「体調はどう?」

 

私が具合が悪いのを分かってて、最もその依存を緩めないのが先輩だった。

気遣いの言葉から入るのだが、それはまたすぐに悪口に移行する,お決まりのパターン。

 

(あー! 毎日毎日文句を聞かされ、頭がおかしくなりそう!!!)

 

 

あまりのストレスに、

会っても「今忙しいのですみません。」と逃げ、

LINEも全部徹底して未読無視していたら、ある日

 

「僕を避けてるでしょう?」

 

とあの独眼で言われ、ゾッとした。

 

 

そして私への注意が始まった。

 

「この前の集団コミュニケーション、黙って休んだでしょう?

    みんな君が来るのを待ってたんだ。ほんと大迷惑!

    休むのならちゃんと連絡しないと!」

 

 

(あの心の声が出てしまう人が怖くて、わざと歯医者の予約を入れて休んだんだった…

   でもそれは、ちゃんと職員さんにも言って休んだし、

   なんで先輩に怒られないといけないの!

 

 

 

 

夕方、1日の訓練が終わった後,一人で学習室で書き物をしていると、

作業療法士さん(男性)が私の手の状態をチェックしに来てくれた。

いつも2週間に一度くらい,手を動かしたり触ってチェックし、

今どんなリハビリが合っているか、指導してくれる。

 

そうやって療法士さんが私の右手を持っている時、

それを廊下から見た誰かが、驚いてるような空気を感じた。

(まさに 家政婦は見た、のような感じで。)

 

 

(先輩だ。)

 

 

そして、あらぬものでも見たかのような顔つきで、車椅子で慌てて逃げて

職員室に告げ口に行ったのだ。

(きっと聞き入れてもらえなかっただろうけど😓)

 

 

 

 

そんな数々のうざい行動を取っておきながら、

翌朝,また話しかけてきたので、遂にキレた。

 

 

「人の悪口なんか、もう聞きたくない!!

   もっと楽しい話しましょうよ。

   人生における唯一の無駄は、人の悪口を言う時間です!

   やめてください!!!」

 

 

こんな人を怒らせたら、どんなにいじめられる事かとも思ったが、

もう限界だった…

 

 

 

 

でも翌日,先輩はまた何も無かったように話しかけてきた。

 

「僕ね、こう見えて好き嫌いが多くてね、」

 

(え?この人何言ってるんだろ…)

 

 

「給食で茄子と椎茸が出た時の僕の背中を見てごらん?

(ゲッ!)ってショックを受けてるから。」

 

 

(あ! 私がキレた時 「もっと楽しい話しましょうよ。」って言ったから、

   この人は、楽しい話を考えてきたんだ!)

 

 

そして、一生懸命,大して面白く無い事を言って、

私を笑わそうとしてくる先輩を見て、

 

(やっぱりこの人は、いい人なんだ…)

 

と自然に笑顔になった。

 

その私の笑顔を見て、先輩もすごく嬉しそうな顔をした。

いい笑顔だった。

 

 

 

 

 

その夜,久し振りに落ち着いて先輩と話ができた。

 

 

「僕が一歳半の時に母親が胃癌で死んでね、その後,後妻が入ってきたんだ。

   僕が “お母さん” と呼ぶまでの何年かの間,彼女の酷い暴力が続いた。

   母の事は勿論覚えてない。彼女に写真まで全部捨てられてね…

   あっても首から上が破ってあったりで、母の顔も知らないんだ。」

 

 「しかも僕が中学から高校まで父が単身赴任になって、

    その間,継母と妹(父と継母の子)と3人で生活した。

    辛かったよ…」

 

 

やっと分かった!この人は寂しいだけなんだ!

 

私を見る目は全くいやらしくなく、男女の恋愛ではない事は今までも明らかだった。

彼の私への行動は、まるで母に依存する幼子のような感じ。

 

幼い頃からずっと寂しい思いをしてきた辛い経験が、

高次脳による障害で剥き出しとなり、今,私への強い依存となっているのか…

 

 

 

 

今では、また先輩が人の悪口を言い始めると、

 

「先輩、今悪魔みたいな顔してますよ〜😏」

 

と、冗談で言えるようになった。

 

 

 

みんな少なからず悪い事を考えたりするし、心の中で文句を言う時もある。

 

それを、隠せなくなってしまった本人達が

一番苦しんでいるんじゃないのか。

 

もっと周りの人がこの病気について理解し、

彼らが安心して社会復帰出来るような環境を作ってあげるべきでは無いのか。

すごく難しいとは思うが、そう思えてならない…

 

We are not plastic.