金色の道
秋のあまやかな匂いの道
ふたりの道
ちいさな記念日
ふたりの庭ちいさな庭では
オレンジの花が
金色の光を降りこぼしながら
降ってくる
甘いやさしい匂いとともに
頭のうえだけでなく
ボクのすぐそばでも
オレンジの花が笑ってる
この樹が家族になって
ちょうど十年
あの年の秋もおわりごろ
ちいさや坊やの背丈をすこしだけ越えるくらいの苗木を植えた
来年の花が楽しみね
そう母と笑いあった
つぎの秋
ちいさな樹に可愛いオレンジの花が咲いて
ちいさな庭が秋の甘い匂いいっぱいになって
ちいさな坊やがお鼻をくんくんさせた
‥‥かたわらに母の笑顔はなかった
ちいさな樹はすくすく育って
いまは、ねえねの背丈どころか一階の高さを越えそうなくらい
そうして、秋になると
ちいさな庭をやさしい匂いでつつんでくれる
ことしは、九月に数粒、咲いたきり
こんな年もあるのかなあ
そうおもってたら
十月もおわりになって
蕾がびっしり
月をこえて、いま
背は高くとも華奢な枝振りの樹に
あふれんばかりの花を咲かせてくれてる
こんなたくさんの花ははじめて
そうして
花の色がいつもよりずっと濃い気がする
十年めの贈りもの
母の笑顔‥とおいとおい昔のよう
それでいて
ついいましがた、のことのよう
空から秋の光とももに
笑顔が降ってくる
ボクは元気だよ
ママのぶんもくんくんしてるよ
ご近所のおっきな垣根も花ざかり
きょうの日、ちいさな記念日は
お祝いしないでおわりそうだなあとおもっていたのに
やさしい さしいれ
とり松さんのばらずし
可愛い箱を開けると綺麗な彩り
丹後網野‥ここもたいせつな懐かしい場所
以前は、年に数回、片道三時間の道を走らせて
あの浜辺に立っていた
また訪れてみたいとおもいつつ
この秋もかなわないですぎてゆきそう
そんな場所の祝い寿司
オレンジの花たちと
秋の光と
































