「自賠制度を考える会」(座長=福田弥夫・日本大学危機管理学部長)のシンポジウムおよび要望書の発表が、9月10日に行われた。

 平成29年度の交通事故死者数は3694名で、ピーク時の昭和45年の1万6765名に比べ、22%にまで減少した。その反面、介護を要する後遺障害および後遺障害等級の認定を受けた自賠責保険の支払い件数に基づく重度後遺障害者数は、平成28年1686名でほぼ横ばい。介護料受給資格者認定を受けている人数は、平成29年度4650名で累積増加しており、交通事故の被害者を救済するための財源は年々厳しくなっている。

 その財源だが、1955年に制定された「自動車損害賠償法」では、自動車ユーザー全員が負担する保険料による支え合いで交通事故の被害者を保障する仕組みを採用しており、自賠責保険には税金は一切投入されない。

 しかし、平成6年度および7年度に、財政事情の悪化を理由に、自賠責保険料の積立金2兆円のうち1兆1200億円が自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられた。その後、繰り戻されない状況が続いていた。

   こうした状況を踏まえ、「自賠制度を考える会」では「自賠責保険料は共助の精神で自動車ユーザーが収めたものであり、1日でも早く繰り戻すべきだ」(福田座長)と主張する。

   平成29年12月18日付けで、麻生太郎財務大臣と石井啓一国交省大臣の間で「平成30年度において、23億2030万円を自動車安全特別会計自動車事故対策勘定に繰り戻すこととする」という覚書が交わされた。しかし、平成30年度予算での繰り戻し分を差し引いても、まだ6159億円が返還されていない。

   そのため「自賠制度を考える会」は、今年度も「自動車安全特別会計から一般会計繰入金に係る要望書」を作成。「要望書」では、①6159億円を可能な限り早期に返還いただきたい。平成31年度予算における繰戻額については、長年積立金が大きく取り崩されてきた状況に鑑み、被害者などにニーズに応じた被害者救済事業などが安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう、少なくとも、積立金を取り崩すことなく被害者救済事業などが十分に実施できるよう増額していただきたい。②今後、交通事故の被害者が将来にわたって安心して生活することができ、被害からの回復が可能となるよう、また、交通事故による被害者の発生を少しでも減らすことができるよう、引き続き、被害者救済や事故防止対策のさらなる充実を図るとともに、これらの問題に関し、十分な説明責任を果たしていただきたい。の2点を求めた。

   シンポジウム終了後、福田座長らが麻生財務大臣、石井国交両大臣を訪ねて、要望書を手渡した。

   石井大臣は「着実に繰り戻しされるよう、財務省と協議したい」とコメントした。



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