まずワンルームの家で、四六時中家族の誰かがいる毎日。

一人でいる時間が全くない毎日。

人はこれに耐えられるのだろうか?

私はこれに耐えられなくて、休日は出かける。

もちろんカッパさんが家に居なければ、私が家に居る。

しかしアスピーのカッパさんが家から出ることは少ない。

最近はたまには車に乗らないと調子が悪くなると言う理由で、

ほんの1時間ばかり車を転がす。

一週間に一度だけどね。

ほんとはもっと長い時間出かけていてほしい。

私だって家の中を一人で暴れたい。

押入れの中の物を捨てまくりたいのだ。

洗面所のキャビネットに押し込んだ、ホテルで失敬してきたアメニティの数々。

全部整理したい。

1回分のシャンプーやコスメは使いきってしまいたい。

・・・なんなら、使いそうもないものは捨てたい。

あーーー捨てたいものいっぱいある。

なんならカッパさんの持ち物は全部捨てたい。

プラネタリウム、泥団子、バーベーキューコンロ、ビニールボート、

ライフジャケット、昼寝用の毛布3枚、わけのわからん容器、

用途不明の100均のグッズ・・・

まあ見事なガラクタだ!!

一度、カッパさんの服を無断で捨てたことがある。

共用のクローゼットが満室状態で、

近藤麻理恵さんのご教示に従い、ときめかない服を捨てることにした。

その際、カッパさんの服にも触れてみたが、

全くときめかないので私の服と一緒に処分した。

処分したのはカッパさんの服の方が多かったかもしれない。

しかし、何年もカッパさんが気付かないので、

自分の中ではいいことをした気持ちになっていた。

ところが、カッパさんがソロキャンプの準備をしているときに、

なにやら熱心に探している。

「なあ、僕の麻のシャツ知らん?」と言ってきた。

ギクッとした。

麻のシャツと言うのはユニクロ製で洗って干すとゴワゴワするシャツだ。

カッパさんはそのシャツを2着買ったのだが白しか着なかった。

私はグレーのシャツを捨てたのだ。

洗濯した後、しわを伸ばすのが大変で2着はかんべーーん

って思っていたからだ。

「白いシャツならあるやろ?」と言うと

「グレーのもあるはずやねん」と言った。

「そ、それは知らんなぁ・・・?」とテレビを観ながら答えた。

すぐにあきらめると思ったのに、

カッパさんは天井裏のロフトまで探しに行った。

容疑を免れるために、私も一緒に探すふりをした。

「前回、海に行ったとき忘れてきたか・・・」と

カッパさんは残念そうにつぶやいた。

「そっかーじゃあまた買いに行こうね」と私が明るく言うと、

「いや、別にいらんけどね」



じゃあ、なんでそんなにしつこく探すんだよっ!!

カッパさんも気が済んだのか、それっきり麻のシャツについては

何も言わなくなった。

やっぱり勝手に他人のものを捨てるのはよくないな。

などと、ぼんやり思いつつも勝手にカッパさんの私物を捨てる私。

ただ、カッパさんも捨てたくて捨てられないものを

私がこっそり捨てているのを勘付いているようで、

見て見ぬふりをしているようなのだ。

え?まさかの黙認?

狐と狸の化かし合いか・・・?

もしかしたら、私が気付かないだけで、

カッパのヤツ、私の大切なものを捨ててるかもしれない。

でも、気づかないってことは必要のないものなのだ。

それでいいのだ。