日産自動車のカルロス・ゴーン会長が、有価証券報告書に報酬を過少に記載した金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、11月19日に東京地検特捜部へ任意同行の後、逮捕、収監された。特捜部は日産自動車への捜索も始めた。
日産の広報担当者は「当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について」と題し、以下のようなコメントを出した。
「日産自動車株式会社は、内部通報を受けて、数か月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び代表取締役グレッグ・ケリーを巡る不正行為について内部調査を行ってまいりました。その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。そのほか、カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております。
当社は、これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です。
内部調査によって判明した重大な不正行為は、明らかに両名の取締役としての善管注意義務に違反するものでありますので、最高経営責任者において、カルロス・ゴーンの会長及び代表取締役の職を速やかに解くことを取締役会に提案いたします。また、グレッグ・ケリーについても、同様に、代表取締役の職を解くことを提案いたします。
このような事態に至り、株主の皆様をはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めて参る所存であります」。
午後10時から行われた会見で、西川廣人社長は、①開示された自らの報酬を少なくするため、実際の報酬より減額した金額を有価証券報告書に記載 ②目的を偽って、私的な目的で当社の投資資金を支出 ③私的な目的で当社の経費を支出 の大きく3つの重大な不正行為が社内調査で明らかになったこと。合わせて、22日(木)に招集する臨時取締役会において、両名の解任を提案する意向を明らかにした。
「今回の不正事案は、19年間の長きにわたる『ゴーン統治』の負の遺産と言わざるを得ない。将来的には、特定の個人に権限が集中する形から抜け出し、パートナーの皆さんとよりサステナブルな形になるよう、ガバナンスの見直しの機会としたい」と述べた。
言わずと知れた日産=ルノー=三菱自動車のアライアンスにおける最高権力者の不正行為だけに、今後の業界への影響が懸念される。