静かなる旅人/ファビエンヌ・ヴェルディエ
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文化大革命が終わった1980年代に、中国の四川省にある美大に進んだフランス人女性書家の記録。


この頃は北京の美大に留学生として進む道はあったけれど、

四川省の美大にはなかったそう。(地域の人々も外国人を見るのが初めてというくらい)

そこへ単身留学するのだが、

留学先まで辿り着くまでにも危険な目に遭い、学びたいことを学ぶためにも度々危険な目に遭い、

当時の彼女の友達のように「なぜそんな危険をおかして中国にいるの?」と言いたくなってしまうような境遇のなか過ごす。


彼女はこの本で中国での大変な暮らしや市民が受けていた(そして進行形の)当局からの圧迫のことを伝えたかったわけではない。

ただ、文化大革命で弾圧を受けた分野に道を感じて学んでいたため、

「留学生」という当時としては危険な存在の彼女が、国が隠しておきたいであろう部分に触れることは困難を極めた。

作品を全て焼かれ、拷問を受け、仕事も出来ず不遇な10数年を過ごさざるを得なかった書家や画家との交流のなかでは(ファビエンヌ自身も厳しい監視を受けていた)、その部分に触れないことはできない。


しかし、辛いことが多いにも関わらず、読んでいるとどんどん中国という国に惹かれるのだ。


それは中国の計り知れない芸術に魅せられたファビエンヌの眼を通しているからかもしれないし、

日本にいる中では知ることの出来ない市民や素晴らしい師の姿が見えるからかもしれない。



書を志している人だけにとどまらず、何かを突き詰めたいと思っている人、中国が好きな人、苦手な人、大人、子ども、たくさんの人に読んでほしい。

表紙にあるファビエンヌの静かな表情と薄暗い森の風景から感じる「この本のなかでなにか大変なことが起こっている」という予感を裏切らない、素晴らしい本でした。