バンコクへの車中ではあんまり眠れなかった。
昨日の夜は消灯するまで隣席のタイ人に話しかけられ、やっと寝入ったところでトイレ休憩のパーキングで目が覚め、再びウトウトしている間に夜が明けて来たからだ。
チェンマイからバスで約10時間半、徐々にバスの車窓から密集した店舗や高い建物それに企業広告の看板が見えてきた。
バンコク(Bangkok、クルンテープ)に帰ってきたのだ。
7時40分、モーチットバスターミナル(Mo Chit Bus Terrminal)到着。
バンコクでの宿は、前日にアソーク(Asok)にあるホテルを予約していた。
バスターミナルからアソークへはチャトチャック公園(Chatuchak Park)を横切って地下鉄に乗れば早いのだが、痛めた肩で重い荷物を背負ってそこまで歩く気力が無かった。
しかし、バスターミナルではいかにも胡散臭いトゥクトゥクやタクシーの運転手が盛んに声を掛けてくるので、彼らから逃げるように先を歩く乗客の背中を追うと、市バスのターミナルに行き着いた。
ちょうど目の前に「アソーク」と書かれたバス停がある。
バンコクの殺人的な道路渋滞が脳裏に過ぎったが、ここで市バスに乗ればこれ以上歩かずに済む。
8時10分、市バス(136番)に乗り込む。
バンコクの市バスに乗ったのは15年か20年振りになるのか、ちょっと思い出せない。
市バスの運賃は6.5Bで、サタンは今ではお賽銭用の小銭以外とっくに無くなった通貨だと思い込んでいたが、未だ流通していることをバンコクで初めて知った。
しかしながら、やはり道路渋滞が凄まじくアソークに着くまでに1時間半かかってしまう。
9時45分、PREME HOSTELに到着。
ここは昔ユースホステルだったところで、もともとタイの友人から立地が良いと紹介してもらい、特に到着日や帰国日にはバンコクでの定宿としていたホテルだ。
経営者が変わったのか、改装されてホテルの名前が違っていたが、内部の作りは多少キレイになったくらいで以前とさほど変わらなかった。
一泊900Bの宿だが、10年前も800Bと高かったので宿泊費もそんなに変わっていない。
しかも、ここでは一泊だけの予約しかしてなかったので、フロントで二連泊したいと言ったら、二泊目はネットを通してないので800Bになった。
ちなみに現在バンコクは、ホテルの建設ラッシュが続いており、宿代の相場も軒並み上がって、ネットで探すとカオサン通りやドミトリーすらバカ高い金額になっていて戦々恐々とする。
一昔前のバックパッカーのように飛び込みで宿探しするのは古くて、タイでは今やネットで探す時代になったと聞くが、bookingドットコムなどはマージンを取るので、私が利用するような1000B以下の宿で登録しているところは少数派だ。
ネットでホテルを探しても、リーズナブルな良い宿が見つかるとは限らないのである。
ここではチェックインは13時以降とのことだったし、携帯も携帯wifiも電池がゼロになっていたので、フロントで充電しながら暫く休憩することにした。
ホテル前の屋台でチャーイェン(20B)を飲んで一服していると、日本人がホテルの宿代を聞きに来たので、情報交換のつもりで声を掛けた。
60代の年配旅行者二人で、一昔前のウエストポーチを装着しているのを見るとジュライホテル世代だろうか。
夜の盛り場の話をしきりに自慢していたので、きっとソイカウボーイ(Soi Cowboy)近くの根城を探していたのだろう。
夜行バスで到着したせいで疲れていたが、いつまでもホテルでゆっくりしていては勿体ないので観光に出掛けることにする。
隣りのユナイテッドオーバーシーズ銀行(UOB)にて2万円分両替(レートは0.282)し、ホテルの部屋の掃除が終わり早くにチェックインできたので、荷物を部屋に置いて外出する。
しかしながら、もうお昼に近く、国立博物館や王宮に行くには中途半端な時間だったので、バンカピ(Bang Kapi)にあると言うBNK48劇場(BNK48 The Campus)にグッズを買いに行くことにした。
劇場があるバンカピのザ・モール(the MALL)は不便な場所にあって、ネットでは市バスを乗り継いで行く情報を見つけたが、一日に二回も市バスに乗って道路渋滞にイライラしたくはなかった。
googleマップを見るとザ・モールは運河に接していたので、セーンセープ運河からボートを利用して行けば、交通渋滞には無縁である。
尚、運河のボートを利用してBNK劇場に行った詳細は、別稿に記しておいたので興味のある方はそちらもご参照ください。
11時50分、メトロ(MRT)のスクンビット(Sukhumvit)駅から一駅(16B)のペチャブリー(Petchaburi)駅まで行き、地上に出て運河の方に歩くと船着き場(Asok Pier)があったので、係員に確認してみるとザ・モールには運河のボートで行けるようだ。
12時15分、東行きの船が来たので乗り込み、船員が切符を切りに来たのでザ・モールへの運賃(17B)を払う。
ザ・モールへの船中で前後の乗客が、「チャープラン」や「AKB」と言ったBNK48に関する会話をしているのを耳にした。
この運河ボートは、ザ・モールに行く買い物客やBNK48のファンにとって、身近な交通手段になっているのかもしれない。
12時50分、所要35分でザ・モールの船着き場(The Mall Bangkapi Pier)に到着する。
船着き場はザ・モールの地下1階に接続しており、そのまま中に入ってエレベーターに乗り、劇場のある4階で降りると、ケンタッキー(KFC)があるのを目にして急に腹が減り、手軽に昼食(149B)にする。
13時20分、BNK劇場併設のショップに入るが、Tシャツ以外はあまり目ぼしいものが無く、店員に思い切って「DVDとか売ってないか?」と聞いたら、店の外で物販しているBNKのファンのところに連れて行ってくれた。
残念ながらDVDは売ってなかったが、そこの顔役のような人が「わざわざ遠い国から来てるのに申し訳ない」と言って、たまたま持っていた中古のDVDを譲っていただいた。
こちらもタダで貰う訳にはいかず100B渡したが、他にも彼の案内でファンが自主販売しているCDや写真などを買うことができ、感謝するしかなかった。
14時15分、ザ・モールの船着き場からアソーク行き(17B)の船に乗る。
14時50分、アソークピアに到着し、メトロに乗り換えてスクンビット駅(16B)に戻り、ホテルに帰って一時間ほど昼寝する。
16時30分、再びホテルから外出して、BTSアソーク駅からサイアム駅(30B)へ。
サイアム(Siam)に着くと、道路脇に喫煙場が設けられていて、日本と同様にタイ人も人目を忍んで喫煙しているのを目にし、自分もそこで一服することにした。
17時00分、マンゴタンゴ(MangoTango)にてマンゴのセット(190B)を食べる。
サイアムではお土産でも買おうと思って来たので、とりあえずチュラ大(Chulalongkorn University)のブックセンターへ行くも、買いたいと思える物がなく、MBKの交差点までブラブラ歩いてはみたが、昼間にBNK48のグッズを手に入れて満足したのか、それとも疲れて頭が回ってなかったせいか、結局マンゴを食べたくらいでホテルに引き返した。
後になって考えると、タイの音楽CDなど、デパートに行けば欲しいものも見つかったはずなのにせっかくの時間を無駄にしてしまった。
17時50分、BTSサナームキラーヘンチャート駅(National Stadium)からアソーク(33B)へ。
18時20分、アソークに帰り、今度は夕食をどこでとろうかとスクンビット通りをウロウロしていたら、これまでタイを旅行したどの観光地でも見たことない数の日本人とすれ違った。
出張で来ている人や駐在員も多いと思うが、バンコクにこれ程多くの日本人がいたことに驚いたし、なぜバンコクにだけ日本人が多いのか不思議でもあった。
19時40分、結局イサーン屋台でガイヤーン、コームーヤーン、ソムタム、カオニャオ(95B)をテイクアウトし、フルーツ屋台でスイカ(20B)を買ってホテルに帰る。
ちなみに、今回の旅ではフルーツを昔ながらのロッケン(ケースのついた大八車)で売っている屋台を見かけず、もう絶滅してしまったのかと思っていたら、バンコクで発見して少々ビックリした。
19時50分、ホテルに戻り、テイクアウトした夕食をとる。
こうしてタイ滞在二十五日目、バンコクでの夜は更けていったのでした。