むかし、漫画家になったばかりのころ、
徹夜徹夜で何ヶ月も部屋にとじこもったために、
背骨の中に「赤いうじ虫」の幻想が現れ、
コワくて眠れなくて、とても悩んだ時期がありました。

それは、極端な運動不足からくる、
ノイローゼの一種だったんですね。

そんな時、講談社から新しく創刊された、
週刊少年マガジン誌に、「ちかいの魔球」という
野球マンガを連載することが決まりました。

いざ描こうと、張り切ったものの、
運動おんちのワタシがあまりにも野球のことを
知らないので、あきれた編集さんが
キャッチボールで、いろいろな変化球を投げて
教えてくれました。

十五分も投げ合ったでしょうか。
真冬の寒い2月だったのに、身体中から
汗と湯気が噴き出して・・・、
「赤い虫」の幻想がいっぺんに消滅したんです!

しかもその後は、まあ、よく眠れるし、
仕事ははかどるしと、良いことずくめ。

それから、野球が大好きになって、漫画家仲間の
松本零士さんや、望月三起也さんたちを誘って
作った、この「ホワイターズ」。

手塚治虫さんや石ノ森さん、赤塚不二夫さん、
水島新司さん、本宮ひろ志さんたちのチームに
ずいぶん相手をしてもらいました。

チームができてから、ほぼ六十年にもなるのに、
まだこうして続けているんです。

今年は肩をいためたので、ついつい、
お休みが多かったけど、
ひさしぶりにグラウンドに来るともうワクワク。

来期はジョーブ博士の手術でも受けて?
ひと頑張りするかな・・・っと。