仏説無量寿経 内容



上巻

序分に王舎城(おうしゃじょう)耆闍崛山(ぎじゃくっせん、霊鷲山)において、優れた比丘や菩薩たちに対して、釈尊が五徳の瑞相(ずいそう)をあらわし説かれた。


正宗分(しょうしゅうぶん。その経の本論となる部分には、ある国王が世自在王仏(せじざいおうぶつ)のもとで出家し法蔵菩薩と名乗り、偈文(「讃仏偈」、さんぶつげ)を作り師を讃嘆し、諸々の仏の国土の成り立ちを見せて欲しいと願いを述べ、その仏国土より優れた点を選び取り、発願(ほつがん)し、五劫の間思惟(しゆい)して行を選び取った。願と行を選び取った法蔵菩薩は、師に向かい48の願(四十八願)を述べた。 続けてこの願の目的を述べ重ねて誓った(「重誓偈(じゅうせいげ)(四誓偈(しせいげ)・三誓偈(さんせいげ))」)。 そして兆戴永劫にわたり修行し、願が成就し、無量寿仏阿弥陀仏)と成り、その仏国土の名が「極楽」であると説かれる。願が成就してから十劫(じっこう)が経っていて、阿弥陀仏の徳とその国土である「極楽」の様子が説かれる。





下巻

極楽浄土に生まれたいと願う者は皆、仏になることが約束され、阿弥陀仏の名号(みょうごう)を聞信し喜び、心から念ずれば往生が定まると説かれる。 その者たちは、上輩(じょうはい)・中輩(ちゅうはい)・下輩(げはい)に分けられ、それぞれの往生の方法が説かれる。修行もやり遂げられない、善行も戎も守りきれない下輩の者は、たとえわずかな回数でも、一心に念ずれば往生がさだまると説かれる。 そして釈尊は、偈文(「東方偈〈往覲偈〉」)を読み、教えを聞き、阿弥陀仏を敬い、「極楽」への往生を勧める。 さらに浄土に往生した聖なる者たちの徳を説かれる。 次に釈尊は弥勒菩薩に対して、煩悩のある世界(穢土、えど)に生きる衆生の苦しみの理由を、三毒(貪欲(とんよく)・瞋恚(しんい)・愚痴(ぐち))・五悪(殺生〈せつしよう〉・偸盗〈ちゆうとう〉・邪淫〈じやいん〉・妄語〈もうご〉・飲酒〈おんじゆ〉)によると示し、誡(いまし)める。 続けて弥勒菩薩に、そのままではその苦しみから逃れられない事を説き、「極楽」に往生する事が苦しみから逃れる方法であると説かれる。 それは、ただ無量寿仏の名を聞いて、たった一度でも名を称(とな)えれば(念仏)すれば、功徳を身に供える事ができると説いた。この教えを聞いたものは、後戻りする事は無い(必ず往生できる)と説かれる。



流通分(るずうぶん。一つの経典を三つに分けて解釈するときの最後の部分。法の流布や伝持について記された結びの部分には、無上功徳の名号を受持せよとすすめ、時が流れ一切の法が滅しても、この経(『無量寿経』)だけは留めおいて人々を救いつづけると説かれる。