尼(あま)



(あま)、または尼僧(にそう)とは、20歳以上の未婚、もしくは結婚経験があっても沙弥尼(しゃみに)の期間を経て出家した女性のこと。比丘尼(びくに)とも呼ばれる。キリスト教修道女(しゅうどうじょ)も尼と称することがある。



女性が髪を肩のあたりで切ることやその髪型を尼削ぎ(あまそぎ)というが、そのような髪形の童女(どうじょ、どうにょ)を尼という場合がある。また近世以降少女または女性をいやしめて呼ぶときにも尼という語を用いた。





尼の語源

尼の語源は、サンスクリット語の「善良な女性」を意味するambaaの俗語形の音写ではないかと考えられる。本来は比丘尼びくに、サンスクリット:bhikSuNii) のことであり、男子の出家修行者(比丘=びく)に対して、女性の出家修行者をいう。伝承では、最初の比丘尼は釈迦の養母の摩訶波闍波提(まかはじゃはだい、mahaaprajaapatii)と500人の釈迦族の女性たちであった。釈迦ははじめ女性の出家を許さなかったが、彼女たちの熱意と阿難のとりなしによって、比丘を敬い、罵謗(ばぼう、ののしること)したりしないなど8つの事項を守ることを条件に、女性の出家を認めたという。これにより釈迦の元妻である耶輸陀羅(やしょたら、ヤソーダラー)、大迦葉(だいかしょう)のかつての妻である妙賢(みょうけん、バドラー・カピラーニ)、ビンビサーラ王の妃であった差摩(さま、ケーマ)、蓮華色比丘尼れんげしきびくに、ウッパラヴァンナー)など次々と出家し尼僧集団が形成された。