カッパさんは世間話ができない。
うちは客商売なのでお客さんとの雑談も仕事のうちだ。
しかしカッパさんはテレビも新聞も時事ネタは全く無関心なので、
お客さんが話を振っても、完全スルーだ。
たまに会話が成立しているのか、と思ったら
全然めちゃくちゃなことを喋っている。
例えば元アイドルの話が出たとしたら、
「あーお相撲さんと結婚した人ね」
してねーーしっ!!
ぜってー高田みづえと間違っているし。
時代が30年ほどズレてるし!!
なにかの病気の話が出たら
「ああーー不治の病ですよね。治らないんですよね」
いーや!!治るし!!
「ええっ?そうなの?治らないの?」と客は顔面蒼白になる。
また高齢者の客などはテレビで仕入れた情報を、
うろ覚えでカッパさんに伝える。
するとさらにカッパさんがうろ覚えで、べつの客にそれを話す。
もうね真実なんて一個もないよっ!!
私も今まではいちいち訂正してたんだけど、
どうでもよくなった。
キリがないっ!!
(カッパさんが不治の病と言い切った客にはフォローしましたけどね)
本当にカッパさんの頭にある「記憶の部屋」(海馬とも言う)をのぞいてみたい。
ぜったい整理なんかできてない。
カッパさんの記憶部屋で、いつも使うものがタンスの奥にしまわれていて、
めったに使わないもの、あるいは無くてもいいものが、
一番使い勝手のいいところに置かれているのだ。
たまに、何年も前の誰もが忘れた古いCMソングを口ずさんでいる。
あと勝手に脳内変換するので会話がチンプンカンブンだ。
例えばペルーと言えばチリとか、
くら寿司と言えばスシローとか・・・。
勝手に頭の中で置き換えている。
カッパさんがくら寿司に行きたいと言うので、
クーポンを持って行くと、
「何言うてんねん、スシローって言うたやん?」
「僕、前からスシローに行きたいって言うてたやろ?」と
噛みついてくる。
毎日、こんなんばっかだよ。
昨日もスーパー銭湯で待ち合わせ時間を15:00に決めたのに、
15:15に出てきやがった。
もう何も言わない。
カッパさんの頭の中では15:00=15:15なのだ。
私が咎めても堂々巡りになるだけなので、もう言わない。
脳科学者が以前話していた。
人は他人の名前と顔を記憶するとき、
名前は左脳、顔は右脳に記憶するらしい。※チコちゃんの番組参考
それを呼び出すときにそれぞれ連携しないとうまくいかない。
でも、カッパさんは左右がうまく連携できてない。
人の名前だけではない。
森羅万象がそうなのだ。
文字も目ではわかるものの、とっさに発音できなかったりする。
カタカナなんてひどいもんだ。
左脳はともかく右脳の部屋が散らかっているとみえる。
これもアスピーの特性だろうか・・・?
最近は簡単な機械の操作も忘れているようだ。
私が「え、忘れたん?」と聞くと
カッパさんは「僕、そんなん最初から知らんで」とイケシャアシャアと答える。
その度に私の顔は能面になってしまう。
右脳のみならず左脳も散らかっているようだ。絶望・・・!
もう今日は5回ほど能面になってしまった。
きっとすり足で扇を持って、能を舞えるよ。

もちろん素顔でねっ!!