私が住んでいた町には以前は映画館が何館かあった。

路線バス一本で行けるので、気軽に映画を楽しむことができた。

ティーンズになると友達同士で行くようにもなった。

大人への第一歩だ。

そんな甘酸っぱい日々をカッパさんも経験していた。

当時「がんばれベアーズ」と言う映画が公開されて

子どもに人気があった。

カッパさんも子ども同士で日曜日に観に行く約束したそうだ。

それをカッパさんはカッパさんのお母ちゃんに報告した。

するとお母ちゃんは

「昼ご飯はどうすんの?」とカッパさんに尋ねた。

カッパさんはアスピーだ。

そんなのわかるはずもない。

気を利かせたお母ちゃんが、映画の当日にお弁当をこしらえた。

お母ちゃんもアスピー疑惑。いやアスピーだろう。


さて、友達3人と映画を見終わったカッパさん。

時間もちょうど昼どきだ。

ロビーに座るとさっそくお弁当を広げ、一人食べ始めた。

最初はみんなあっけにとられて、

カッパさんがお弁当を食べるのを見守っていたが、

そのうち誰かれとなく「僕らは行こか」と、

映画館を出て行ってしまったらしい。

一人取り残されお弁当を無心に食べるカッパさん。

この日から少しずつ友達の距離があいていったと言う。

そりゃあそうだろうよ。

映画を見に行くのに、どこのどいつがお弁当を持って行く?

お母ちゃんもお母ちゃんだ。

世間知らずもいいとこだ。

私がこの話を聞いて

「映画にお弁当はないわーーー」と叫んだら、

「それっておかしいの?」とキョトンとしてる。

お弁当って街中の娯楽ではナシでしょ?

ピクニックのような行楽に持って行くもんでしょ?

「そんなんわかれへんやん」

とイケシャアシャアと言ってのける。

うん、そうだね・・・と言いそうになって、

私はぶんぶん首を振った。

いやあーー普通わかるやろ?

っつーか映画を観る約束をしたときに

「お昼はどうする?」って相談するだろうが!!

そこ、確認せずに行く?

百歩譲ってわからんままであれば、お金だけ持って行くよね?

一般家庭であれば

「お昼ごはんどうすんの?」

「さあ、どうするか決まってない」

「それやったらお金渡すから、みんなと食べるんやったらそれで食べな」

ってなるよね。

おそらくカッパさんのお母ちゃんは映画館で映画を観たことがないのではないか?

だから、どんな状況かどんな雰囲気かが想像できなかったと思われる。

もちろんカッパさんも同じ。

普通の人であれば、受け入れがたいシーンなのだが、

アスピーたちにとっては「そんなおかしいことかなぁ」って思うようだ。


アスピーは人と関わるのが苦手で、

他人と遊ぶのは楽しい反面疲れるようだ。

そうすると、誰かと遊んだりするのが億劫になり、

結局、一人で行動する事になる。

そうなると、みんなの常識など遠い世界のこととなり、

さらに孤立化がひどくなる。

たまに他人と遊んでも、価値観や感覚に大きな隔たりがあり、

さらに孤立化に拍車がかかる。

アスピーの悪循環。


今はなんとか私が橋渡しをして、外の世界とつながっているが、

きっと私がいなくなったら、

カッパさんの孤独死は目に見えている。

私がカッパさんを外の世界に連れ出せばいいし、

カッパさんもそれをひそかに期待しているようであるが、

私にとってカッパさんは足手まとい。

しかし、この間私が一人で街歩きをして、カッパさんに写真を見せると

つまらなさそうに

「僕も行きたかった」とつぶやいた。

そっか、カッパさんは自分のやりたいことがわからないのだ。

誰かが提案しないと、自力では思いつかないらしい。

しかし私の街歩きは色々と迷ったりして、めっちゃ効率が悪い。

効率の悪いことが許せないカッパさんにとって、

私の街歩きはきっとストレスになるに違いない。

でも私も二度目なら迷うわず案内できる。


結論はこうだ。

まず私が下見する。

そして効率の良いルートを見つける。

カッパさんといっしょに迷わずに街歩きをする。

これがカッパさんと一緒に楽しむレジャーだ。


アスピーを飼うのは、本当に大変なのだ、諸君!!



さてさて年も押し迫ってまいりましたよ。

ブログはこれが今年最後かな。

それでは良い年をお迎えくださいねーーー。

風邪引かないでねーーー。