”ツアー女形” 私が舞台に通う理由 | 舞台は命のみなもと 桂のブログ

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三度の飯より生の舞台が好き。劇場で開幕を待つ間の高揚感がたまりません。心揺さぶる演者の芸に酔いしれながら客席に身を置く喜びを味わっています。舞台は演者とお客の魂と魂の交流。私の命のみなもとです。



カメラマン大島りんごさんによる「松井誠特別公演」舞踊ショーの素晴らしい写真に見入りながら、艶やかな舞台の感動に浸っています。

私にとって役者さんは、夢の世界に誘って喜びや幸せを届けてくれる人。

あくまでも舞台上の人。磨いた芸で心を揺さぶってくれる存在です。

鈴蘭南座の常連客だった頃も、役者さんと慣れ親しむことはなかったし、距離の近さに魅力を感じて大衆演劇に通っていたわけではありません。

真摯な思いで舞台に立ち、芸で魅了してくれる役者さんの舞台を観るため、また、地元の鈴蘭南座という古い芝居小屋や、一所懸命、頑張る劇団さんの客入りに貢献するため、夜な夜な通っていたのです。

鈴蘭南座が無くなってからは、すっかり足が遠退きました。

今は、松井師匠の舞台や文楽の公演に足を運び、真の芸の魅力に純粋に没頭する喜びに浸っています。

大衆演劇の世界を熟知しているわけでもなく、いわゆる「御贔屓」と呼ばれるお客さんが、何をもって御贔屓と呼ばれ、普通のお客やファンと差別化されるのかもよくわかりません。

一度、舞台でたくさんの着物やご祝儀を贈った方から「私ばかりたくさんつけてごめんなさいね 」と謝まられたことがありました。

私が祝儀に託すのは、素晴らしい芸に対する感謝の気持ちと心意気。額が少なかろうと恥じる気持ちなど全く、ありません。

「どうぞ、どうぞ 」と軽く返事をしましたが、他の方と張り合うつもりは無いし、役者さんの気を引きたくてご祝儀を贈ったわけではありませんから、なぜ、わざわざ謝りに来るんだろうと、不思議に思いました。

横並びで応援する決まりなどないし、役者さんとお近づきになりたいのなら、手段はいくらでもあるでしょう。それなりの覚悟があるなら、御贔屓なるポジションを目指すのもいいでしょう。

役者さんが自分の意に添わぬお客を御贔屓に選んだとて、文句を言う筋合いはないし、お客もまたご自分の選択基準に従って、応援する役者さんを選べばいいのです。

私はややこしいことに巻き込まれたくないし、無理もしないし、自分の性分に合わぬこともできません。

淡々と粛々と舞台に邁進すること。それが一番の喜びです。