こんにちは。千葉です。
久しぶりの雨模様、嬉しくはないけれどたまには降ってもらわないと、であります。それにしても寒気の吹き出し、世界各地で強烈な模様、こういう時は、この天気予報に注目 ですよ!(それは違う意味あいで、だろう)

さて、平日に一曲マーラーの作品を聴いていくシリーズ、本日は交響曲第四番。聴いたディスクは、こちら。

Gustav Mahler: Symphony No. 4; Alban Berg: 7 Ea.../Alban Berg
¥1,724
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昨年はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管との来日公演で久しぶりに実演を聴くことができたマエストロ、リッカルド・シャイーのコンセルトヘボウ管時代の名録音のひとつ、1999年の収録です。このディスクが発売された直後の2000年2月に、彼らの来日公演がありまして、そこでこの曲を聴くことができたこともあって、実に思い入れのある一枚です。

最近になって、というかライプツィヒとの活動がだんだんと見えてきたら、やたらと「シャイーいいよね!」みたいな評価を目にするようになってきたのですが、千葉はコンセルトヘボウ管との演奏も好きでしたよ!(某佐藤女史風の発言)さらにそれ以前の、ベルリン放送響やロンドン・シンフォニエッタなどとの意欲的な録音の数々も評価されていいと思っております。なんというか、ハイティンクの「もうかつてのコンセルトヘボウ管ではない」発言(大意)がマイナス・イメージを作ったのかな、なんて邪推をしております(笑)、あ、でもハイティンクに対する悪意はないですよ、えぇ。


この演奏は、比較的遅めのテンポで丁寧にていねいに語られる、とても美しいお話のようなものに感じられます。ボニーの輪郭のはっきりした声も無邪気に響いて、これまた曲にあっているように思えます。
演奏者によってはこの曲からも若干の刺を強く感じさせることもありますが、この演奏はむしろ静けさ、安らぎの感覚を強く受け取れるように思えて、千葉にしては珍しく「癒され」たくて発売から10年が経ったいまでもよく手に取る一枚です。


では、実演の話を少し。2000年2月、サントリーホールで彼らのこの曲の演奏を聴いたのです。独唱だけが録音と違い、ユリアーネ・バンゼでした。前半に演奏されたのは、マーラー編曲によるJ.S.バッハの管弦楽組曲(後にリリースされた、交響曲第三番にカップリングされた)。プログラムも好いし、演奏も素晴らしかった。音が消えてもなお、その余韻に耳を澄ませたその時間のことは忘れようもないのです。


録音したばかりということもあってか、細部まで非常に練れた演奏を聴かせてくれたことは、いろいろと当時の千葉の認識を覆してくれました。
「録音したばかり、ってことは演奏者はもう飽きてんじゃないの?」とか思っていたのが「よく練習されているわけだから、録音前後に来日公演で取り上げるのはむしろありがたいことだろう」に変わってしまったし。
「録音はかなり音をいじっているものだから、実演とは別だよね」とか言っていたのに「良いオーケストラは最良のサウンドを、その会場にあわせて創りだそうと努力するものだよ」に変わってしまったし。

挙句の果てに、「編成小さめで静かに終わるコンサートって、なんか盛り上がんないよね」とか思っていたなぁ…

もうね、すべて文末に(キリッ ってつけたいくらいですよ、お恥ずかしい…(爆笑)


っていえ、認識が変わったのは本当にありがたいことだったのです。お陰さまで、来日公演をプログラムで選ぶときに余計な智恵を使えるようになったし(結果、「選球眼」はよくなったと思う)、コンサートでは「自分が聴こうと思っていた音」ではなくて「今ここで響いている音」を聴くようになったし(そう心がけているし、かもしれない)。ただ、このディスクを聴くとね、どうしてもそのあたりの思い出がワンセットで出てきてしまうものだから(笑)。


とはいえ、思い出補正抜きでも美しい演奏であることは間違いありません。カップリングされたベルクの歌曲ともども、バーバラ・ボニーのファンにもぜひ聴いていただきたい一枚であるとの認識を、また新たにいたしました。


なお、現在は全集になっていますので、そっちがお買い得かもはしれないのだけれど、シャイーの録音はかなりカップリングに凝ったものが多いので、もし若干の予算と、一枚ずつ買い揃える手間を厭わないのならば、個別に購入されることをオススメいたしますです。


まだまだ話せることはあるのだけれど、以上でこのディスクの話はひとまずおしまい。それではこれにて、ごきげんよう。


Mahler: The Symphonies [Box Set]/Peter Mattei
¥8,773
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お買い得であることは認めよう。まぁ、一枚ずつ発売のたびに買い揃えた千葉には関係のないものでござんす。