おさえておくべきエチュードなど | ヴァイオリニスト 山崎千晶 

ヴァイオリニスト 山崎千晶 

ヴァイオリニスト、作曲家  千晶のブログ。
演奏法や、コンサートにまつわるエピソードなど、
いろいろな演奏家との出会い、演奏者の面からの感想、
今までのコンサートの思い出など、
音楽シーン盛りだくさんの内容でお届けします。

こんにちは。

東京は外出自粛となり、みなさまいかが

お過ごしでしょうか?
 

私も外出はしていないのですが、

オンラインレッスンが毎日入っています。

その他作曲したり・・色々しています!

 

教える際に使うエチュードの順番を今日は

今一度整理してみようと思います。

 

私はすっかり、チェコの教育方針が気に入って

そちらの方法でやっているので、

まず初心者や子供には、

「ミツコバーMickova」、「クルーチェックKrucek」

という教本を与えています。

 

鈴木の教本は、日本ではスタンダードで

とにかくあの中にある曲をほとんどの人が

知っているので、そこから曲を

与えるときもありますが、

5度音程や八分音符がすぐ出てくるので

段階を追って、体が硬くならないように

弾けるようにさせたい私の方針には沿わず、

結局あまり使っていません。

 

 

私がチェコ語から翻訳出版した

「ヴィブラート教本」、

「ヴァイオリンテクニックと心得」の

ズデニェク・ゴラ先生が

子供向け、初心者向けの教本を出しています。

これは出版社からゴーサインがでていて、

翻訳はかなり前に済んでおり、

あとは出版社様の準備を待つばかりの状態です。

 

上記の「クルーチェック」は正直、ものすごく

使いやすい教材です。

ダンクラや、ヨアヒム(ブラームスの協奏曲を

初演したヴァイオリニスト)や、その他良く知らない

名前の長くない練習曲が載っており、

役立っています。

でも、日本で手に入れるのは難しいですねアセアセ

 

しかし、その「クルーチェック」の中に、

「ウォールファート」の練習曲が載っています。

この「ウォールファート」は、日本でも買えますし、

たくさん練習曲があって、第1ポジションで

いろいろなボーイングパターンがたくさんあり、

すべてが必要なものです。

 

私は、初心者の人が少し弾けるようになったら

ストレスなく弾くことに慣れるためにも、ぜひ

これを使うことをおすすめします。

 

「ウォールファート」の第3ポジションぐらいが

できるようになったら、次は「カイザー」です。

そして「カイザー」の次が


「クロイツェル」、その次に「ローデ」、

そして「ドント」の順だと思います。

 

その他「マザス」や「フィオリロ」などは

必要に応じて、選ぶと良いのではないでしょうか。

(この辺りになると音高、音大レベル)

 

音階は、中学生が「小野アンナ」を

持って来たりしています。


.......まぁ、音階が全部載っているという意味では

参考書的になくてはならない音階本ですが、

あれを全部やる必要性はないと思います。


なぜなら、あの本に載っている音階は、

最高音のポジションまでの音階ではないので、

第4ポジションまで弾けるようになったら、

私としてはその次は最高音のポジションまでの音階をやらせて大丈夫だと思うからです。

 

ですので、音階本を使うときには、第4ポジションの次は私は「エリザベス・ギレルスElizabeth Gilels」が

一番良いと思っています。


これはロシアのバイオリニスト、レオニード・

コーガンの奥さんの書いたもので

残念ながら日本には売っていないようです。

 

 

速攻却下しているのは、カール・フレッシュの

スケールシステム。

あんなに難しいものは、ポジション移動の方法を

完全に理解したプロが補足的に使うべきで、


それよりもまず最初にきちんと

ポジション移動の方法を

知らなくてはなりません。

 

それには、カト・ハヴァスのバイオリン奏法

第4章、第5章にあるポジション移動の説明を

まず注意深く読む。


そしてここに楽譜も出ています。

これをよーく読んでやってみてください。

これを理解してやった上でフレッシュの

スケールシステムをやるなら、良いかもしれません。

しかし、スケールシステムを使わなくても、

十分弾けるようになります。

 

カール・フレッシュなら「Urstudieren 基礎練習」

これはものすごく使えます。


演奏家のバイブルにしても良い。

ネットのペトルッチでダウンロードできますが、

このプリントで基礎的な左手、右手の

テクニック全部網羅しています。

 

さらにうれしいのが、いかに無駄な練習時間を

省くか、がひとつのポイントとなっているので、

ひとつの練習にかける「分数」が記載されています。

 

「これは3分で」「これは4分で」終わらせて

ください、と書いてあるので、

効率的な練習ができます。

 

そして、補足的な教本として、ゴラ先生の

ヴァイオリンテクニックと心得」。

ここには、理想的な右手、左手のテクニックは

どういうものであるか、という解説と、練習法の例が載っています。

 

ここの第3章に「毎日の練習メニュー」という項が

あり、左手の練習法の例があります。

これもとても良かった。

 

そして・・チェコのあの「シェフチーク」=セブシックですが。

アプローチの方法はいろいろある、ということで

ここでは省いておきます。音譜

 

しかし、エチュード選びよりさらに難しいのが!

曲選びなんですねあせる

生徒にも個性がありますから、

真面目な子は与えられた従来の曲でOKと

言ってくれる子もいますが、、、

 

1.「他人と同じだとママがゆーちゅーぶで検索して

ああ弾け、ていうからやだ」とか・・ショック!


2.「前の先生からこれやったら、て言われて弾いてたけど実は大嫌いなんです」とかむかっ


3.私が「リーディングのコンツェルトはどう?」

と聞いたらきゅーうに哀しそうな顔になり・・

「前の先生でやらされたことがあるのですが

難しくって、名前聞くだけで苦手意識が」しょぼん

 

なんてのばっか。爆弾

 

良い演奏というのは自分が楽しい気持ちで

弾くことによって他人を感動させられる

わけですから、いくら名曲でも嫌いだったら、

本末転倒です。

 

その子の年齢や技術的レベルに見合っていて、

かつ次の勉強にもなり、かつ

本人も納得してくれる曲・・・となると、

以外とないものなんです、本当に!!

 

確かに「クラシック音楽」という100年も前の感覚

と今の時代の感覚が合うわけがない。

それは、ある意味尊重すべき感覚です。

 

なので、毎度曲は探しに探して・・・大変です!

 

ある子には今度結局私が作曲する、という話に

なりました。

その子のイメージする曲調を送ってもらい、

私も曲つくるのは好きなのでそんなことを

やっています。

 

結局、21世紀なのに演奏として使える

弦楽器用の曲が全然足りてない、と感じています…!

 

写真:3月末に、

友達とチェコビールを飲みに行きました!

東京でもピルスナーウルケルという、チェコの

ビールがここ2年ぐらいでだいぶ飲める店が

増えてきました。


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このビールの生産地は、

私がチェコで所属していたオケの町なんです。

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やっぱり飲みやすかったです❣

しかし今しばらくはもう行けませんね。

皆さまもくれぐれもお気をつけて

お過ごしください。