
本日のpatchは、ロックンロールpatch。
オースティンで毎年開催される大きな野外音楽フェス「ACL」の今年(9月開催)の出演者が公表された。
ヘッドライナーは、ラッパーのエミネム。
発表された出演者を見て、ティーンたちは歓喜な様子。
私がかろうじて世代現役感のあるのはグランジロックのパールジャムくらいだろうか。
まあ、私自身、野外ロックフェスの観客年令層でもないから、出演者を眺めて世代が変わったのを嘆くでもなく確認するのみだ。

オースティンは「ライブ音楽の都」と呼ばれる。
このACL野外フェスをはじめ、音楽の見本市SXSWなど、多くの人々がライブ音楽を楽しみにオースティンにやって来る。
地元オースティンのティーンたちにとっても、ACL野外フェスなどというイベントは、友達とつるんで楽しみのには格好のイベントだ。
ただし、オースティンのティーンがみんなACL等を毎年恒例で楽しむわけではない。
チケットだって3日通しチケットが2万円以上する。
ロック音楽に特に興味が無く、わざわざ行かない子だって大勢いる。
がしかし、オースティンは「ライブ音楽の都」なのだ。
そこに住んでいてライブ鑑賞経験が無いという事がひっかかるティーンも出てくる。
他州への大学進学が決まり、オースティンを去っていくことになる子たちなどに、そういった気持ちが沸き起こる。
ライブ音楽の都オースティンに住みながら、一度もライブを体験していない。ここを出て行く前に一度オースティンでライブを観に行っておくべきだ。
そう思いついた高校12年生の体験記を目にし、読んでみた。
A君は、兄に相談する。
「オースティンに住んでいるうちに一度は体験してみたい。どこか連れて行ってよ。」
まかせとけ!と言う兄がネットで調べてA君を連れてきたのはライブハウス「モホーク(モヒカン)」。
会場待ちの列に並び待ちながらA君は兄に尋ねる「で、どんなバンドがでるの?」
兄はスマホで探した動画を見せる「これかな」
動画は鮮明でなく、見ても良くわからない。

(イメージ図@モホーク)
そして会場に足を踏み入れたA君は、今まで見たことのない世界におののく。
観客のほとんどが革ジャンで顔ピアス。自分の普通の服装が場違い。
「なんだこいつ」と思われないように、被ってきた野球帽をそっと下げて顔を隠す。
やがてステージが始まると、観客がビール壜を投げ合い、壁に当たった壜が割れ散らばる。
A君は少しづつあとづさりし、壁際のイスの陰で身を小さくする。
会場内ではぐれていた兄をやっと見つけ、早々にライブハウスをあとにする。
兄「大丈夫だったか?いや~興味深いバンドだったな」
A君「こういうバンドだって知ってたの?」
兄「いや、売り切れでなく入れそうなのから適当に選んだ」
A君「今度行くときはちゃんとどんなバンドか調べておいてよね」
ああ、怖かった。それがA君の始めての「ライブ音楽の都オースティン体験」だった。

(イメージ図@モホーク)
もう一人は女子Bちゃん。
同じく、一度はSXSWを体験してから大学進学でオーステインを出て行こうと、友人たちを誘って出陣。
彼女たちが選んだのは、SXSWライブの中でも、チケット購入なしで見られる無料野外ライブ。
チケットがない分、入場が保障されないので早めに出かけ、開門と同時に会場入り。
早く入ったので、気がつくとステージにかなり近い場所に押し流されている。
かなりの人に囲まれて押されたりはするものの、かぶりつき状態で目当てにしてきたポップシンガーのステージを堪能。
楽しかったね~。高校最後の日々、友達と楽しく初の「ライブ音楽の都オースティン」を堪能。

(イメージ図@SXSWフリーコンサート)
人気のアーティスト、バンドのメンツは変わっていく。
自分の知っている、ファンだったアーティストたちが「年とったなあ~」と現役感をなくしていき、変わって出てくる今の時代のスターたち。
そうやって時代は変わっていく。
だが、始めてライブを見に出かける高校生たちの高揚感、異世界に驚き、ライブステージと観客のエネルギーに歓喜する。
そういった「初ライブ体験」の感覚は、今も昔も変わっていないように思う。
異世界に驚いたA君も、これから話のネタにできる面白い初ライブ体験であっただろうし、Bちゃんの楽しい思い出もオースティンでの高校生活の想い出の1ページとして残るはずだ。
時代の流れと世代の変化。
でもそこに、変わらないものもある。
面白い、高校生たちの「ライブの都」初体験レポートだった。