心 晴れやかに「座長花形祭り」を楽しむ | 舞台は命のみなもと 桂のブログ

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三度の飯より生の舞台が好き。劇場で開幕を待つ間の高揚感がたまりません。心揺さぶる演者の芸に酔いしれながら客席に身を置く喜びを味わっています。舞台は演者とお客の魂と魂の交流。私の命のみなもとです。



笑いの二重構造を生み出した若き精鋭 (笑) 夢之丞さんのいただき画像です。

理由は本ブログをじっくりとお読みください。
そこそこ長文です。

私も、熱気むんむんの客席で、座布団1枚に体を固定し、3時間半の舞台を満喫しました。
これだけ楽しませてもらったら、観に来た甲斐があったというもの。

覚悟を持っておつき合いいただけたなら、ありがたき幸せにございます。ヽ(^。^)ノ



明治百年通りに鮮やかな幟はためく秋田県小坂町康楽館。

「下町かぶき組座長花形祭り」2日目の朝は突然の激しい雷雨に見舞われましたが、昼の部の開演前には爽やかな青空が顔を出し、満席のお客で賑わう康楽館での11回目の座長花形祭りが無事に開催されました。

待ちに待ったお芝居「姉妹」の役替えを4パターン全て制覇し、粋な男舞踊と艶やかな女形の競演も含め、泣いて笑って感動しての3時間半をたっぷりと楽しませてもらいました。

劇団を旗揚げして間もない頃、鈴蘭南座で「姉妹」の姉おみつ役を演じた松井誠さんに衝撃を受けて以来、32年間、変わらずに松井師匠を応援して来られた方のお話を聞いて、いつか観たいと願っていた今回のお芝居。

今年4月の八尾グランドホテル松井悠座長の公演に松井師匠がゲスト出演した折りに、ようやく観ることが叶いました。

苦労をいとわぬ姉おみつは実は拾い子、わがまま気ままな妹おそのがこしらえた借金の肩代わりに自らの意思で身売りします。男手ひとつで姉妹を育てた病に伏す父親が、妹おそのに改心せよと真実を告げる場面や、涙を流して姉にすがり付く妹の姿、愛しい娘の髪を拭ってやりながら、骨になっても必ず帰って来いと、ぼろ傘を渡す父の姿に、涙が止まらぬお芝居なのですが…

今回は、何といっても「座長花形祭り」です。
本筋に加え、個性豊かで芸達者な面々が、激アツ濃いキャラで会場に爆笑の渦を巻き起こします。

父親役を演じる松井師匠を除き、毎回、配役替えで楽しめたのですから4回観ても損はない。むしろ超ラッキーと申せましょう!!


美しくしおらしい姉を健気に演じた悠座長がハチャメチャなオカマ座員になって嫌がる寛太座長の太夫元にまとわりついたり、綺麗なお姉さんキャラの達座長が歌舞伎の隈取りメイクを施して、紋付袴に裃の座員に扮し、頭に紫帽子を乗せて生真面目に座っているのを見ただけで、ぐふっと漏れる笑いをこらえきれません。
いつもの如くひろし座長の三枚目は、もう可笑しいのなんの。

出演者の中で一番お若い夢之丞さんは、初日は我が儘な妹おその、浴衣姿のオカマ座員、2日目は米屋と、茂紀さん演じる女衒に2朱で買われてプンプン怒るおまめちゃんを演じました。

一番、出番が短い米屋の役で登場した際の夢之丞さんの、ゴールの見えないスリル満点(笑)のアドリブに、久しぶりにハラハラしながら腹を抱えて笑いました。

それをチラ見して苦笑する松井師匠の姿を見てお客が更に喜ぶという、笑いの二重構造を生み出すところは流石、夢之丞さんです!(^_^;) 

しっかりとやり遂げた、妹おそのちゃんの出来映えを喜ぶのを忘れたわけではありませんが、この方の三枚目の化粧や小芝居を見ていると、役作りというより素か天然か、はたまた憑依か?と言いたくなるほど板についてきました。

松井師匠の三枚目も私は好きでたまりません。お師匠さまのように美しさと面白さのギャップでお客がどよめく役者さんを目指せる要素は十分持っておられると楽しみに見ておりますが、いかがでしょうか。

さて、姉妹のおみつとおそのの配役は以下の通り。

初日昼の部   松井悠座長と夢之丞さん
初日夜の部   瞳ひろし座長と岬寛太座長

2日目昼の部   三峰達座長と瞳ひろし座長
2日目夜の部   星誠流座長と新月海斗さん

大爆笑の座員コンビは、私の記憶力に問題があり(^_^;)、初日の部の配役が非常に怪しいです。まちがっていたらごめんなさい!!
どなたか訂正して下さいませ。

初日昼の部     寛太座長?と海斗さん?
初日夜の部     誠流座長?と夢之丞さん

2日目昼の部   悠座長と高橋茂紀さん
2日目昼の部   ひろし座長と達座長

稽古時間が少ない中での役替えは大変だったでしょうが、座長花形祭りでしか観られない豪華キャストによるこのお芝居。配役が変わることによって登場人物の色合いや、絡みの変化を味わうことができてとても良かったです。

例えば、主役が降板して代役が演じた舞台が、新たに別物として生まれ変わる面白さみたいなものも伝わりました。

松井師匠のおみつを観ることはできませんでしたが、どんな風に役作りをされたのだろうと想像しながら、それぞれの演者さんの表情や所作や台詞や衣装の着こなしや弾けっぷりを、存分に楽しませてもらいました。

演者の皆様、スタッフの皆様、それからお世話になった観劇のお仲間の皆様、本当にありがとうございました。

〆の送り出しもやはりこのお方で。

地球を守る米屋も、かような美しき芸者に変身し、湛える笑みにお客も笑顔…ここにも笑顔の二重構造が発生します。良きかな、良きかな。

いよ~っ  夢之丞~!
(↑隈取り姿に紫帽子の達座長風に♪)