ちばてつや賞は、今年早くも
コミックモーニングは65回、
ヤングマガジンは70回を迎えます。
間もなく、その授賞式・・・。
数日前から、受賞作品の講評をするために
新人たちの作品集を読み返していたら、
何となく、机の隅に気になる本があります。

銀箔に、黄色、青の原色と、
やや派手な装丁もあるけれど、
それだけではない、自らがなにか、
主張をしている感じです。
それは一週間ほど前に送られて来た
「SEIKI」という本でした。

二年前に急逝した、気鋭のマンガ家
土田世紀くんが残した、仕事ぶりや
生き様を偲ぶ、ムック本(小学館)。

思えば土田世紀君は、1986年の
ちば賞の大賞受賞作家だった。

その後、43歳の短い生涯でしたが、
鋭い、カミソリのようなタッチで
「未成年」、「編集王」や「俺節」などの
話題作を残し、平成11年度には、
メディア芸術祭賞優秀賞にも輝いています。

彼の描く『顔』は、超リアルで、
いかにも、生活感がにじみ出ていて、
見ていると、ちょっとつらくなる
ことも、しばしばです。
たぶん、命を削りながら、
自分の胸の内を描いてきたのでしょう。

その、本のオーラが
「俺のことを忘れねぇでくれ!」、と
叫んでいるようで、思わず手にとり、
ページを開いて、天才土田節の、鋭く
生々しい足跡をたどってしまった。

じつに惜しい作家を、亡くしました。