
世の中、完璧にすべてが平等というわけではない。
子供は「みんな平等に!公正に!」と教えられ育つにもかかわらず、不条理に不公正な場面にとまどう事は、現実に起こりうる。
そこで大人としてどう子供を納得させるか、頭が痛い。
「仕方ないじゃない、世の中不公平なもんなのよ」と諭してしまえば、実もふたもない。
「そうだよね」とため息混じりに納得するにはまだ若い子供たちに、どう説明すれば良いのか、悩む。
・・・と、そのような事を悩んだのは、自分の子供に対してではない。
息子より少し年下の、まだ物事はシロかクロでないと納得できないピュアな年齢の子供に対してである。
それはボーイスカウト隊での出来事。
今年、友達同士で入隊してきたA君とB君。
早くスカウトのランクを上がりたくてうずうずしている。上のランクにあがるのにはいくつかの項目をこなして隊の大人に承認サインをもらっていかなくてはならない。
早くこなしたい2人は、以前私に「ドラッグやお酒はダメ!というセミナー等イベントに参加し何を学んだか報告する」という項目を「これ、5年生の時に学校で学んだから承認して」と言ってきた。
ボーイスカウトは6年生からなので「スカウトになって以降に行ったものでないと承認できないから、来月開催されるこのイベントに参加してから来なさい。」と承認は却下した。
その場で2人は「一緒に行こう!」とお互いの親も交えて約束。
そのイベントが過ぎてから、まずA君がサインを貰い、他の項目もこなしてランクアップを果たした。
その翌週にB君がランクアップの審査を受ける、と聞いて、A君が親に不公平だと騒ぎ収集が付かなくなったとA君母がウチに相談の電話をしてきた。
事情を聞くと、私が進めたイベントに、結局B君はドタキャン。A君は一人で参加したのだそう。
つまりB君は参加しなかったので「参加する」が明記されている項目に対して承認される資格はまだないのを知りつつ、夫に「これ承認してください」とアプローチしたのだ。(私は簡単に承認を出さないと知り、厳しそうでない夫にトライしてきたと思われる。)
B君の、承認サインを貰う欄には、そのイベントのタイトルが記入されており、参加予定していたのを知っていた夫は、何を学んだかの確認の質問などをし、「イベントに参加したか」とは質問せずに承認サインをした。
これを知ったA君が爆発したのだ。
B君に「でも、君はイベントに行かなかったから、その項目満たさないじゃない?」と言ったら、B君は何も言わず、ニヤリと笑ったのだそうだ。
「僕はサインを貰うためにわざわざ参加したのに、誘ってもドタキャンして出かけなかったB君が同じ結果を得るのは不公平だ!」
もっともである。
さて、どう対処すれば良い?
いろいろ考えたあと、隊の他の大人にも相談したけれど、結局は「まあ、良くあることだし、承認を覆すほどのことでもない」と、まずはB君の承認はそのまま。
ここで大事なのは、どうA君に説明するか。
もちろん、夫が確認をしなかった事でこのような事態を招いたことは謝罪。
でも「誰だって勘違いはあるから仕方ない」とう説明では、せっかくのA君の公正な心を「現実の世の中、正直者がバカを見る」と教えるようなものになりかねない。
相手が自分の子供なら、まだ気が軽い。
よそ様の家庭の子供の方が、気を使う。
ここで、受講している「ティーンの子育てセミナー」が参考になった。
例えば兄弟がいる家庭。
兄と弟を、全く違わず平等に育てるというのは不可能なこと。
「お兄ちゃんはこうだったのに、僕は損」という場面で、勧めめられた例は、「まず、気持ちを理解していることの表明。そして、不公平は仕方ないけれど、あなたに損をさせたいとおもっているのではないと論理的に告げること。」
例えば、子供用携帯電話が2台同時契約だとお得だし、兄弟に持たせようと決めたとする。すると兄の方が「僕が弟の年には持たせてくれなかったのにズルい!」とゴネだしたとする。
「お得なんだから仕方ないじゃない」では、”大人の事情”で、子供は納得しない。
ここは「そうね、確かにそうだわね。いろいろな変化があるから2人を全く同じようにしてあげることにはならない事もあるのね。でもね、ママあなたのことは愛してるし、できる限り平等になるように頑張ってるからね。」
もちろん、コレは模範解答的な例。
これですんなり子供が納得するとは限らないわけだけど、あくまでクールに論理的に、がポイント。
今回のA君には、この説明ではなく、別の例の方が良いかも。
それは、「子供が激怒している論点をそらす」術。
不公平だ~!と騒いでいるA君に、「確かにそうだね。君は正しい。君のその公正さはすばらしい事。これからもその公正さを忘れずに、がんばっていこうね!気持ちを話してくれてありがとう。君は正しいよ。」
つまり、他人がズルして得したとしても、自分と比べる必要はない。B君の問題は切り離し、「B君が悪い」という焦点を「A君がすばらしい」に転換する。
正しい部分を褒めて認めてあげることで、大人はちゃんと誰がきちんと行動してるか見て認めているか知らせるメッセージを出すことで納得させるわけだ。
子育てに王道なし。
論理的は結構だけど、セミナーで学んだことをそのまま実践したところですんなり行く保障ももちろんない。
息子はこういう方法ですんなり行くような年齢でもないし、回りくどい事を言わなくてももう世の中がシロとクロだけでなはないのもわかってきてるし、いまいち「そんなんで上手くいくなら苦労はしねえ」と思いながら聴講していた部分もあるのだけれど、自分の子供だけでなく、よそ様の子供たちに接するにも、何かと参考にはなるし、参加しておいて損はなかったかな。
セミナー参加で一番の収穫(?)は「朝起きられない子供をどう言って起こせば良いか」「脱ぎちらかしら服をどうやって片付けさせれば良いか」などなど、親たちから出される「困っている例」の話を聞くと「うんうん、そうか~ウチだけじゃないわ」とほっとすること。
いやいや、イカンな~、低い次元で「ウチだけじゃないわ」で納得するの。
よそのお宅と、そんなことで平等に同じになってる必要はないっ!
本日のピンズは、缶バッジで、週末の「Race for the Cure」で入手した、ピンクリボンの支援を「約束します」な缶バッジ。