
ケネディ大統領が暗殺された後を引き継ぎ、63~69年、アメリカ合衆国大統領を務めたリンデン・ジョンソン。
その奥様 Lady Bird Johonsonさんが、先週の水曜に他界された。
こう言ってはなんだが、アメリカの元ファースト・レディ(大統領夫人をFirst Ladyと呼ぶ)だというだけだと、私には一つのニュース報道に過ぎない。が、レディ・バードさんはちょっと違う。
ジョンソン大統領はオースティンの出身で、大統領任期終了後はご夫婦でオースティンに戻られた。
レディ・バードさんは、オーステインにお住まいだった。
レディ・バードさんが残された功績の一つが、「Beautiful America」。
彼女は、ハイウェイを走ると道路沿いに所狭しと立ち並ぶ宣伝の大きな看板「ビルボード」が景観を損ねていると、夫が大統領就任中に、ハイウェイ沿いのビルボードを規制する法案を通させた。
そして、ビルボードの代わりに緑を植え、ハイウェイを走っても緑が楽しめるようにしたという。
確かに、先日延々走ったハイウェイは、ずっと木々が道路沿いに続いていた。
テキサスに戻ってからも、同じように、ハイウェイ沿いにワイルドフラワーを植えるプロジェクトを続けられたそうで、確かにオースティンをドライブすると、ブルーボネットの季節には綺麗な花があちこちで目にできる。
そして、オースティンの住人なら誰もが彼女の名前を知っているであろうという理由が、彼女が作ったワイルドフラワーの研究ガーデン「Lady Bird Wildflower Center」。
オースティンの観光スポットの一つなので、レディ・バードさんとワイルドフラワーは、掛詞のようにオースティンでは知られているのである。
この週末にお葬式が行われた。土曜日が貴賓ゲストを招いてのお葬式。

クリントン元大統領夫妻、ブッシュ大統領夫人、カーター元大統領夫妻、故レーガン元大統領夫人、フォード元大統領娘、ブッシュ(父)元大統領夫人、故ケネディ大統領娘・・
こういう顔ぶれが、我が家からそう遠くない場所にせいぞろいでお葬式に出席している。
といっても、一般人は入れないわけで、TVのローカル局が特別番組での中継放送を見る。
お葬式なのだが、面白い。というのも親族などがスピーチをするのだが、みんなスピーチ慣れしているのか、うまい。レディ・バードの思い出を、エピソードを交え面白く、そしてほろりとさせる部分をうまくミックスさせたスピーチをはっきりした口調で目線などもしっかり、こなしていく。
スピーチがユーモアたっぷりなので、新聞記事の写真のように、お葬式なのに、時に場内がどっと笑いに包まれたりするのだ。
この写真は、テキサス大学の卒業生であるレディ・バードのために、テキサス大学のバンドが演奏した際、参加者が手でテキサス大学のマスコット「ロングホーン」サインをした時のものであろう。
この写真の方々は、最前列だったので、後ろでみんながロングホーンをしてるのは見えなかったであろう。が、テキサスのブッシュ夫人だけはしっかりロングホーンを掲げている、の図。
後ろの紙面は、ワイルドフラワー「ブルーボネット」の花に囲まれたレディ・バード。
日曜日は、棺を載せた車がオースティンの中心部から、ジョンソン家の墓地のあるジョンソン・シティまでを走り、沿道で人々が見送る。沿道の人たちは、ワイルドフラワーの写真にTHANK YOUとかかれたプラカードなどを手にしている。
アメリカを、オースティンを緑と花で美しくしようというプロジェクトを成し遂げたレディ・バードさん。安らかにお休みを。
唯ひとつ気になった事がある。
レディ・バードの孫娘か娘のスピーチで「N-word」がどうどうと発せられた。ちょうど先週、テキサスの街で「黒人を蔑視するN-wordを使わせないように埋葬する」というイベントが行われたところである。
貴賓ゲストの前で、TV中継がお粉荒れている中で、別のマイルドな単語でなく、あの言葉を使う必要があったのか、かなり驚かされた。
本日のTシャツは、オースティンでのレディ・バードさんの代名詞「ワイルドフラワー」にちなんで、2000年の「ワイルドフラワー・トライアスロン」のTシャツ。