メディアのパワーの勝利、と言って良いのだろうか。
久しぶりにジャーナリズムが動かす市民パワーの例を見た。
と言っても、そんなに大きな出来事ではない。
舞台は、オースティンの一公立高校。
高校で教頭の椅子が空き、校長と9人の先生で面接を行った結果として採用が決まったA氏。
昨日、校長がその新教頭を紹介するメールを父母宛に送付。
その直前、地元新聞2社が共同でスクープ報道配信。
採用が決まったA氏は、他州の前任学校で生徒に不適切なテキストメールを送っていたという事で、刑事捜査に至り依願退職していたというのだ。
しかも、そのA氏と、面接をした校長は、その問題が起こった学校で一緒であり、事実は承知の上で「本人も軽率だったと後悔しているし、今後は問題ない」として採用に至ったという。
校長が新教頭が決まったメールを配信するより先に、メディアのニュースが出回った。
2社が共同でこの情報を扱っており、すでにどちらも当時の警察調書を入手済みだという。
SNSでは父母の、採用リコールを求めようという動きが発展。
学校側は公にするつもりはなかったであろう新任者の過去を巡って、父母のパワーが爆発。
一夜明けて今日、学校側は「地域の皆様のご意見は尊重すべきであり、学校のためにもA氏の採用予定は取り消しといたしました」という通知を配信。
スネに傷を持つ以前の同僚を呼び寄せようとした校長の目論見は実現せず、その経過をすっぱ抜かれたことで、彼もまた父母の不信感の対象に。
ココまでは、学校側が公にしないでおくはずだった事実をスクープしたメディアと、リコール意思表示に動いた民衆のパワーに拍手。
で、ここからの興味の対象は、メディアが絶妙のタイミングで情報を流したことだ。
校長が新任A氏を発表する時点で、当時の警察資料まで新聞社が入手しているという事は、採用のプロセス中に内部の誰かがリークしたとかそういう事だろうか。
そもそもなぜにA氏が採用に至ったのかは、学校側の壁の向こうで見えない。
アメリカの星の数ほどある高校の中の一つ。
その新任教頭の採用、不採用。
スクープ記事とは言っても、ローカルな小さな小さな出来事でしかないといえば、そうなのだが、記事の配信タイミングやその後の動きを目の当たりにし、ジャーナリズムの力を感じずにはいられない。
そしてその裏になにやらありそうなポリティクスの影。
興味深い、教頭採用白紙撤回劇だった。
いや、「だった」と言うには、裏に潜むもろもろが、まだ完結と言うわけではないのかも知れない。
♪I read the news today oh,boy