今日の仕事帰りに駅のホームで電車を待っていると、僕の右斜め後ろからドスの利いた低い声が聞こえてきた。


「すいません!」

(振り向けば、あらっ、黒人さん!
短いドレット、黒いサングラス、片耳に真っ白のイヤホン。180センチ近い身長。筋肉がしっかりありそうな細身の体格。
なるべく穏やかにとっつきやすい返事で返す)


「はいっ!?」
「アシャノテンキワカリマスカ?」
「!?」

(アシャノテンキ?朝の天気?人差し指を上に向けながら)

「朝の天気?今日の朝は…」
「チガウチガウ。ァシタ、ァシタ」

「あぁ、明日?明日はどうなんだろ?」
(携帯で調べようと画面に目を向けた瞬間)

「アァ、ワカラナイナラ、ワカラナイデイイ」
「わかんないっすねぇ」
「アァ…、、。」



すぅっと僕の所から離れて行く。会話している間黒人さんは全く歯は見えなかった。僕の渾身のハニカミは静かに消えていく。

何?どういうこと?
本気で明日の天気を知りたかったの?なら新聞なりテレビなり携帯なりで最新の情報が手に入るはず。しゃべり方からして全く字が読めないというような感じではなかったし。俺は気象衛星ひまわりじゃない。


それとも、ただちょっとした会話、コミュニケーションがしたかったの?「今日はいいお天気ですねぇ」「そうですねぇ」みたいな?にしてはまったく会話が広がる気がない感じだったし。


まぁとくに深い意味はなかったんだろうね。

君は悪くない。
誰もわるくない。


中田