4人で暮らしていた時の最後の母の日のこと。

 

娘は、朝から夫に

「今日、母の日だよね」と一生懸命言っていた。

 

娘はお父さんとお花を買いにいくとか、

ケーキを買うとか

お友達に聞いたことをしてみたくて

夫に何度も「何か買わなくていいの?」と聞いていた。

 

私もいるリビングで。

 

 

私は料理をしたり、背を向けて何かしていたけれど

娘の言葉はよく聞こえてきた。

 

夫は、何も答えなかった。

 

買わないとも、買うとも。

 

完全に、娘のことを無視していた。

娘を無視したかったのではなくて

私に何かお花を買うとか、そういうことをしたくなかっただけで

私がいる前で、しないとは言わなかっただけなんだと思う。

 

娘は半べそで

「母の日終わっちゃう」と言っていた。

 

私は夫のいないところで娘に

「お店で何も買わなくていいんだよ。じゃあ何かプレゼント作ってくれる?」と言うと

わかった、と嬉しそうに

開くとハートが飛び出す仕掛けのあるメッセージカードを作ってくれて

 

おかあさん いつもありがとう だいすき!

 

と書いてあった。

 

夫からしたら、私は母じゃないけれど

子供がお母さんに何かしたいと言ったことを

頑なに拒んでいた。

 

 

私も、父の日に何かしてあげたことはない。

子供も、保育園での工作以外に、

夫にカードや何かを送っていたことはないと思う。

私も、してあげようと子供に言ったこともない。

 

5月には義理の母へのプレゼント、それに添える手紙

翌月には義母の誕生日プレゼント、義理の父の日のプレゼント、手紙と

地方の実家に間に合うように発送する手配などでいっぱいいっぱいだった。

 

夫は「俺は父の日に何もされたことがない」と思っていたかもしれない。

娘のことを無視したのは当てつけだったかもしれない。

 

母の日、何もなかったのと怒っていたママ友もいたけど

怒る気持ちもなかった。

 

何も感じないように、何も考えないように過ごしていた。

子供だけは、巻き込んでしまってはいけないから

 

娘はカードを作ってくれて

息子はお手伝いをしてくれて

「俺おとなになったらお母さんの好きな物買ってあげるよ!服でも何でもいいよ!」と言ってくれた。

 

近所の同じような子供がいる家の玄関先にはしばらく

カーネーションの鉢植えが出されていたりした。

 

小さい子だから、お父さんと一緒に買うんだろうな

私には関係ない、寂しくも羨ましくもない


そうやってカーネーションのかわいい鉢植えを見ていた。