今夜9時のバスでチェンマイを発つので、今日がチェンマイ最後の滞在日となる。
ところで、タイには「ドイステープ(Doi Suthep)に行かなければ、チェンマイに行ったとは言えない」という諺?があるらしい。
今日はシンチャイ先生から午前中に来て欲しいと言われていたのだが、ドイステープに行くので午後に変更したいと言ったら、「それなら仕方ないね」とあっさり了承してくれた。
それほどタイ人、特にコンムアン(チェンマイ人)にとってドイステープの存在感は絶大なのだ。
8時00分、朝からホテルを出て、洗濯屋(45B/1.5kg)に立ち寄り、バイク屋に行って今日一日のバイクレンタル延長をお願いする。
その後、旧市街の濠端からHuaiKaew通りを西に進んでドイステープに向かう。
今朝は曇り空で、山を登る道はとても肌寒かった。
8時45分、ドイステープ途中の展望台にて、屋台のサイウア(40B)を朝食に食べる。
9時10分、ワットプラタートドイステープ(Wat Phra That Doi Suthep)参拝(外国人料金30B)
ワットプラタートドイステープの創建に関する伝説は幾つかあるが、有名なものに14世紀に建てられた仏塔を起源とするものがある。この仏塔は、まずスコータイのスマナテラ(Sumanathera)という僧侶が夢のお告げによって古い寺院跡から仏舎利を発見することに始まる。その話を伝え聞いたラーンナー国王がその僧侶と共に舎利をチェンマイに勧請し、舎利を納めるに相応しい場所を探すため白象の上に載せて放したところ、白象はドイステープを登り、山頂で息絶えた。その場所に仏塔を建てて仏舎利を祀ったのが、この寺の由来だとしている。
10時00分、スコールがきたためにドイステープ階段下の骨董屋で雨宿り。
外では割と激しい雨が降っているようでトタン屋根が大きな音を立てていた。
買い物するつもりはなかったが、店主がこちらの無理な値引きに食いついてきて、逆にこちらが根負けして鈴と銀の小箱を買った。
店を出たらさっきまでの激しい雨が綺麗に上がっていた。
12時までにホテルに戻らないといけないので、早めに山を下りなければならない。
11時00分、お昼にはまだ早かったが、キヤットオーチャー(Kiyat Ohchaa、發清)にて軽めの昼食にする。
カオマンガイ(小60B)
11時30分、チェックアウトの時間が12時までなので、一旦ホテルに帰って荷物をまとめる。
このホテルには、到着した時はあまりの変わり様にガッカリもしたが、同じところに一週間もいるとそんな気分はどこかに去って、懐かしい思いが上回り、それなりに愛着も湧いていた。
チェンマイを発つ日、タイを発つ日、どちらも最後の日に荷物をまとめて空っぽになった部屋を見ると、無性に寂しさと言うか切なさが込み上げてくる。
12時00分、ホテルをチェックアウトし、荷物をフロントに預け、喉が渇いたのでホテルの近くの屋台でドラゴンフルーツシェイク(30B)を飲む。
13時00分、シンチャイ先生の治療院へマッサージ(600B)に行く。
今は上腕の筋肉が痛く、腕を上に伸ばすことはできるが、後ろに開くようにすると五十肩のように痛みが走って動かせなかった。
ちょうど奥さんが用事で出かけるため玄関にいたので、昨日落馬したことを告げると、ラッキーなことに今日は最初にシンチャイ先生自ら診てもらえることになった。
シンチャイ先生のマッサージは奥さんと違い、とてもソフトだった。
何度も「これは痛い?こっちは?これではどう?」と筋を掻くように動かしたり、両親指で押しては、何度も腕を伸ばしたり動かしたりの確認作業を繰り返し、最後に「何も問題ない。二三日すれば治る」と言った。
その言葉を聞けて内心ホッとした。(実際に痛みが完全に引いたのは一週間後)
その後、奥さんが帰ってきてバトンタッチとなったが、腕以外の筋肉も緊張して強張っているらしく、シンチャイ先生が「大したことなかったよ」と伝えても、前回前々回のマッサージが無駄になったとブツブツ言ってはいたが。
マッサージが終わった後、シンチャイ先生(の奥さん)は名残惜しそうに「今度はもっとゆっくり(チェンマイに)来て」と言った。
シンチャイ先生とも今日が最後である。
「また来ます」と答えたが、次はいつ会えるかわからない。
そして、最後に名刺を出しながら「治療院が移転したことを日本の友人に伝えて」とひどく現実的なことを言った。
16時10分、 ワットプラサート(Wat Phrasat)参拝。
ここはラーンナー建築センターで教えてもらった小さなお寺で、礼拝堂と仏塔がまだ分離していない古い時代の建築様式を保っているのだが、長くなるのでそれはまた違う機会に書きたい。
16時25分、ワットチェンマン(Wat Chiang Man)参拝。
ワットチェンマンは1297年にメンライ王(King Mangrai)によって建立されたチェンマイ最古の寺院です。ここには厨子の中に鉄格子で守られた二体の貴重な仏像がある。一つは水晶で作られた仏像(Phra Kaew Khao)、もう一つはインド伝来の石像(Phra Sila)といい、水晶仏の方はもともと3世紀頃にロッブリーで作られとされ、チャムティーウィー(Chamthewi)によってランプーンに運ばれ、さらにハリプンチャイを征服したメンライ王によってこの寺に遷されたという大変古い歴史がある。
16時50分、グッドヘルス(Good Health)に寄ってアロマの石鹸や虫避けスプレーなどの土産を買う。
17時35分、ワロロット市場(Talat Warorot)に行くも、ちょうど店仕舞いの時間だったため、結局何も買えなかった。
今回の旅行では、予定外のメーホンソンに行って時間が押してしまい、チェンマイでの予定の幾つか、例えばプラにぴったり入るケースを買うことや、ゆっくりと土産物を探す余裕も無くなってしまった。
特に今日マッサージを終えてからの時間は観光にショップに市場と駆け足で巡ったという感じ。
ガイトート、パックブンファイデーン、チャーマナーオ(180B)
ここは有名店だけあって満席だったが、なかなか店員が来ないので、着席していたお客さんがシビレを切らして何組も去っていった。
私の注文でもカオニャオが来なかったので、会計時にその旨を伝え、チップを残さずにさっさと帰った。
18時30分、レンタルバイク(一日延長200B)を返却し、洗濯物を取りに行った後、ホテルに戻る。
ホテルでは玄関のロビーにて荷物を詰め直したりしているとすぐに一時間が経っていた。
時間はまだ余裕があったが、ホテルからバスターミナルへは距離約4kmと遠く、肩を痛めている上に重い荷物を背負って歩くのは到底無理な話だった。
19時30分、ホテル前の道路でソンテウを捕まえ、バスターミナルに向かう。
100Bの言い値は少々高かったが、外は暗いしチャーターになるので致し方ない。
ソンテウは10分ほどで無事バスターミナルに到着した。
21時00分、バンコク行きのバスがバスターミナルを出発。
乗車してすぐに何人かのファランが車掌に文句を言い出した。
夕方を過ぎるとバスチケットの値引き販売をしていたのが理由らしい。
バス会社にとって、空席のままバスを走らせるより、値引き販売してでも席を埋めたいと考えることの一体何が悪いのか。
何よりもこれは彼らのビジネスだし、ここは彼らタイ人の国なのだ。
たったこれだけのフレーズが浮かばず、ファランのクレーム発言に悶々としていたところ、隣席のタイ人が話しかけてきてそれどころでは無くなった。
お決まりの「お前はどこから来た?何歳だ?なぜ一人でいる?バンコクには何しに行く?」との質問攻めに、脳ミソの言語野をフル回転させなければならなくなったからだ。
こうしてタイ滞在二十四日目、チェンマイを離れる感慨にふけることなく夜は更けていったのでした。