日頃、子供たちは夫の話しをしない。

 

引っ越してすぐのころは

「お父さんだけじゃ、家の中ぐちゃぐちゃなんじゃないかな」とか

「お料理出来ないから、いつもお弁当かも」など

 

2人ともがたまに口にする事もあったけれど

今は、特に息子は全く夫の話題をしなくなった。

 

 

アパートに落ち着いて、「家」の認識も変わったのではないかと思った。

私の実家にいた時は落ち着かず、私も含め、

とてもではないが自分たちの居場所と思える場所ではなかった。


以前、4人で住んでいたところが、まだ自分たちの「家」で、一時的に離れただけのような感覚だったと思う。


だから「自分達の家」が、夫だけでは散らかっているのでは、と考えたりもしたのかもしれない。

 



娘はお父さんに会いたいと言うよりは

お父さんとなら出来ることありきで

「スノボ行きたいなぁ、お父さん冬に行ったかな?」と言ったりもするので


私も「どうかなぁ、お母さんは連れてけないからなぁ」と答えたりすることもあるけれど

 

 

息子はそういう会話が耳にはいると

「お父さんの話しをしないで。」と言ったりもするようになった。

 

 

 

 

調停で、夫の調停中での希望事項に「子供たちとの面会」があった。

 

弁護士さんは、会わせないという事は出来ないし会わせないのは離婚に向けて得策ではないと言った。


「まぁ、面会するにしても4月以降になるでしょう」と。


私も、今後一切会わせないなどと思ってはいなかったし、子供にタイミングを見て話しをしてみなくてはと思っていた。



先日、実家の車を借りて3人で出かけた運転中に

助手席に乗っていた息子に向かって

 

「ちょっとお父さんの話しするよ、いい?」と切り出してみた。

 


息子はさっと顔が曇り

 

「うん、いいよ。なに?」と前を見たまま答えた。

 

 

「お父さんが、会いたいって言ったらどうする?

  会っても会わなくても、いいよ。

 〇〇(息子)が決めていいんだよ」と

 つとめて何でもないように言った。

 


息子は黙ってこわばった表情のまま、しばらく考えたあと、首を横に振った。

 


娘は「私は、一緒にスケボーかスノボやりたいなぁ」と後部座席から言う。

 

 

息子は前を見たまま、淡々とした口調で

 

 

「お母さん」

 

「すぐ、何か違う話しをして。」と言った。

 

 

男の子特有の繊細なところはある。

 

だけど、やんちゃで甘えん坊で元気いっぱいな息子が

こんなにも強張った顔で、想像していた以上の拒絶反応を見せた。

 

 

私は焦ってしまい

 

「そういえば、ポケモンカードもうすぐ発売なんじゃないの」

 

と、詳しくもない話しをして、その場を取り繕った。

 

 

息子はパッと顔が明るくなり、嬉々としてポケモンについて話しはじめて

私は少しほっとした。

 


私は運転しながら

「へぇ、そっかぁ」「そうなんだぁ」と明るい声で息子に答えながら

 

話しは全然頭に入らなかった。

 

 

 

ごめんね、でももうすぐ面会の話しもあがってくるかもしれないから

聞いておかないと、と思って

これでもどうやって言おうか考えてたんだよ。

ごめんね。と心の中で謝る。

 

 

息子の心の傷は相当深いんだと改めて思った。

 

 

夫は娘にもきつく当たることはあったけけれど

それの何倍も、何故そこまでするのかと言うほど

息子には厳しかったし

何より息子は私に接する夫の仕打ちを覚えていて、恨んでいる。

 

 

面会交流を取り決めても

大きくなるにつれて会わなくなることが多いです。

お子さんが会いたがらなくなるので。

 

という弁護士さんの言葉を思いだす。

 

 

すでに会いたくないという息子。

もちろん、無理やり会わせる理由はない。

 

今後、夫と息子が会う事ってあるのだろうか。

 


この反応を夫が知ったら。

この先の調停で

「息子は会いたくないと言っている」と聞かされたら。

 

 

『一生懸命家族のために働いていた』夫はどう思うのだろう。