親には行かなくなった理由は言わなかった。
言えなかった。
親も「通うには遠すぎたんかー」と諦めたのか無理に通わせようとはしなかった。
でも、困った母は中学に相談し、後日私を連れて中学を訪れた。
中学の時からちょっと怖くて苦手な中年の国語の先生が対応してくれた。そこでもカンニング疑惑については話していない。中学時代は成績が良かった私がカンニング疑惑をかけられているなんて、悔しさと恥ずかしさで言えなかった。
ただ私が行きたくない!という意思が強い事はわかってくれて、こんなアドバイスをくれた。
・家にずっといるのは良くない。
・どこかに所属しておかないと生活全般が崩れていく。
・高校は次を受けたらいい。一学年下の子と一緒に。
・それまではその学校に行きたい時だけ行くのはどうか。もちろん行くだけだから成績なんて気にしない。
と。下の子と受験し直してでも他の学校に行こうとその時の私は思った。
今の学校に通い続けるのは嫌だったが、親も心配させたくないし、我が家は裕福な方でもないのに無理して私立に入れてくれたのに、数ヶ月で辞めるのは申し訳なくて行く事にした。
数週間ぶりに学校に行った。
担任の先生に呼ばれて悩み事があるのか?などと聞かれた。
あの日本史教師の事を言いたかったが、これ以上ゴタゴタするのが嫌で黙ってた。
ただ宿題が多すぎてできない事は話した。
進学校だからなのか、教師が若すぎる集団だったからか、落ちこぼれの私は授業中、居ないものとされた。
順番に前からあたっていっても私だけ飛ばされて後ろの子の名前が呼ばれた。
私もあてられてもわからなかったから気にしない事にした。
教師に無視される私、そしてそれを気にしない私にクラスメイトは興味を持った。
自分にはないモノを感じたのか、学校を休んだ後に友達が増えた。成績なんて気にしない私には宿題のノートも見せてくれた。
私が家に帰ると待ち構えたように友達から電話がかかり、恋バナや恋愛相談にのった。
あの頃は家の固定電話しかなかったので、友達は私が家に帰り着くのを待ち、そこから夜遅くまで親に怒られるまでしゃべった。
勉強第一の学校なので、そういう勉強以外の話をしている余裕があるのは、世捨て人の私くらいしかいなかったようだ。
そのおかげ友達がますます増えた。
学校に自分の居場所ができて楽しくなってきた。