
本日のガラクタコレクションは、オースティンにある、テキサス州議事堂の点灯ライトのキーホルダー。州議事堂のお土産ショップで買ったもの。
日本の議会にて、時として行われる作戦に「牛歩
」作戦というのがある。投票する議員たちが、ゆっくりと進むことで時間稼ぎをする作戦だ。
昨夜、オースティンの州議事堂で、その牛歩に似た議事妨害作戦を一人でやってのけた女性議員がいる。中絶禁止法の可決を阻止するため、11時間以上にわたり、意見を述べ続けたウェンディ・デイビス上院議員がその人。
議決は、昨夜午前12時までに可決されなければ認められないというところ、デイビス議員は、その時間までに自分の意見陳述が終わらなければ無効となるのを狙い、11時間以上議事会場で意見を述べ続けた。
そのルールは、述べ続ける間、起立していなければならない、飲みものや食べ物を口にしてはいけない、トイレに行ってはいけない、述べている内容が議題についての意見からそれてはいけない・・・つまり、離し始めたらずっと立ちっぱなしの休憩なしで、話し続けなければアウト。
服装こそスーツながら、足元はスニーカー(MIZUNO製)で臨んだデイビス議員。休憩なしで話し続けるが、「内容が議題に対する意見陳述からブレている」という点で3度目の忠告を受けた時点(これもルール)で、発言権が消失し、終了。
この時点で、議決締め切りまで15分ほど。ここからは、議事堂に集結した彼女の側に同意するサポーターたちが騒ぎ出し、議事堂内は隣の人も会話も聞こえない状態になったとか。そしてデイビス議員の11時間の「牛歩」ならぬ「牛話」(と言ってもゆっくり話すわけではないが)とサポーターたちの騒ぎで、決議投票が終了したのは午前12時を過ぎてしまい、法案は可決ならず。

この行動で、一夜にして全米で名の知られるデイビス議員。
その生い立ちがまた、異色。
シングルマザーの母親の元、14才で働き始めて家計を助ける。19歳になった彼女も、また母親と同様にシングルマザーとなる。2つの仕事を掛け持ちして娘を育てている時、同僚が持ってきたコミカレのパラリーガル・コースのパンフを見て、これがよりよい暮らしへの切符になるはず、とコミカレに通い出す。2年後、4年制大学編入した彼女は、大学を主席で卒業し、奨学金と学生ローンでハーバード・ロー・スクールに入学、卒業。
今回の11時間しゃべりっぱなしも加え、映画に出来そうな人生。
このようなごり押し的議事妨害作戦をよしと思うのかはさておき、気力、体力の限界を掛けて決議案を阻止させるという挑戦には、拍手を送りたい。

歴史は夜作られる、というが、オースティンにあるテキサス州議会、昨夜のようにそこではこうしていくつもの歴史が作られてきたのだろう。
BGM「時代は変わる」ボブ・ディラン
Come senators, congressmen Please heed the call
note:息子本日、イタリア、ベニス。