自分の尊敬する先生の勉強会を、年に何度か開催しています。
日本全国から、鍼灸師が集まるのです。近場ももちろん、北海道から、新潟から、福岡から、仙台から、自分のこれと思う先生に出会ったと思っている方々が、飛行機に乗り深夜バスを使い、患者さんや自分の家族に頭を下げて、スーツケースをごろごろ引きずってやってきます。
 
はたちそこそこから50代の方々、みなさん目を輝かせて熱心に勉強して、ほんとうに嬉しそうに帰って行かれます。
 
一般の方にときどき聞かれます。
 
「鍼灸師ってどうやってなるんですか」
と言う質問に、「毎日3年間学校へ通って・・・」
と言った時点で、3年も!すごいですね、と言っていただく。
 
「ツボって、いくつあるの?」
「まずは365個の基本があって・・・」
「すごい、それ全部覚えているんだね」と褒めていただく。
 
つまりは そんなに勉強していない、と思われてるということですよねー。まあ、いいんですが。
 
私たちの方は、一生勉強とココロに定めて、紆余曲折ありつつも、日々精進しております。
3年間学校に通って国家資格をとったのは、ほんの入口でした。
 
 
 
さて、今日の参加者、若い女性鍼灸師さんのこぼればなし。
「うちに来てくださる患者さんで、ひじの痛い方がいる。その人は、居酒屋で隣に座った人が、
『ひじの痛いのを、大きいお灸を三つ、してもらったら治った』と言っていたので、それだけをしたほしい、というのです・・・」
 
ひじの痛みの原因は、東洋医学的に言っても西洋医学的に言ってもたくさんあります。原因をどうとらえるかによって、治療する方法は全く変わります。
大きいお灸と言ったって、どの大きさなのかさっぱりわかりません。どのタイプのお灸をどのようにどこにしたのかも、さっぱりわかりません。
(参考に。。。人様の イラスト入りブログ→ お灸のススメ~いろいろな種類のお灸~)
 
一口にお灸と言ってもいろいろあるのです。
 
そして、どう使うかは、患者さんひとりひとりに、合わせています。
 
一人一人の違いをみて どのように どこに どの程度するのがベストかを、ずっと学んでいます。鍼も同様です。その二つを組み合わせて学びます
全身の気血水や、臓器経絡を整えて痛みを治し痛みにくい体にしていくのが鍼灸です。
 
立体的に、総合的に考えて、もっとも効果ある治療をするために、日々頑張ってんのになあ。
 
その60代の患者さんは、頑として、ひじに大きいお灸をみっつしか、させてくれないそうなのです。しかも毎週お見えになるのだとか。。。。
 
美しく繊細に象られたショコラティエの手による高級チョコレートを、カレーの隠し味にチョコと聞いて鍋に放り込んでしまうような・・・?
 
的外れな思い込みは、誰も幸せにしないんだけどなあ。