こんにちは。千葉です。

台風一過、久しぶりの晴天ですね!って出勤時間帯にあの降りではねぇ・・・まぁ、日本はこういう気候なので仕方がない、と思うほかないのかな。


えっと、昨日も少し触れた、ちょうど読み終わった本です。


見たくない思想的現実を見る―共同取材/金子 勝
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経済学者の金子勝と社会学者の大澤真幸による共同取材、そして個別ルポルタージュと対談で構成される一冊です。本書は2001年から2002年にかけて「世界」に連載されたものと、一部の書下ろし(語りおろし)により構成されています。


沖縄、高齢者医療、過疎、韓国のナショナリズム、労働状況について、共同取材の上で提示される作者たちそれぞれのルポルタージュは、経済学と社会学の視点の違いを明確にするようでなかなか刺激的です。


金子氏は数多くの政策提言などでも知られる方ですから、現場を見ることでより強く認知された社会システムの不具合を如何正していくか、という問いを即座にたてて論を展開します。ある意味、非常にわかりやすいといっても良いかなと思いました。問題があり、それを是正するために用いられる知、とでも言いましょうか。


いっぽう、大澤氏はより思想的な問題として、目の前の問題の深層を探るような、より思索方面に論が進みます。それは時として空論に聞こえかねない危うさがあるようにも思えるのですけれど、なに最終的にはそれぞれが個別に考えるしかないのですから、貴重な知見と思いつつ拝読いたしました。


この二者のずれについては、最後に収められた対談で感じられることなのですが金子氏がより齟齬を感じていらっしゃるようでした。それはそうですね、若干ジャーナリスティックに見えてしまうほど、論を提示するタイミングを計っている金子氏の目には、実践的思想ではない大澤氏の論はいかにもスピードが足りないものだったことでしょう(原稿の上がり、という意味でもそうだったようですし・・・)。とはいえ、7~8年遅れの読者としては、論を提示するタイミングは問題になりませんので(笑)、素朴に学習させていただきました。


それにしても、話題が古びていない感があるのはいささか拙いと思いました。慧眼のお二人による問題提起なるがゆえ、であれば良いのですが・・・

我々が為すべきことは多いのだよワトスン君(声は現首相であってほしいものだ)、ということで。ではまた。