この度は、はからずも、

文化勲章という、大変名誉な

受章のお知らせがありましたので、

皆様にご報告いたします。


ここ数年、ちょっと体調をくずし、
さらに最近は、おめめの手術を受けたりして、
 現在は、連載中の仕事も、お休みを頂き、
グズグズと怠惰な日々を送って
いたところでしたので、
何だか申し訳ないやら、面映いやらで、
本当にびっくりしています。


さて、ワシが七十年近く、
描き続けてきた漫画、コミック。

 今でこそ世間の皆さんが、年齢を問わず、
当たり前のように楽しんで、読んでくださって
いますが、考えてみるとマンガは、昔はほぼ、
子どもだけが楽しむものでした。

 でも戦後、日本中が貧しく、テレビも
パソコンも携帯電話も無かった時代に
 われわれの先輩漫画家や編集者さんたちの
奮闘努力、そして現在も締め切りに追われて
頑張っている、多くの漫画家仲間たちが、
女性誌、青年誌、成人誌、等々ジャンルを
大きく広げ、深め、育て上げてくれました。

 今回は、その全ての漫画家たちの
創作活動に対して、ご評価をいただいたものと、
とても嬉しく思っております。


このような勲章を、今、漫画界を
代表してお預かりすることには、
大変な責任を感じているところですが、
今後、さらに日本の漫画界、コミック界が
世界中の人々に愛される「日本文化」の一つとして、
これからも、大きく発展していくための
一里塚として、謹んで承ろうと思います。

 また、言うまでもなく、漫画は
漫画家だけで作っているのではなく、
パートナーである原作者や出版社、編集者の方々、
 読者の手元に書籍を届けてくれる
全国の書店さんをはじめ、ご苦労をおかけした
製版、印刷、出版業界、全ての関係者の皆さんにも、
心から、感謝とお礼を申しあげたいと思います。

 このたびは本当にありがとう
ございました。
          
                 漫画家 ちばてつや