今期、朝ドラに苦しんでいるので、このドラマに出てくる人たちの個性的な演技力に、とても心癒され、入り込んで観ていました。と言っても、こんな40代いないだろうというくらいの、すごいストーリーではありました。
私は40歳になったとき、ふと、自分は人生を今折り返したんだという意識を持ってしまって、これからは、今できることもだんだんできなくなって、歳をとって死ぬだけなんだなあと、ブルーな気持ちで日々を過ごしていた時期があります。
そんなことを考えてしまう年頃なんですね。今まで自分の武器というか長所が、歳をとって損なわれた時に、これからも何かを心の支えにして、プライドを持って生き続けることができるだろうかと、自分の人生を見直す時期なのかもしれません。
「魔性の女」という前評判の詩文(永作博美)にばかり、最初目が行ってしまいましたが、そんな彼女はストーリーが進んでいくに従って、地に足のついた知的な女性と目に映るようになりました。娘に見せる母親の顔は至って常識的で、母の魔性を受け継いだ娘を説教する様子に、思わず笑いがこみあげます。
そして、同居しているボケかけたお父さん役の人がまた、ボケた演技に凄味があって、う~んと唸ってしまいました。
静かで平和な生活を求めて、交際していた歯科医のプロポーズを受けようとするも、「あなたはそんな平凡な生活ができる人じゃないとわかった。」と、逆に断られてしまうのも、そこに行きつかない彼女の運命を思って複雑な気分にさせられます。
逆に学生時代優等生で、模範的な専業主婦のブッキー(寺島しのぶ)が、我を忘れて突っ走るのにはびっくり。
幸せな家庭のはずが、ふたを開けてみると夫は浮気しているし、娘は生徒会長の顔を親に見せながら、陰でアキバでバイトしてオタクのアイドルになっているし、息子は反抗期で口も聞いてくれず、家族のために尽くしているのに誰も自分を必要としてくれないことに絶望と怒りを感じ、東大生の家庭教師大森先生(崎本)に走ってあっさりだまされ、大金を貢いでしまいます。
誰も自分を必要としていない寂しさってわかるなあ。主婦って空気のような存在で、いなくなるまでありがたみってなかなかわかってもらえない所があって、何かのきっかけで気持ちが火を噴くときがあるような気がします。
そして女医のネリ(高島礼子)は、独身で仕事一筋という役どころなのに、妙に色っぽいのがギャップで逆に魅力でした。彼女につきまとっていたストーカーは、不器用な仕事をいつも叱り飛ばしていた後輩の若い医師でした。そのことを告白し、謝りながら、いつのまにかあなたに惹かれていたと言う、切々とした彼のまじめな訴えは、不思議なことになかなかマニアックな視点で、気持ち悪いけど面白い人だなあと感心。
その後、ネリのマンションで電話する彼女の後ろのソファにくつろぐ彼の姿を見つけたときには、「うそっ!」と叫んでしまいました。気持ち悪いって言っていたのに。でも、なんとなくわかる気も・・・。
一歩まちがうときわどい昼ドラになってしまうのを、見ごたえのあるドラマにしていたのは、やはりアラフォーというテーマが4人の登場人物を通じてリアルに描かれていた、その視点の確かさゆえなのでしょう。
大石静の書いた小説の方は、ドラマとはまた違ったものらしいので、そちらにも興味をひかれていて、機会があったら読んでみたいと思っています。