
「良いレースができそうだ」
とにかく早くスタートしたくて仕方ない、そんなウズウズ感を味わったのが、2度目のニューヨークシティ・マラソンだった。
前年のニューヨークで初マラソンを走り、満足できない走りに終わったのをバネに1年トレーニングを積み、「今年は良い走りができる」と、早く結果が見たくてスタートが待ちきれなかった。
多分、同じような思いなのだろうか。
息子が、ジャズの地区オーディションに送っていく車内で言った。
「とにかく、早くオーディション演奏したい」
今日は、高校ジャズの地区オールスターバンドのオーディション。
このオーディションは、今日の地区オーディションで地区ジャズバンド入りメンバーが選出される。
地区バンドは2つ編成される。
サクソフォンの場合、トップ2名が地区第1バンド、次の2名が地区第2バンド入り。
更に第1バンド入りした2名は、次のエリアオーディションに進出できる。
初めて参加した昨年、息子はあと一つというところで地区バンド入りを逃した。
その悔しさを抱え1年。
今日の息子は「良い結果が出せそうだ」と言うのだ。
会場まで送っていき、私はいったん帰宅。
あとは幸運を祈るしかない。
夜も更けた午後9時頃、息子から電話が入った。
「迎えに来てくれる?」
結果を言わないのは、残念だったのか・・・
おそるおそる尋ねた。
「ああ、2番だった」
第2バンド入りしたという事?
「違うよ、全体で2番。あ、テナーでも3番だった」
「今日は良い演奏が出来そうだ」オーディション前のそんな息子の直感は正しかったらしい。
メインで挑んだアルトサックスは2位で、地区第1バンド入りと次のエリア(全テキサス州オールスタージャズバンド入りのオーディション)進出を獲得。
バックアップで受けたテナーサックスは3位で、第2バンドファーストチェア獲得。
(但し、両方でコンサート参加は出来ないので、テナーの方は辞退。)
昨年のリベンジは果たした。
嬉しかったのは、息子が良い結果だっただけではない。
学校のジャズバンドも地区バンドと同じ人数構成で、アルトサックスはセカンドチェアの息子と、1学年上のA君がファーストチェアの2人。
そのA君が、一月ほど前に息子に言ったそうだ。
「地区オーディションでは、俺とお前で第1バンドの席を独占しようぜ。あ、ただし俺は追い抜くなよ。」
それを聞いた時、嬉しくなった。
席争いは個人の戦いでもあるが、一緒に上を目指そうと切磋琢磨してくれる先輩の存在が嬉しい。
そして、その「2人で1、2フィニッシュ」が実現したのだ。
A君と息子の名前が、一番上に並ぶ結果発表。
A君が引っ張ってくれる頼もしい兄のように思えて、微笑んでしまう。
息子もA君のよいうな気の利いた先輩に成長していってくれれば良いのだが・・・
本日のピンズは「本日のTシャツ」に戻って、バークリー音楽校のTシャツ、アディダスバージョン。
BGM「音のない音」奥田民生
♪今日はジャズ