カッパさんが何度目かのソロキャンプを決行した。
今まではキャンプと言えど車で寝泊まりしていたが、
今回は初めてテントを設営してのキャンプとなる。
そのための準備が2月から始まり、
ずーっとスマホと首っ引きで研究を重ねてきたカッパさん。
毎日のようにキャンプ道具が届き、
毎日何時間もユーチューブでソロキャンプをチェックしていた。
仕事よりキャンプ優先。
こんな日々が2か月続いた。
そして決行の日。
緊急事態宣言が下された。
第一候補のキャンプ場は閉鎖。
カッパさんがパニックになる。
私が「第二、第三候補地も考えておいた方がいいよ」と進言していたので、
一応カッパさんも第二候補は念頭にあったようで、
なんとかパニックは治まった。
第二候補は滋賀県の湖岸緑地。知る人ぞ知るキャンパーのメッカだ。
しかし、その日カッパさんは朝からずっと私に付きまとっては
「大阪ナンバーの車やからイタズラされへんかな?」と聞いてくる。
大丈夫、そんなんめったにイタズラされへんから・・・
と私が何度言い聞かせても不安はぬぐえないようだ。
また新聞に湖岸緑地のバカ混みのバーベーキュー風景が掲載され、
カッパさんが真っ青になった。
こっちとしてもカッパのソロキャンプのために2日臨時休業するのだ。
今さらやめるなんて選択はありえない。
何度も「大丈夫だよね?」と確認するカッパにとうとう私が切れた。
「今さら何言うとんねん!2か月仕事そっちのけでキャンプの準備しやがって、
それを全部無駄にすんのか?
こっちもカッパのいない2日をずっと心待ちに堪えとんじゃ、
つべこべ言わずさっさと行けや!」
そうなのだ。私は久しぶりにカッパさんが家に居ない2日間を
すごく楽しみにしていたのだ。
なのに、この期に及んで怖気づくなんて、なんたる裏切り。
私が暴言で突き放すとカッパさんは顔色を変え、
ひとしきりギャーギャーわめいた後は無言でキャンプの荷物を車に積み、
そのまま家を出て行った。
カッパさんの車がないことを確認し、私はようやく胸をなでおろした。
その晩、カッパさんから電話が一度もなかった。
今までは寂しくなったカッパさんが電話をかけてきて
10分ほど話し相手をしてやっていたが、その日はスマホが鳴らなかった。
私はと言えば、柿の種やポテチをつまみにハイボールを飲み、
以前録画しておいたホラー映画を観たりして自堕落な夜を楽しんでいた。
(カッパさんはホラー映画が嫌いなのでね)
翌日私はイザベラちゃんと宇治に遊びに行く。
久しぶりに羽を伸ばせたかけがえのない一日であった。
つづく。