ヴァイオリン演奏の概論・その14「デタッシェ」 | ヴァイオリニスト 山崎千晶 

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大変役に立つバイオリン

テクニックの記事です。

ちょっと頭を使いますので

まず先にプリントアウトしてから、

じっくり読み返すことを

おすすめします。

 

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(訳注:デタッシェとは、ひとつひとつの

音を弓を返して弾く最も単純な

弾き方のこと。)

 

「デタッシェ」

レガートを伴ったデタッシェは

基本中の基本で最もよく使われる

奏法である。

だからこそ適切な注意を

払う必要がある。

 

音と音が断絶せず、

常にスムーズにやわらかく

続くことが理想的である。

 

長い音でのダウンの際は

腕全体を使い、手首と指の

曲がり具合はわずかに

下方向にゆく。

 

アップの際は反対に元の

位置に戻る。手はらせん状の

棒を握っている感じがある。

 

前腕でのやや速いデタッシェも

似たような感じで行う。

 

速いデタッシェになると弾き方が

変わる。

手首をだけを使い、手をダランと

させその手の重さで弓の木の部分に

圧力をかけて弾く。

 

例題23


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a)腕全体でのダウンのデタッシェは、
手首と指が多少まがり、少し圧力が

かかる。

b)同じことを短めの弓で。

c)手首と前腕が協調して動く動きに移行する

d)速いデタッシェは手首からのみ動く

 

 

「デタッシェでだんだんと

弓を多く使う奏法」

デタッシェできれいに音を

つなげるのに効果的な練習法は

大げさに弓の量を増やす

練習である。

増やしてゆくさいに

自動的に弓の速度が

遅くなる。

 

まず弓の真ん中から始め、

最後は全弓になるように弾く。

その際しっかりと音と音が

つながっていること、

豊かで美しい音が出ることに

注意する。

また、手は完全に

リラックスさせている。


例題24

a)

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b)図で表す。


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真ん中で弾き始め、だんだん

ゆっくりになると同時に

弓の量が増え、最後は

全弓にまでもってゆく。

同じことを逆も行う。

ゆっくりの全弓から

最後は真ん中辺りで

速く小さい弓になる。

 

 

「レガートからデタッシェへの移行」

このパターンは、特に歌うような

場所で出てくることが多いが、

音色的に満足ゆくものにならない

場合がある。

 

よくあるのはレガートの最後の音に

アタックが入ったり、レガートの

最後の音と次のデタッシェの音の間が

空いてしまったりすることである。

 

レガートからデタッシェの移行

する際の音色をきれいに

つなげるためには、

レガートの最後の音は、次の

デタッシェの音の一部だと

考えることである。


 

例題25


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デタッシェはニュアンスであるが、

演奏する曲がどのような音色を

必要とされているかによって

その適切な使用方法を

決めることができる。

 

デタッシェは基本的に二種類ある:

ひとつは、広く、音と音がつながっている(--)

もうひとつのデタッシェは短く、

長さは多少あく。

 

速いデタッシェはほとんどの場合

ふたつめで弾く。その方が

音がはっきり聞こえ、技術的にも

簡単である。これは、ほとんどの場合

前腕、そして少し手首の助けを借りて

弾く。

 

 

♪*:・’゚♭.:*・♪’゚。.*#:・’゚.:*

次回は、「フランス風、そして

バッハ演奏のデタッシェ」などに続きます。



スペイン広場で。。


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