文章で出会う魅力 | 甲羅に似せて

甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

また買ってしまいました、「炎上DVD」と「CIRCUS」。立ち読みでもいい気がするのですが、文章で出会う井上さんは、何故か視覚よりもイメージしやすくて、魅力的に感じます。時々開いては読み返すのも、また楽しい。


「炎上DVD」の方は、映画「ウォーターホース」を、主人公がメガネをかけていないだけで、完全に「のび太の恐竜」だと言い切り、子どもの頃、ヒヨコにかえそうと卵を温めた経験を語る井上さん。


卵、私も温めようとして親に止められた記憶があるなぁ。井上さんの小さい頃の話は、聞きながらいろいろ物思いに耽ってしまいます。映画に関しては、魅力を紹介しながら、そっと批評もこめているのが井上さんらしい。


毎月読みながら思うのですが、この独特の言葉遊びのような文章の面白さは宝島と共通だなと。

ブログを書きながら、ここで消耗してしまっては、仕事にまわす分がなくなることに、あるとき気づいてしまったのかもと思います。私が愛読している作家さんが、「小説の題材を書いてしまうので、これからはエッセイを控えようと思う。」とどこかに書いているのを読んで、その人のエッセイのファンだった私は残念に思いましたが、そういうことってあるかもしれないなと思います。


「懊悩株式会社」の方は、しょっぱなから男性誌らしく性の悩みだったので内容は省略ですが、河本さん担当のお悩みなのに、井上さんの方が含蓄のある言葉を寄せていて、ふぅんと思いました。

「価値観というのは話し合って歩み寄るものではない。」

「水商売の女性に偏見を持つのはお笑い芸人に対してバカやっているだけで楽しそう、って言う人と同じ。まずはやってみたらと言いたい。」


最初のは、経験的にそう思ったということなんでしょうね。短い言葉ながら、深いなあ。

2つ目のは、職業で人を差別しない考え方に、井上さんらしい優しさと公平さを感じたのと、お笑いに対する偏見に腹立たしい思いをしたこともあったんだなぁと知った事。


経験からたぐり寄せた考え方や価値観は、何気ない言葉の中にふと出てきて、きらっと瞬間輝くものなんですね。日本中で発売されているこの雑誌の、ひと月で消えてしまうたった1ページの中の、こんな言葉に出会った偶然にため息。


カツゼツが悪くて悩んでいるお悩みには、「それが欠点だと自分では思っているかもしれないけど、それが自分の長所であり、武器にもなる。」と言う、次課長の2人。

そういう考え方、いいですね。

思えば、お笑いの世界も、コンプレックスをネタに変えて、それが武器になっている人がたくさんいますね。そういう長所の方が、顔がきれいとか、頭がいいということより人間くさくて魅力的な気がします。


「ジャッキー・チェンに会いたくてこの世界に入ったけど、もう夢がかなったから、夢がない。」と、かつて井上さんが言っているのを聞いて、この人は河本さんに誘われなければ、お笑いの世界には無縁のひとだったんだろうかと思ったことがありましたが、この頃は、やはり入るべくして、お笑いの世界に入った人なんだなと感じることが多いです。


いろんな人がいて、どんなに変わっていても個性的でも自分の居場所がある、そして自分らしさが生かせるこの場所は、井上さんにベストマッチだなと、そして井上さんの隣りには河本さん。当たり前のようでいて、奇跡的な取り合わせですね。