が変化したもの

  蛇足〔もとは「蛇の足」(③:蛇→足)だったが,今はもうその意味で使わない〕

  矛盾〔もとは「矛と盾」〕(②:矛⇔盾)だったが,今はもうその意味で使わない〕

■番外編■

同じ漢字を重ねたもの(後の漢字が「々」のもの)

  延々  刻々  堂々  人々


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 二字熟語の構成は,細かく分けるときりがありませんが,おおよそ上でまとめた“初級編”がよく問題に出てきます。いずれの場合も,漢字自体の意味(≒訓読み)が分かっていれば,すらすら解き進めることができるはずです。③は,連用修飾語と連体修飾語の2パターンがありますが,実際はそこまで細かく分類して出題されることはありません。また,③と⑤は読む順番が同じ(前の漢字→後の漢字)なので間違える生徒も少なくありません。修飾の関係(間に「が」が入らない)か主述の関係(間に「が」が入る)かが大きな違いです。

 この程度のことは見て即答もできるでしょうが,授業では,きちんと記号をメモしながら頭を整理するように指導しています。上で言うところの,青で示した「=」「⇔」「→」「←」「が」です。“中級編”であれば,⑥⑦は「○」で囲み,⑧は2字ともに「・(傍点)」を付けるようにしています。普段からこういうことをしておけば,問題慣れにもなると思いますし,選択肢が多くても整理ができます。この手の問題が苦手であれば,解き方を工夫するのも1つの手です。

 毎年必ず何人かが間違えるのが「読書」です。これを「読み書き」と見てしまうと,それは反対の意味・対の意味です。しかし,実際は「書物を読むこと」を指す熟語なので,反対の意味・対の意味ではないことが分かります。字面だけ見て判断しないで,きちんと“漢字の意味”で判断するようにしましょう。

 今日の中学2年生の授業から,国語が古典に入りました。と言っても,教科書にも軽くしか載っていないところなのですが。清少納言の『枕草子』です。

 古文は1年生のときに『竹取物語』を読んでいるので,半年+αぶりでしょうか。古文の基本・歴史的仮名遣いをみんな忘れていたので,今日はその復習をしました。ブログでも今日の授業の内容をまとめておきます。


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【歴史的仮名遣い】

■初級■

 昔の平仮名は現代の普通の平仮名に直す

「ゐ」→「い」

 まる(参る)→まる  ひきる(率いる)→ひきる  なか(田舎)→なか

「ゑ」→「え」

 ゆなし(故無し)→ゆなし  ゆん(所以)→ゆん  こず(梢)→こず

「を」→「お」

 かし→かし  くちし(口惜し)→くちし  のこ(男)→とこ

「ぢ」→「じ」

 もみ(紅葉)→もみ  みそ(三十路)→みそ  とう(地頭)→とう

「づ」→「ず」

 よろ(万)→よろ  いれも→いれも  ま→ま

「む」→「ん」(助動詞・助詞に含まれる「む」が主)

 やごとなし→やごとなし  いか(行かむ)→いか  しるら(知るらむ)→しるら

(注意)現代でも「を」「ぢ」「づ」で表す言葉は「を」「ぢ」「づ」のまま!

 火つけて(×→ひつけて)  ちく(縮く)(×→ちく)  名ける(×→なける)

■中級■

 語頭以外のハ行は現代の普通のワ行に直す

「は」→「わ」

 あれ→あれ  いく(曰く)→いく  おす→お

「ひ」→「い」〔「ひ」→「ゐ」→「い」〕

 こよ(今宵)→こよ  あらそ(争ひ)→あらそ  たがに(互ひに)→たがに  

「ふ」→「う」

 い(言う)→い  おも(思ふ)→おも  きの(昨日)→きの

「へ」→「え」〔「へ」→「ゑ」→「え」〕

 たま(給へ・賜へ)→たま  しろた(白妙)→しろた     

「ほ」→「お」〔「ほ」→「を」→「お」〕

 な→な  ものぐるしけれ(物狂ほしけれ)→ものぐるしけれ  いり(庵)→い

(注意1)語頭のハ行はそのまま!

 に→に〔語頭の「ひ」は「ひ」のまま(「い」にしない)〕

(注意2)現代でもハ行で表す言葉(助詞)はハ行のまま!

 夏夜(→×なつよる)  雲の中×→くものなか

■上級■

 昔の発音は現代の普通の発音に直す

「アう」→「オう」

    で来たる→できたる  弓のならば→ゆみのならば

「イう」→「イゅう」

 うつくて→うつくしゅて  あや→あやしゅ  (灸)→きゅ

「エう」→「イょう」

 (今日)→きょ〔←「ふ」も「う」に変える〕  ば(芭蕉)→ばしょ

「くわ」→「か」

 くわかく(過客)→かく  くわし(菓子)→し  くわじ(火事)→

「ぐわ」→「が」

 にんぐわつ(二月)→にんつ  ぐわいぶん(外聞)→いぶん  ぐわん(願)→

(注意)全てが全て,普通の発音にするわけではない!

 たまふ(給ふ)→たまう〔発音は「たもう」だが仮名遣いは「たまう」(←「ふ」を「う」に変えるだけ)〕

 さぶらふ(侍ふ)→さぶらう〔発音は「さぶろう」だが仮名遣いは「さぶろう」(←「ふ」を「う」に変えるだけ)〕

 活用を考えても,「たう」「さぶう」では,終止形・連体形だけ語幹が他と違うことになってしまう!

■番外編■

 撥音・拗音の「つ」・「や」「ゆ」「よ」などは,小さい「っ」・「ゃ」「ゅ」「ょ」などに変える

 ただし,教科書や問題集などでは,読みやすいように初めから小さく書かれてあるものもある


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 歴史的仮名遣いは今日,日常の生活でもう使われていないので,上のまとめで“上級編”としたものには特に取っつきにくいところがあります。現に子供たちの解答を見てみても,機械的に現代仮名遣いに直せる“初級編”や“中級編”と比べて,“上級編”の正答率は格段に低いです。注意して理解しておきましょう。


発音で見る昔の仮名

 現代仮名遣いを授業すると,たいてい「だったら,『ゐ』や『づ』なんか初めからいらなかった」という意見や感想が返ってきます。確かに,現代仮名遣いでは「ゐ」や「ゑ」は全く使いませんし,50音表にかろうじて残っている「ぢ」や「づ」も使う機会は二語複合(「鼻血(はなぢ)」「三日月(みかづき)」など)や同音の連呼(「縮(ちぢ)む」「続(つづ)く」など)の場合だけで,基本的にはほとんどありません。以前触れたローマ字でも,これらはもう完全にないもの(「い」「え」「じ」「ず」の重出)として扱われています。

 しかし,これらが堂々と使われていた時代では,きちんと使い分けられるだけの理由があったのです。それは,それぞれの発音の違いによるものです。ワ行がいい例です。現代では,ア行とワ行はア段(「あ」と「わ」)を除いて同じ発音です。違う文字である「お」と「を」も同じ「オ」と読まれます。ところが,当時はまだ/w/の音がしっかり発音されていたので,ワ行は「ワ・ウィ・ウ・ウェ・ウォ」と発せられていました。つまり,「い」と「ゐ(ウィ)」,「え」と「ゑ(ウェ)」,「お」と「を(ウォ)」は別の音を表していたのです。

 同じ文字でも,仮名は漢字と違って単独で意味を成すものではありません。例えば,「火」にはそれ自体にfireという意味がありますが,ひらがなの「ひ」はただの文字であり,それ自体に意味はありません。ただ「ヒ」の音を表すためだけの文字です。その点で,漢字のように意味を持つ文字を〈表語文字〉,仮名のように読みだけを表す文字を〈表音文字〉と呼びます。そのことからも,「い」と「ゐ」,「え」と「ゑ」,「お」と「を」は,それぞれが別々の字であると同時に,そもそも別々の音を表すものだったと判断できます。


 ただし,この発音というものは少々厄介で,実は時代時代で少しずつ変わりながら現代まで受け継がれてきました。

 今ではないヤ行のイ段とエ段ですが,かつてはこの音も日本語にありました。『万葉集』が作られた奈良時代ではヤ行エ段を表す万葉仮名(漢字)が使われており,少なくとも当時はまだ日本語に/je(イェ)/という音があったことが分かります。これは「え」や「ゑ」とは別の音です。ひらがなやカタカナが作られた平安時代になると,使われる仮名は減っていき,47字になりました。『いろは歌』に出てくる47字です。このとき,ヤ行は既に「や」「ゆ」「よ」の3文字だけになっており,イ段とエ段は「い」「え」と同じ音になっていたと考えられます。現に,「ヤ・ユ・ヨ」と「ア・ウ・オ」は明らかに別の音ですが,「イィ」と「イ」,「イェ」と「エ」はそれほど大差なく聞こえます。year(/jíər/)とear(/íər/)が,日本人にはどちらも同じ「イヤー」に聞こえるのと同じです。実際,英語でも/j/の脱落は多々起こります。いずれにせよ,こうして,ヤ行のイ段・エ段から徐々に子音/j/が抜け落ちていきました。

 また,サ行は今で言う「シ」の子音/ʃ/(記号:エッシュ)で発せられていたので,「さ・し・す・せ・そ」と書いて「シャ・シ・シュ・シェ・ショ」と読んでいました。他にも,タ行は全て/t/,ダ行は全て/d/で発せられていたので,それぞれ「タ・ティ・トゥ・テ・ト」「ダ・ディ・ドゥ・デ・ド」でしたし,ハ行は全て「ふ」の子音[ɸ](記号:フィー)で発せられていたので,「ファ・フィ・フ・フェ・フォ」でした。そして,既述の通り,ワ行は「ワ・ウィ・ウ・ウェ・ウォ」という音だったのです。

 以降も発音の変化は少しずつ続きます。ワ行とハ行です。英語の発音の練習で,manは初心者でも比較的発音しやすいですが,womanは少々難しいようです。それは,/w/の音が日本語にないことに起因します。これを聞いて,「いやいや,/w/は日本語の「ワ」の音にあるだろう」と思う人もいるかもしれませんが,日本語の/w/は厳密に言えば唇を軽く丸める程度で発せられる子音[ɰ](記号:右足つき逆さのM)であり,タコの口をまねするように両唇をしっかりと丸める英語の(そして平安時代の)/w/とは微妙に違う音なのです。しかし,実際にやってみると分かるように,/w/を発するには口に力が必要です。両唇をきちんと丸めないと発せられないからです。これは,ハ行の[ɸ]にも似たようなことが言えます。[ɸ]はろうそくの火を消すように口を丸めて息を吹き出す音です。口に力がかかります。おそらくはそういう理由だったからだろうと推察されますが,「を(ウォ)」から/w/が,「ほ(フォ)」から[ɸ]が徐々に落ちていきます。それが完全に抜け落ちたことでア行と変わらなくなってしまい,「を」と「ほ」は「お」と混同されるようになりました。当然のように,この現象はイ段とエ段にも波及し,「い」「ひ」「ゐ」,「え」「へ」「ゑ」もまた,それぞれが混同されるようになったのです。最終的には,語頭以外の「は」や「ふ」も,「わ」や「う」(ワ段)と同じ音で読まれるようになったとされています。

 同様の推測で,「む」も「ん」と読まれるようになったのだと考えています。いちいち両唇と閉じなければならない/m/と違い,「ん」は口が開いていても発することができるので楽です。もっとも,その次に来る音素によっては「ん」の発音も多少の変化はありますが。いずれにせよ,/m/も/n/も同じ「ン」に聞こえる日本人の耳なので,「む」と「ん」の混同はある種自然なことだと思います。現代でも,特に音楽の世界において,楽曲(歌詞)中の「ん」は,それ自体が全音符やタイなどで長音となる際,しばしば「む」(もっと言えば/m/さえ脱落させた「う」)で代用されて発せられるなど,その現象が見られます。

 このように,文字は同じでも,時代の時々でその発音は少しずつ変遷してきました。「ゐ」や「ゑ」が使われていたのも,当時はまだ日本語にも/w/の音があったからです。大切にしていきましょう。聞こえたままに書くという意味では,whiskeyも「ウィスキー」ではなく,あえて「ヰスキー」(「ヰ」は「ゐ」のカナカナ)と書き表すような場合もあります。もちろん,現代仮名遣いを守ったものではありませんが,「ヰスキー」の方がどこかかっこいいように思います。


 ちなみに,日本語のハ行と同じくhでつづられる音(/h/)を落として発音させるのは,英語だとアメリカ人の砕けた会話中におけるhimやherなどの場合(またいつか詳しく解説します)や,中国語だと上海のなまりなどでも見られる現象です。他言語でも同様の現象が起きているとは,おもしろいですね。


歴史的仮名遣いから現代仮名遣いへ

 前述の通り,仮名は表音文字の一種です。すなわち,意味ではなく音を表すための文字です。

 であるならば,「あ」は常に「ア」と読まれ,「い」はいつでも「イ」と読まれなければなりません。1つの文字に読み方が複数あっては,それはもはや表音文字として体を成していません。その逆で,1つの音に対してそれを表す仮名が複数あっても,それはそれで問題です。仮名が表音文字である以上,発音記号のように「1つの文字=1つの音」が“理想的”な状態です。その点で,「お」「ほ」「を」の混同は発音的に見れば納得ができても,表音的には大事件だったと言えます。


 さて,この“理想”を欠いた混同問題ですが,意外にも戦後になってようやく解決されます。日本の長い歴史においては,つい最近と言ってもよいくらいです。もちろん,それまでも幾度となく論争はありましたが,表音表記を基本とする「現代かなづかい」(1946年)によって,一旦は収拾がつきました。しかも,これが現行の「現代仮名遣い」に改訂されたのも,自身生後の1986年(当時4歳)ですから,ますます驚きを隠せません。

 現代仮名遣いはつい最近できたものなので,当然のことながらそれ以前は今とは違う仮名遣いでした。今ではCMやパンフレットでもアルファベット表記のロゴがポピュラーなので,実際に目にすることはほとんどありませんが,昔からある企業を見ると,ニッカヰスキーは「ウィ」でなく「ヰ」,ブリヂストンは「ジ」でなく「ヂ」です。キヤノン,富士フイルムなどは拗音を大きいままで表しています。ロゴが「キューピー」となっているキユーピーも,企業名は大きい「ユ」です。歴史上の人物では,平塚らいてうがいます。もっとも,仮名遣いは固有名詞にまで影響を与えるものではないので,仮に今新しく起業するとして,企業名は歴史的仮名遣いであっても構いません。


 歴史的仮名遣いは古代日本語の発音に基準を合わせているものなので,現代語に基準を合わせた現代版の仮名遣いを定めようというものが,「現代かなづかい」であり「現代仮名遣い」です。

 小中高と同じ学校に通う仲良し3人組ナオ・ナホ・ナヲがいます。小学校ではそれぞれ,ナオ・ナホ・ナヲと呼ばれていましたが,中学校に入るとナホがナオと呼ばれるようになり,高校に入るとナヲもナオと呼ばれるようになります。結果,3人とも同じ名前(愛称)になってしまいました。だったらもう,いっそのことナオ以外の2人も,ナオに改名してしまおう。乱暴な例えではありますが,この“改名”が「現代かなづかい」「現代仮名遣い」ですが,多少呼ばれ方が変わっても命名通りに名前を書こうというのが「歴史的仮名遣い」の考え方です。実際に聞こえる通りに書き表すわけですから,現代仮名遣いは歴史的仮名遣いより自然で楽に感じます。


 ところが,実際のところ,現代仮名遣いは完全な表音式表記というわけではありません。それは例えば,助詞「は(ワ)」「へ(エ)」「を(オ)」からも分かります。完全な表音式表記であれば,「僕は財布を交番へ届けた」は「僕わ財布お交番え届けた」でなければなりません。そうならなかったのは,それに対して少なくない抵抗があったからです。

 これらの助詞は昔から「は」「へ」「を」と書かれていましたが,それは長い年月を経て「ワ」「エ」「オ」と読まれるようになりました。「現代かなづかい」時代になると,これらも聞こえる通りに「わ」「え」「お」と表記してよいことになりました。ところが,助詞は漢字で書くことがない(つまり必ず現代かなづかいのルールが適応される)上に,使用頻度もかなり高いので,「僕は財布を交番へ届けた」で育った人たちが「僕わ財布お交番え届けた」に強い違和感を覚え,抵抗を始めます。そういったこともあり,「は」「へ」「を」は従来通り「は」「へ」「を」でよいという妥協に達したのです。


 現代仮名遣いは,現代の国語を現代の発音に基づいて書き表すものです。あくまでも仮名の遣い方であって,必ずしも発音記号のように“1:1対応”をさせるものではありません。これもまた,発音の変遷同様,仮名が大昔からずっと使われてきたからこそだと言えるでしょう。


現代語に見られる歴史的仮名遣いの名残

 小学生低学年が悩む仮名遣いに,「王様」は「おうさま」なのか「おおさま」なのか,「氷」は「こうり」なのか「こおり」なのかといった類のものがあります。大人でもときどき住所にフリガナを振るときなどに迷うことがあると思いますが,実はこれも歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの観点から説明されます。

 現代仮名遣いでは,ア段・イ段・ウ段の長音は,そのまま「あ」「い」「う」で表すと定められています。「お母(カー)さん」は「おかあさん」,「椎茸(シータケ)」は「しいたけ」,「通(ツー)じる」は「つうじる」です。

 オ段は少々複雑で,「お」ではなく「う」で表すのが原則です。つまり,「王様(オーサマ)」は「おおさま」ではなく「おうさま」が正しいということになります。これは,上の“上級編”でまとめた「アう→オう」の変換が当てはまるためです。「王(ワウ)」が「わう→(をう→)おう」になったと考えます。

 同じオ段でも,「氷」はもともと仮名で「こほり」でした。仮名レベルで見ると別物です。この場合,“中級編”の「ほ→お」が適用されるので,「氷」は「こうり」ではなく「こおり」が正解になります。同様に,「十(とお)」も歴史的仮名遣いでは「とを」だったので,“初級編”の「を→お」が当てはまります。だから,「とう」ではなく「とお」が正しい仮名遣いです。

 ちなみに,エ段の長音は「い」とするのが原則です。「時計(トケー)」は「とけい」,「平成(ヘーセー)」は「へいせい」となります。ただし,「お姉さん(おねえさん)」のような例外も一部にはあるので,注意が必要です。


 中学校2年生は国文法で形容詞の活用について学習しますが,一部の形容詞にも歴史的仮名遣いの名残が見られるものがあります。

 形容詞は終止形(言い切りの形)が必ず「い」であり,未然形から順に「かろ|かっ・く・(う)|い|い|けれ|○」と活用します。このとき,連用形の「う」については一般に書かれていない活用表も多いですが,学校でも「(う)」があるとして指導する先生もおられるようです。これについては〈ウ音便〉ということで説明されています。

 「白い」で見てみましょう。活用させてみると,「白かろ-う」「白かっ-た」「白けれ-ば」のように,いずれも語幹(白)は「しろ」で読まれます。ウ音便の「白-う」も同じです。多くの形容詞は通則通りです。一方,「高い」の場合はどうでしょうか。活用させてみると,「高かろ-う」「高かっ-た」「高けれ-ば」のように,語幹(高)はきちんと「たか」と読まれます。ところが,ウ音便になると「高-う(ございます)」のように,語幹は「たこ」になってしまいます。これは,“上級編”の「アう→オう」のルールに基づいたものです。同様に,「ありがたい」も「ありがた-う(ございます)」ではなく「ありがと-う(ございます)」となります。普段意識はしていませんが,実はこれも歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直した形なのです。なお,語幹が変わってしまうのは,語尾が「…アい」の形容詞(「幼い」「辛い」「長い」など)だけです。通常,語幹が変わる活用はありえませんが,これらの場合のみ特別に許容されています。

 今度は「苦しい」で見てみます。これを活用させてみると,「苦しかろ-う」「苦しかっ-た」「苦しけれ-ば」のように通常通りですが,ウ音便になると「苦し-う(ない)」ではなく「苦しゅ-う(ない)」となってしまいます。これもまた“上級編”の「イう→イゅう」のルールによるものです。このタイプの形容詞は,語尾が「…しい」(「美しい」「麗しい」など)のものだけで,ウ音便の連用形になっても語幹は変わりません。

 いずれにせよ,ウ音便の連用形は,一部に例外的な変化をすることがあります。ウ音便自体が活用表に載っていないのも,こういったところによるものがあるかもしれません。


誤用とされる現代仮名遣いとその将来

 形容詞のように活用ができる単語に,動詞があります。では,動詞も活用時に歴史的仮名遣いの名残を受けるものがあるのでしょうか。

 このテーマで必ず話題に上るのが「言う」です。正式には「いう」ですが,実際には「ゆう」と発音している人も,特に若い世代では少なくありません。これも歴史的仮名遣いのルールに当てはめてみると,「イう→イゅう」が適用できそうなので,「いう→いゅう」とすることができます。ただし,「いゅう」では不自然なので「ゆう」となるのでしょう。と,この時点で既に“勝手な修正”を加えているわけですから,「言う」を「ゆう」と読ませる理屈は,歴史的仮名遣いからは見出せません。

 現に,「言う」を「ゆう」と読ませることは,現代仮名遣いではタブーとされています。と言うのも,“「言う」は「ゆう」ではなく「いう」とつづる”とはっきり書かれているのです。「ゆう」は完全に誤用というわけですね。実際に活用をさせてみると一目瞭然です。「言う」は五段活用の動詞ですから,活用語尾は未然形から順に「わ・お|い・っ|う|う|え|え」です。そして,それぞれ「言わ(ない)」「言お(う)」「言い(ます)」「言っ(た)」「言う(。)」「言う(とき)」「言え(ば)」「言え(!)」と見たときに,これらを「いわ(ない)」のように「い」で読むことは大変自然です。しかしながら,「ゆわ(ない)」のように「ゆ」で読むと違和感があります。実際,せいぜい終止形と連体形だけといったところでしょう。この点からも,「言う」を「ゆう」と読ませることは誤りであると証明できます。

 ただし,近年は,それこそ“ほぼ表音式”の現代仮名遣いで育った世代がどんどん社会に出てきているので,「ゆわ(ない)」以下に抵抗を感じない人が増えている現状もあります。上で“特に若い世代”と言いましたが,言い換えればこの“現代仮名遣いで育った世代”です。現代語が他にも抱える問題の代表「ら抜き」や「い抜き」に違和感がないのもまた,主にこの世代だと言えるでしょう。これらの誤用は,確かに広く使われ,やや定着してきてはいますが,それでも誤用であることに変わりはありません。友達同士で使う分にはもちろん構いませんが,社会では控えましょう。(もっとも,「ゆう」に関しては,漢字でさえ書いてしまえば区別が付きませんが。)


 余談です。

 歴史的仮名遣いからは離れてしまいますが,この「言う」の読みとセットでよく質問を受けるのが,「行く」です。これにも「いく」と「ゆく」の両方の読み方があります。

 しかし,こちらは「言う」とまた別の話です。と言うのも,「いく」と「ゆく」は,どちらも昔から――それこそ古文の時代から――標準的に用いられてきたからです。古文の世界では,用例的には「ゆく」の方が多く,当時の辞書には「いく」の記載はありませんでした。このことから,かつては「ゆく」が正式であったのではないかという見方もできます。それが,時を経るにつれて「いく」も広く浸透していき,現代ではどちらも辞書に載っている正しい読みなのです。(個人的には,「ユ」の子音/j/が,それと割と発音の似ている/i/で発せられるようになり,語調を合わせるために本来の母音であった/u/の方が逆に削除されていったのではないかと推察しています。)

 ただし,「いく」は口語的で軽く砕けた,「ゆく」はやや文語的で固く改まった印象を与えます。正しい読みとは言え,用途に応じて使い分けた方がよさそうです(もっとも,これも漢字で書いてしまえば区別は付きませんが)。また,活用の観点から見ると,促音便の連用形「行った」に限り,「ゆった」は言うことができません。その点で,「いく」の方が「ゆく」よりも現代仮名遣いに近いと言えます。


 さて,歴史的仮名遣い・現代仮名遣いの違いはありますが,どちらも大昔から伝わる日本語です。両者は全然違うようで,その歴史は現代仮名遣いにも脈々と受け継がれています。そして,それは少しずつ変化を見せながら今日までたどり着いたものです。

 今日の現代仮名遣いにおいては,「ゆう」「ら抜き」「い抜き」は誤用とされています。しかし,これらを日常で使う世代が今後増えていけば,それはもう日本語の中で市民権を得たも同然です。かつての「む」が「ん」に変わって行ったように,そしてそれが当時の正式な日本語であったように,これらの“誤用”も,リアルタイムで変化を続ける仮名遣いの一過程に過ぎないのかもしれません。今後数百年もすれば,その時代の日本人にとって“正しい用法”となっているかもしれませんね。

 今日の小学6年生の授業では,漢字の読み,特に二字熟語の読みについて復習しました。中でも,いわゆる「重箱読み」「湯桶読み」は,そもそも漢字の音読みと訓読みが子供たちの中で定着できていないこともあり,正解率が低いように思いました。

 今回の記事では,漢字の読みについて確認してみます。


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【漢字の読み】

■単漢字■

音読み

 ・漢字が中国から日本に伝わったときの発音をもとにした読み方

  中国語読みなので,それだけでは意味が分からないものが多い

 ・漢字辞典ではカタカナで表記される

 ・二字以上で熟語になることが多い(が,単独でも用いることもある)

 ・単独で用いても送り仮名は付かない(ものが圧倒的に多い)

訓読み

 ・漢字の意味に合う日本語を当てはめた読み方

  日本語読みなので,それだけでも意味が分かる

 ・漢字辞典ではひらがなで表記される

 ・送り仮名が付くものも多い(全てに付くわけではない)

(注意)音読み・訓読みの両方の読み方がある漢字もあるが,片方しかない漢字もある!

  学…[音]ガク [訓]まな-ぶ

  教…[音]キョウ [訓]おし-える,おそ-わる

  読…[音]ドク,トク,トウ [訓]よ-む

  白…[音]ハク,ビャク [訓]しろ,しら,しろ-い

  駅…[音]エキ (訓読みなし)

  貝…[訓]かい (音読みなし)

■二字熟語■

訓読み〔訓読み+訓読み〕:和語

  青空(あお+ぞら)  裏庭(うら+にわ)  薬指(くすり+ゆび)  毛玉(け+だま)

  坂道(さか+みち)  花園(なは+ぞの)  丸太(まる+た)  横顔(よこ+がお)

音読み〔音読み+音読み〕:漢語

  羽毛(ウ+モウ)  横断(オウ+ダン)  丸薬(ガン+ヤク)  空白(クウ+ハク)

  洗顔(セン+ガン)  庭園(テイ+エン)  道路(ドウ+ロ)  宝玉(ホウ+ギョク)

重箱読み(ジュウばこ読み)…音読み+訓読み

  絵札(エ+ふだ)  気軽(キ+がる)  試合(シ+あい)  台所(ダイ+どころ)

  本音(ホン+ね)  毎年(マイ+とし)  役目(ヤク+め)  両側(リョウ+がわ)

湯桶読み(ゆトウ読み)…訓読み+音読み

  雨具(あま+グ)  影絵(かげ+エ)  手配(て+ハイ)  長年(なが+ネン)

  人質(ひと+ジチ)  身分(み+ブン)  夕飯(ゆう+ハン)  弱気(よわ+キ)

 (注意)1つの二字熟語でも,複数の読み(別々の意味)を持つものがある。

  色紙(いろ+がみ,シキ+シ)  大事(おお+ごと,ダイ+ジ)

  風車(かざ+ぐるま,フウ+シャ)  草原(くさ+はら,ソウ+ゲン)

  工場(コウ+ば,コウ+ジョウ)  人気(ひと+ケ,ニン+キ)

■熟字訓■

熟字訓…セットで特別な読み方をする二字熟語(全部で116個)

 ・熟字訓の読みと普通の読みの両方を持つものもある

 ・熟字訓の読みと普通の読みで意味が異なるものもある

 (小学校で習う熟字訓)

  明日(あす|ミョウ+ニチ)〔「あした」は正しい読みではあるが,正式な熟字訓ではない〕

  大人(おとな)  母さん(かあさん)  河原・川原(かわら)  昨日(きのう|サク+ジツ)

  今日(きょう|コン+ニチ)  果物(くだもの)  今朝(けさ|コン+チョウ)

  景色(けしき)  今年(ことし|コン+ネン)  清水(しみず|セイ+スイ,きよ+みず)

  上手(じょうず|うわ+て,かみ+て)  七夕(たなばた)  一日(ついたち|イチ+ニチ,ひと+ひ)

  手伝う(てつだう)  父さん(とうさん)  時計(とけい)  友達(ともだち)

  兄さん(にいさん)  姉さん(ねえさん)  博士(はかせ|ハク+シ)  二十日(はつか)

  一人(ひとり|イチ+ニン)  二人(ふたり|ニ+ニン)  二日(ふつか)

  下手(へた|した+て,しも+て)  部屋(へや)  迷子(まいご)  真面目(まじめ)

  真っ赤(まっか)  真っ青(まっさお)  眼鏡(めがね|ガン+キョウ)  八百屋(やおや)

 (中学校で習う熟字訓)

  小豆(あずき|ショウ+ズ)  硫黄(いおう)  意気地(いくじ)  田舎(いなか)

  海原(うなばら)  乳母(うば)  浮つく(うわつく)  笑顔(えがお)  叔父・伯父(おじ)

  乙女(おとめ)  叔母・伯母(おば)  お巡りさん(おまわりさん)  鍛冶(かじ)

  風邪(かぜ)  固唾(かたず)  仮名(かな)  為替(かわせ)  心地(ここち)

  早乙女(さおとめ)  差し支える(さしつかえる)  五月(さつき|ゴ+ガツ)

  早苗(さなえ)  五月雨(さみだれ)  時雨(しぐれ)  尻尾(しっぽ)  竹刀(しない)

  老舗(しにせ)  芝生(しばふ)  三味線(しゃみせん)  砂利(じゃり)  白髪(しらが)

  相撲(すもう)  草履(ぞうり)  太刀(たち)  立ち退く(たちのく)  足袋(たび)

  梅雨(つゆ|バイ+ウ)  凸凹(でこぼこ|オウ+トツ)  名残(なごり)  雪崩(なだれ)

  二十・二十歳(はたち)  波止場(はとば)  日和(ひより)  吹雪(ふぶき)

  土産(みやげ)  息子(むすこ)  紅葉(もみじ|コウ+ヨウ)  木綿(もめん)

  最寄り(もより)  大和(やまと)  弥生(やよい)  行方(ゆくえ)  若人(わこうど)

 (その他の熟字訓)

  海女・海士(あま)  息吹(いぶき)  浮気(うわき)  お神酒(おみき)  母屋・母家(おもや)

  神楽(かぐら)  河岸(かし)  蚊帳(かや)  玄人(くろうと)  居士(こじ)  雑魚(ざこ)

  桟敷(さじき)  数珠(じゅず)  素人(しろうと)  師走(しわす・しはす)

  数寄屋・数奇屋(すきや)  山車(だし)  稚児(ちご)  築山(つきやま)

  伝馬船(てんません)  投網(とあみ)  十重二十重(とえはたえ)  読経(どきょう)

  仲人(なこうど)  野良(のら)  祝詞(のりと)  猛者(もさ)  八百長(やおちょう)

  浴衣(ゆかた)  寄席(よせ)


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 漢字には〈音読み〉と〈訓読み〉の2通りの読み方があります。


 音読みは,漢字が中国から日本に伝わったときの発音をもとにした読み方です。そのため,それだけでは意味が分からないものが多いです。一方,訓読みは,漢字の意味に合う日本語を当てはめた読み方です。私たち日本人の言葉が読みになっているので,それだけでも意味が分かるものばかりです。

 例文で見てみましょう。「私(わたし)は夏(なつ)休(やす)みに海(うみ)で泳(およ)ぐつもりです」の場合,ここに出てくる漢字はすべて訓読みです。「わたし」も「なつ」も「やす-み」も「およ-ぐ」もそれだけで意味が分かりますからね。これがもし全て音読みであったら,「私(シ)は夏(カ)休(キュウ)みに海(カイ)で泳(ヨク)ぐつもりです」となってしまい,不自然です。これからも,「私」の読みは,「シ」が音読み,「わたし」が訓読みだと気づけます。

 しかし,“意味が分かる”というのは実に曖昧で,個人差も否めません。例えば,「本」は「ホン」が音読みで,「もと」が訓読みです。これが「夏」であれば,「カ」では意味が分からないので,「なつ」が訓読みであると判断できますが,「本」は「ホン」と聞いてbookの本が連想されてしまうので,これを訓読みと勘違いしてしまう人もいます。その上,「もと」自体がbookの本より馴染みがない分,こちらを音読みと勘違いしてしまう人さえいます。音読みを訓読みと思ってしまう漢字は他に,「絵」「駅」「賞」などがあります。いずれも,picture,station,praiseの意味が連想できてしまうので,訓読みだと思ってしまうようです。これらの漢字は,特に注意して覚えておく必要があります。


 漢字の音読みと訓読みは,送り仮名に注目して区別することもできます。というのも,音読みは本来中国語の発音だったため,そもそも日本語の一部である送り仮名と結びつくことがないわけです。その点で,「休(やす)み」や「泳(およ)ぐ」は,送り仮名があるということからも訓読みであると分かります。ただし,以前の記事でもまとめたように,一部の例外を除き,名詞には送り仮名を付けません。ですから,送り仮名がないからと言って,「私(わたし)」「夏(なつ)」を音読みだと判断してはいけません。送り仮名で判断できるものは,あくまでも名詞以外,特に動詞・形容詞・形容動詞に含まれる漢字に限ると理解しておいた方がよさそうです。

 ところで,音読みの漢字には本当に送り仮名が付かないのでしょうか。実は,そうとは言い切れないものもあります。サ行変格活用(サ変)の動詞「する」は,「運転(ウン+テン)」「営業(エイ+ギョウ)」「努力(ド+リョク)」などと合わさり,1つの動詞「運転する」「営業する」「努力する」となります。これらは,音読みの漢字の後にも送り仮名が付く一例です。これと同じことは,例えば「愛(アイ)する」「察(サッ)する」「達(タッ)する」などの単漢字にも言えます。また,古文でザ行のサ変だった「感ず」「信ず」「論ず」などは,現代語においてザ行上一段活用「感(カン)じる」「信(シン)じる」「論(ロン)じる」のようになっている(「…ずる」の形で用いられることもある)ので,こちらも同様の注意が必要です。


 ところで,漢字には〈常用漢字〉というものがあります。一般生活の中で漢字を使用する際の目安とされる漢字のことで,言ってしまえば“普通の漢字”です。もちろん,この中に含まれない漢字だからと言って,使ってはいけないというわけではありません。地名や人名で用いられる漢字の中には,常用漢字に含まれないものも多くあります。

 常用漢字の方針や採用字種の検討などは文化審議会がしており,その決定事項は内閣が発表しています。最近では,2010年(平成22年)に改定がなされ,現在は合計2,136字の漢字が常用漢字表にリストアップされています。なお,正式な名称ではありませんが,その中でも特に小学校6年間で習う1,006字を,一般に〈教育漢字〉と呼びます。

 さて,この常用漢字ですが,実はその音読みと訓読みについても定められています。俗に言う“常音”と“常訓”です。例えば,「経」という字には「ケイ,キョウ」という音読みと「た-つ」という訓読みがありますが,それ以外にも「経(へ)る」と読ませることがあります。つまり,常用以外の訓読みです。正しいか正しくないかで言えば,もちろん正しい漢字・読み方・送り仮名ですが,常訓でないという注意は必要かもしれません。

 常音・常訓でない読みの場合,国語辞典では特別な記号が付けられていることもありますし,漢字辞典では読みが区別して表記されていることや表記自体されていないこともあります。パソコンで変換する場合には,変換候補に「常用外」と親切に表示してくれるものもあります。いずれにせよ,常音・常訓でない読み方は,“一般的ではない・不適当である”とレッテルを貼られたものなので,場合によっては避けた方がよい場合もあるかもしれません。

 特別な読み方である熟字訓についても,常用漢字と同じように決められています。こちらも同じときに改定され,現在の116個は常用漢字表の付表にまとめられています。「明日」を「あした」ではなく「あす」と読ませるのも,常用漢字表の付表に「あした」とは記載されていないためです。これもまた,先の常音・常訓と同様に注意が必要です。他にも,「経緯」は「ケイ+イ」と読めば常音ですが,これを「いきさつ」と読ませる熟字訓は正式なものでありません。ただし,いずれも国語辞典にはその漢字の通りに掲載されている言葉ですので,使うのは自由です。ただ,常用ではないというだけのことです。

 また,上のまとめの中で,「白」「駅」「貝」はそのように音訓をまとめましたが,厳密には,他に「白(もう)す」「駅(うまや)」「貝(バイ)」と読むこともできます。しかし,これらは常音・常訓ではないので,漢字検定で問われることはあっても,教育現場では扱われません。そのため,「駅」は訓読みがない漢字,「貝」は音読みがない漢字と指導されています。

 今日の中学3年生の授業では,乗法公式と因数分解の復習をしました。生徒も若干飽きるくらいの量だったようです。乗法公式と因数分解はこれからの数学の基本になってくるところですからね。すらすら解けすぎて飽きるくらいの方がちょうどいいんです! とかね。

 今回は,次回の授業を見越して,文字式の利用のまとめ(中学3年生版)をしておきます。(2年生版はこちら。)


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【説明の流れ】

■パートA■…登場人物の説明

 ① 文字が整数であることに触れる(自然数であるときもある←どちらかは問題に必ず書いてある)

 ② 登場する整数を文字式で表す

■パートB■…計算

 ③ 問題にある通りの式を立てる(和=たし算,差=ひき算,積=かけ算,商=わり算)

 ④ できるところまで計算する→必要な形(最終形)に変形する

■パートC■…結論

 ⑤ 最終形の文字の部分((  )の中の式)が整数であることに触れる→最終形全体が何かを述べる

 ⑥ 結論を述べる(問題文を写すだけ)


・書き出しや接続詞などは,教科書や先生によって多少違います。気にしなくて構いません。

 全体を通して必要なことがきちんと書かれてあれば,全く問題ありません!


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問題・解答例

(※)スマホ版では指数(2乗や3乗)が大きく表示されるようなので,PC版で閲覧してください。

■偶数・奇数■

○基本問題1

2つの奇数の積は奇数になることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「2つの奇数」を2m+1,2n+1と考える。

 ・結論が「奇数である」だから,最後の式は2(  )+1になると予想する。

(証明)

 m,nを整数とすると,

 2つの奇数は,2m+1,2n+1と表される。

 これらの積は,

   (2m+1)(2n+1)

  =4mn+2m+2n+1

  =2(2mn+m+n)+1

 ここで,2mn+m+nは整数なので,2(2mn+m+n)+1は奇数である。

 よって,2つの奇数の積は奇数になる。


■連続する整数■

◎標準問題1

連続する2つの整数の2乗の差は,小さい方の数の2倍に1を加えた数に等しいことを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する2つの整数」をn,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「小さい方の数の2倍に1を加えた数」だから,最後の式は絶対に2n+1になると分かる。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する2つの整数は,n,n+1と表される。

 これらの2乗の差は,

   (n+1)2-n2  ←差は〈大きい数-小さい数〉の順

  =n2+2n+1-n2

  =2n+1

(ここで,nは小さい方の整数なので,2n+1はその2倍に1を加えた数である。)

 よって,連続する2つの整数の2乗の差は,小さい方の数の2倍に1を加えた数に等しい。


●応用問題1

連続する2つの整数の2乗の差は,その2数の和に等しいことを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する2つの整数」をn,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「その2数の和」だから,最後の式は絶対にn+(n+1)になると分かる。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する2つの整数は,n,n+1と表される。

 これらの2乗の差は,

   (n+1)2-n2  ←差は〈大きい数-小さい数〉の順!

  =n2+2n+1-n2

  =2n+1

  =n+(n+1)   ←最後の変形がポイント!

(ここで,n,n+1は連続する2つの整数なので,n+(n+1)はその2数の和である。)

 よって,連続する2つの整数の2乗の差は,その2数の和に等しい。


《考察》

このように,途中まで全く同じ計算であっても,結論が違えば最後の形も当然違ってくる

どの形で終わらなければならないか,必ず確認してから終わること! (`・ω・´)



◎標準問題2

連続する2つの整数では,2つの整数の積に大きい方の数を加えると,大きい方の数の平方になることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する2つの整数」をn,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「大きい方の数の平方」だから,最後の式は絶対に(n+1)2になると分かる。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する2つの整数は,n,n+1と表される。

 これらの積に大きい方の数を加えると,

   n(n+1)+(n+1)

  =n2+n+n+1

  =n2+2n+1

  =(n+1)2

(ここで,n+1は大きい方の整数なので,(n+1)2はその平方である。)

 よって,連続する2つの整数では,2つの整数の積に大きい方の数を加えると,大きい方の数の平方になる。


◎標準問題3

連続する2つの偶数の積に1をたした数は奇数の2乗になることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する2つの偶数」を2n,2n+2と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「奇数の2乗」だから,最後の式は{2(  )+1}2になると予想する。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する2つの偶数は,2n,2n+2と表される。

 これらの積に1を加えた数は,

   2n(2n+2)+1

  =4n2+4n+1

  =(2n+1)2  ←予想とは少し違うが,〈2×整数+1〉の形の2乗なので,これでOK!

 ここで,nは整数なので,(2n+1)2は奇数の2乗である。

 よって,連続する2つの偶数の積に1をたした数は奇数の2乗になる。


◎標準問題4

連続する2つの奇数の積に1をたした数は4の倍数になることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する2つの奇数」を2n-1,2n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「4の倍数」だから,最後の式は4(  )になると予想する。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する2つの奇数は,2n-1,2n+1と表される。

 これらの積に1を加えた数は,

   (2n-1)(2n+1)+1

  =4n2-1+1

  =4n2  ←(  )はないが,〈4×整数〉の形なので,これでOK!

 ここで,nは整数なので,4n2は奇数の2乗である。

 よって,連続する2つの奇数の積に1をたした数は4の倍数になる。

「連続する2つの奇数」を2n+1,2n+3とすると,最後の式は4(n2+2n+1)になる。因数分解の問題ではないので,4(n+1)2とする必要はない。


◎標準問題5

連続する2つの奇数の2乗の差は8の倍数になることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する2つの奇数」を2n-1,2n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「8の倍数」だから,最後の式は8(  )になると予想する。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する2つの奇数は,2n-1,2n+1と表される。

 これらの2乗の差は,

   (2n+1)2-(2n-1)2  ←差は〈大きい数-小さい数〉の順!

  =4n2+4n+1-(4n2-4n+1)

  =4n2+4n+1-4n2+4n-1

  =8n  ←(  )はないが,〈8×整数〉の形なので,これでOK!

 ここで,nは整数なので,8nは8の倍数である。

 よって,連続する2つの奇数の2乗の差は8の倍数になる。

「連続する2つの奇数」を2n+1,2n+3とすると,最後の式は8(n+1)になる。


●応用問題2

連続する3つの整数のそれぞれの2乗の和に1をたした数は,3の倍数になることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する3つの整数」をn-1,n,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「3の倍数」だから,最後の式は3(  )になると予想する。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する3つの整数は,n-1,n,n+1と表される。

 これらの2乗の和に1をたした数は,

   (n-1)2+n2+(n+1)2+1

  =n2-2n+1+n2+n2+2n+1+1

  =3n2+3

  =3(n2+1)

 ここで,n2+1は整数なので,3(n2+1)は3の倍数である。

 よって,連続する3つの整数のそれぞれの2乗の和に1をたした数は,3の倍数になる。

「連続する3つの整数」をn,n+1,n+2とすると,最後の式は3(n2+2n+2)になる。


●応用問題3

連続する3つの自然数のそれぞれの2乗の和から5をひくと,最小の数と最大の数の積の3倍になることを説明せよ。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する3つの自然数」をn,n+1,n+2と考える。連続するから,文字は1種類

 (n-1,n,n+1とすると,n=1のときにn-1が0(自然数ではない数)になってしまい,条件に合わなくなってしまうのでダメ! 0は正でも負でもないただの整数。)

 ・結論が「最小の数と最大の数の積の3倍」だから,最後の式は絶対に3n(n+2)になると分かる。

(証明)

 nを自然数とすると,

 連続する3つの自然数は,n,n+1,n+2と表される。

 これらの2乗の和から5をひくと,

   n2+(n+1)2+(n+2)2-5

  =n2+n2+2n+1+n2+4n+4-5

  =3n2+6n

  =3n(n+2)

(ここで,n,n+2は最小の数,最大の数なので,3n(n+2)はそれらの積の3倍である。)

 よって,連続する3つの自然数のそれぞれの2乗の和から5をひくと,最小の数と最大の数の積の3倍になる。


●応用問題4

連続する3つの整数で,最も大きい数の2乗から最も小さい数の2乗をひいた差は,真ん中の数の4倍に等しいことを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する3つの自然数」をn-1,n,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「真ん中の数の4倍」だから,最後の式は絶対に4nになると分かる。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する3つの整数は,n-1,n,n+1と表される。

 最も大きい数の2乗から最も小さい数の2乗をひいた差は,

   (n+1)2-(n-1)2  ←差は〈大きい数-小さい数〉の順!

  =n2+2n+1-(n2-2n+1)

  =n2+2n+1-n2+2n-1

  =4n

(ここで,nは真ん中の数なので,4nはその4倍である。)

 よって,連続する3つの整数で,最も大きい数の2乗から最も小さい数の2乗をひいた差は,真ん中の数の4倍に等しい。

「連続する3つの整数」をn,n+1,n+2とすると,最後の式は4(n+1)になる。


●応用問題5

連続する3つの整数では,中央の整数の2乗から他の2数の積をひくと1になる。このことを,中央の整数をnとして証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・文中に書いてあるので,nが整数である説明(流れの①)は書かなくてもよいと分かる。

 ・登場する「連続する3つの自然数」をn-1,n,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「1」だから,最後の式は絶対に1になると分かる。

(証明)

(nを整数とすると,)

 連続する3つの整数は,n-1,n,n+1と表される。

 中央の整数の2乗から他の2数の積をひくと,

   n2-(n-1)(n+1)

  =n2-(n2-1)

  =n2-n2+1

  =1

 よって,連続する3つの整数では,中央の整数の2乗から他の2数の積をひくと1になる。


●応用問題6

連続する3つの整数で,真ん中の数の3乗から真ん中の数をひいた差は,3つの数の積に等しいことを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

 ・登場する「連続する3つの自然数」をn-1,n,n+1と考える。連続するから,文字は1種類

 ・結論が「3つの数の積」だから,最後の式は絶対に(n-1)n(n+1)になると分かる。

(証明)

 nを整数とすると,

 連続する3つの整数は,n-1,n,n+1と表される。

 真ん中の数の3乗から真ん中の数をひいた差は,

   n3-n

  =n(n2-1)

  =n(n+1)(n-1)

  =(n-1)n(n+1)  ←n(n+1)(n-1)で終わってもよいが,連続順に並べる方がよい

(ここで,n-1,n,n+1は連続する3つの整数なので,(n-1)n(n+1)はそれらの積である。)

 よって,連続する3つの整数で,真ん中の数の3乗から真ん中の数をひいた差は,3つの数の積に等しい。

「連続する3つの整数」をn,n+1,n+2とすると,最後の式はn(n+1)(n+2)になる。


■余りのある数■

●応用問題7

7でわると2余る自然数と,7でわると5余る自然数の積を7でわると,3余ることを証明しなさい。

問題文を読んだ時点で,

  ・登場する「7でわると2余る自然数」と「7でわると5余る自然数」は,順に7m+2,7n+5と考える。連続も関係もない数だから,文字は2種類

 ・結論が「7でわると,3余る」だから,最後の式は7(  )+3になると予想する。

(証明)

 m,nを自然数とすると,

 7でわると2余る自然数は7m+2,7でわると5余る自然数は7n+5と表される。

 これらの積は,

   (7m+2)(7n+5)

  =49mn+35m+14n+10

  =49mn+35m+14n+7+3  ←余りの3を作るために,10を7と3に分ける

  =7(7mn+5m+2n+1)+3

 ここで,7mn+5m+2n+1は自然数なので,7(7mn+5m+2n+1)+3は7でわると3余る(自然)数である。

 よって,7でわると2余る自然数と,7でわると5余る自然数の積を7でわると,3余る。