2023.5.10 no.10 ふたりの暮らし | あとりえまかろん まかろんのへや

あとりえまかろん まかろんのへや

ちいさな家族、まかろんとの日々をたいせつに紡いでいきたい‥ちいさな歩幅でゆっくりふたり歩いていきます。
つないだ手、いつもいつまでもはなすことなく‥



2023.5.10  これからもふたりの暮らし


この手足でともにあるいてくれてきた



ねえねと手をつないできてくれた


その手をはなさない




いまのあなたのために、ねえねにできること
ほとんどなにもない
それでも

愛することだけはできる
愛することだけはゆるされる

それだけはあの日までとかわりなく
ゆるされ
できること

  あなたを愛すること

時間をとめながらながしてゆく

  なにもかえないで暮らす
  そう生きていきたい



毎朝365日、絶望で目覚める
処方薬でかすかにうとうと、そんな朝
こわい夢とともに
からだがうごない
‥このままとけてきえたい

だけど、、、ふとおもう

きょうは、まかろんとなにをしてすごそうか
どんなまかろん、にあえる?
あの日までとおなじことを
  ふと  おもう

そんなおもいにかすかにすがって
ベッドからころげおちておきる

あの日までとほぼかわらない生活をおくる

まかろんの歯磨きをして
まかろんのご飯を用意して
まかろんがご飯を食べるのをゆっくり待ち
もいちど、まかろんの歯のお手入れをして
まかろんのお散歩して
まかろんのブラッシングをして

あの日までとおなじ暮らし
あの日までとおなじ
それが、ねえねの唯一のささえ

「きょうはどんなまかろんに出逢うのだろうか」

それを心のよりどころに日々をつなぐ

あの日までとちがうこと
通院もシャンプーもなし
お出かけ激減
空き時間はほぼパソコンのなかで暮らす

パソコンのなかのじかんは
かわらず、しあわせ
かたわらの寝息をかんじ
パソコンのなかの笑顔をみてる
すねたり、おこったり、笑ったり、甘えたり
ふたりのじかん

この一年ちかくそうして暮らしてきた
パソコンのなかだけが、息ができる場所

ずっとずっと
風が痛くて空気が痛くて音が痛くて
つきささってくる
そんな日々をかさねた

光も青空もきらい
あんなに好きだった光も青空も風もきらい
緑のにおいもきらい
そんな日々をかさねた

窓もレースのカーテンもしめきったなかに、しずかに籠っていた
そうしていると、かすかにだけ、おもえた
‥いつもの場所でまかろんがすやすや眠っているような‥
そのときだけは、ほっとしていた

そんなある日
ふとさそわれて
白いカーテンをこえた

風がいたい 空気がいたい 光がいたい
大好きだったものすべて いたい
そんななかにそっと ちいさなやさしさ
  をかんじた

そうだね‥こちらのせかいは
ふたりのじかんをつむいできたばしょ🐾

いまは、風のなか、光のなかを歩ける
あなたとのせかい、だから

そして、部屋のなかでは、できるだけ、これまでどおりの、まかろんとの暮らしをつづける

家では、ここ数年、ほとんど寝てばかりだったのだし
しかも、熟年夫婦みたいに、たがいにマイペースのふたりぐみ
いまも、かわらない暮らし、なのだと
そう「おもう」

この一年
みえないあなたへの愛をためされきた
これからも
↑へたなドラマのせりふwww

それでも
  
  愛してる



なくしたものをみるな
手の中にあるものをみろ
そう不自由になった母にいいつづけた
そのことばをじぶんにかえそう

なくしたもの=かけがえないいのち    
        &ねえねの心のいのち
        &生涯のしあわせ
てのなかにあるもの=ちいさなふわふわと
        紡いできたじかんのきおく

そうして、これからも
わんこ、である、まかろんが行けない場所は行かない
美術館も博物館もお庭も、コンサートも観劇も‥
どこも‥行かない
わんこ、である、まかろんとの暮らしをつづける

ほんとうは、あの日までずっと
ぼんやりおもってることがあった

 まかろんの老いにしっかりつきあい
 いのちをまっとうさせたら
 心のなかのまかろんを抱きしめながら
 これまで行けなかった場所へ、ともに
 行こう、そうおもっていた

でも、それはもう永遠にかなわない
かなえようとはおもわない
途中で、うばわれたのだから

ただ、もういちど、、探してゆきたい

ふたり、ふつうにおだやかに
ともに手をたずさえて
ともにおなじ歩幅で
ともにたがいの息遣いと温もりをかんじながら
歩いてゆく
そんなすべがないかと

不可能とわかってはいても
その、すべ、をさがすために
その、すべ、をさがしながら

歩いてゆきます

まかろんなくしての、ねえね、はありえない
ねえねなくしての、まかろん、がありえないように

ふたりは、いつもいつまでも
二個一

ねえねが笑うことがあるとしたら、それは
まかろんがともにあるから
まかろんが笑うから

ねえねがしあわせとかんじることがあるなら、それは
まかろんがともにあるから
まかろんがしあわせともおもわず、ただ
ふつうにおだやかに、かたわらに「ある」から





            no.10


あの日からいまだ、このことでは
涙がほとんどでない

いつか、おもいきり泣けるとき
こおりついたこころもかすかにとけるのでしょうか