Let's not fall in love 第3話 | BIGBANG ジヨン中心の何でもありの妄想日記*..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .

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妄想小説あり、イラストあり、日常あり、ダイエットありの、何でもありの何でも日記っ♪(´ε` )

楽しみましょう*\(^o^)/*

おそらく、ほぼ小説w











不思議な女に会った。

初めて出会った時、彼女は俺を見つめてこう言った。

 『あなたは…誰なの?』
吸い込まれてしまいそうなほど澄んだ瞳で俺を見つめる彼女を見て俺の理性は意図も簡単に崩れ去った。
唇を重ね、彼女もそれに応えてくれたのを感じると全身が身震いしていた。
ただ純粋に名前も知らない目の前の彼女の事をもっと知りたかった。

だけど俺には大切な人がいる。
だからあの夜から何度も自分に言い聞かせた。
あのキスは単なる気まぐれで、ましろの笑顔に胸が高鳴るのも気のせいで、毎晩のように彼女のいるBARに顔を出すのはあの店の酒がうまいだけ。
ただ、それだけだ。
そう考えながら瞼を閉じるとそこに浮かぶのは笑顔でこちらを見つめているましろの姿だった。






* * * *





お洒落なアンティーク調の扉を開ければチリンと小粋な音がなり、俺が店に入ったのを知らせてくれる。

「いらっしゃいませ」
カウンターの奥には髭面の優しげな雰囲気を醸し出したマスターが柔らかい笑顔で迎えてくれた。

「また来てくれたんですね」
あれから毎日のように通う俺はもうこの店にとっても一端の常連客だと言えるだろう。

「いつものでいいですか?」
「あ、はい、お願いします」
俺はカウンターに座りながら店内に視線を配った。そんな様子を見ていたマスターがお酒を作りながら俺へと話しかけてきた。

「今日は休みですよ、ましろちゃん」
「あ…そうですか」
俺は心の内を悟られたような気がしてその恥ずかしさを隠すように目の前に置かれた琥珀色の液体をグッと一気に喉の奥へと流し込んだ。
焼けるような熱さを喉に感じながら、俺は次の一杯をマスターに注文した。

「同じやつを」
「かしこまりました」
そう言ってマスターはすぐに俺の酒を作り目の前のコースターの上に乗せた。
俺はこれを飲んだら帰ろうと思いグラスに手を伸ばした。

「ましろちゃん、いい子ですよね」
マスターの口から突拍子もなく出た言葉に俺は口に運ぼうとしていたグラスを再びカウンターの上に戻した。

「え?まぁ…そうですね」
マスターは俺の顔を見つめ微笑むだけで、その表情から先程の言葉の真意を探ろうとするも彼の顔からは何一つ感じる事はできなかった。

「彼女ね、いつも貴方の話をしていますよ。"今日はジヨンがああ言った、こう言った"って楽しそうにね」
「そうですか」
その"楽しそうに"という言葉と俺の事を俺の知らないところで、しかも笑って話をしている姿を想像すると自分の口角も自然と上がってしまい、それを隠すように口元に左手を置いた。

「私も彼女には幸せであってもらいたいんですよ、何せ自分の娘みたいなものですから」
マスターは先程と変わらず微笑んではいたが、その言葉に何か別の意味が含まれている様に感じた俺は率直に心に浮かんだ疑問を投げかけた。

「…どういう意味ですか?」
マスターは表情を変える事なく、穏やかな口調で答えた。

「言葉のままの意味ですよ。あぁ、そう言えばお連れ様はお元気にされてますか?」
「元気にしてますよ、またここに来たいって言ってました」
「そうですか、是非お待ちしてますとお伝え下さい」
そういう事かと俺は心の中で納得した。要は牽制された訳だ。
その後、いくつか他愛ない会話をして俺は店を出た。

その足でホテルの屋上へ向かうと思いがけない人物の姿を見つけた。

「ましろ?」
急に名前を呼ばれた彼女はビクッと肩を弾ませゆっくりとこちらに体を向けた。

「ジヨン?何してるの?」
「ましろこそ、今BARに行ったら休みだって」
俺がそう言うとましろはにこりと笑い、そこから見える煌びやかな街の灯へと視線を落とした。
だけど俺は見逃さなかった。
その笑顔の裏に一瞬、悲しみの色が浮かんだ事を。

「何か家に一人でいたらモヤモヤしちゃって、ここに来ればスッキリするかなぁって思ったんだけど…ジヨンに会っちゃった」
「何それ、会いたくなかったって事?」
俺がわざとらしく頬を膨らませて見せるとましろは俺の両頬をその小さな手で挟みギュッと力を込めた。
俺の口からは溜めていた空気が一気に漏れ出しブフッと間抜けな音を鳴らしていた。ましろはそれを聞いて子供の様に笑う。

「違う、嬉しかったって事」
その言葉を聞いた俺は全身に力を込めると胸の前でグッと腕を組んだ。そうでもしないと今すぐにでもこの手を伸ばして目の前にいるましろを抱きしめてしまいそうだったから。

「手が冷てぇよ、早く中戻れば?」
「うん、もう帰るよ。ジヨンにも会えたしね」
そう言って微笑むましろを見つめて俺は強く唇を噛んだ。


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ーやめてくれ…そんな風に笑わないでくれ。これ以上、俺を揺らさないでくれよ。

感情は俺の意思を超えて揺れ動く。
止めなければいけないのに…
こんな風に思ってしまうだけでもいけない事なのに…どうして…

俺は踵を返すようにましろに背を向けた。

「じゃあ俺、戻るわ」
そう言って俺は一度も振り返る事なく前だけを見つめホテルの部屋へと戻って行った。
屋上の入口のドアを開けた時、後ろの遠くで消え入りそうな彼女の声が聞こえた。

「じゃあね」
その声音に足が止まりそうになるのを必死に抑え、俺は扉を閉めて歩き出した。
だけど重々しく音を立てて閉まった扉の音は、夜のホテルと俺の心の中にいつまでも響き渡っていた。








Let’s not fall in love 第3話     fin.           





※画像はお借りしました。