パスティエーラ ― ナポリの春を閉じ込めた香り
南イタリア・ナポリで復活祭の時期に必ず作られる菓子、パスティエーラ。
リコッタチーズと麦、そしてオレンジの香りが織りなす、他に代えがたい風味が特徴です。
一口いただくと、まず感じるのは穏やかな甘さ。その後にふわりと広がる柑橘の花の香り、そしてプチプチとした小麦の食感。素朴でありながら、驚くほど奥行きのある味わいです
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復活祭(パスクワ)とは?
キリスト教において、イエス・キリストが十字架で亡くなった後、3日目に復活したことを記念する祭日です。
その日付は「春分の後、最初の満月の次の日曜日」と定められているため、毎年3月下旬から4月の間で移動します。
パスティエーラとはどんなお菓子?
Pastiera Napoletanaはタルト生地の中に、やわらかく煮た麦粒とリコッタチーズをベースに、砂糖、卵、オレンジピール、そしてオレンジフラワーウォーターで香りづけしたフィリングを詰めて焼き上げる菓子です。
穏やかな甘さの中に、柑橘の華やかな香りと麦の独特の食感が重なり、他にはない風味を生み出します。
本来は硬質小麦(grano cotto)を使用しますが、入手しにくいため、今回は日本で手に入れやすい「ごはんに混ぜる麦」で代用しました。
完全に同じではないものの、風味や食感は比較的近い仕上がりになったと感じています。
これを使いました↓リゾットを作るように炊けばよいので簡単です。なおイタリアではすでに炊いた小麦が冷凍されて売ってます。
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7本の帯の意味
仕上げには表面に7本の帯を格子状に飾るという決まりがあります。
配置は、下に3本、上に4本と交差させて菱形を作るのが伝統的とされています。
この「7」という数の由来にはいくつかの説があります。
ナポリの起源とされるセイレーン・パルテノペに小麦やリコッタ、卵、砂糖、花など7つの贈り物を捧げ、それがパスティエーラの原型になったという説
もうひとつは、古代ナポリの都市構造を表すという説で、3本のデクマヌス(東西の道)と4本のカルド(南北の道)を象徴しているとも言われます。
この菓子における装飾は単なる見た目ではなく、ナポリの文化や物語を映し出す要素となっています。
近年のイタリアでは、小麦の代わりに米で代用する例も見られるようです。より軽やかな食感になり、現代的なアレンジとして受け入れられています。
また、今回余った生地を小判型で仕込んだところ、思いがけず卵のような愛らしい形に仕上がりました。
パスクワだけではなく、普段にもぜひ作ってみてくださいね




