一期一泳 | 甲羅に似せて

甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

日本選手権が昨日で終わって、競泳のオリンピック出場者が決まりましたね。


派遣標準記録を切って2位までという、はっきりした基準があってわかりやすかったけれど、派遣標準記録が厳しかったのと、2位争いで、熾烈なドラマがあって、五輪への道は厳しいなあと感じました。


北島康介選手のキックして体が伸びた姿勢の長さと、スーッと進む速さが、際立っていました。スタートとターンもうまくて、水から浮き上がってきた時にまた差がついて、素人目にも、完成された泳ぎだなあとみとれます。


試合後のインタビューの口調や表情から、アテネのときからずいぶん大人になった印象を受けました。なかなか自己ベストが出なくて、成長しているのか自信がなかった時期を乗り越え、「記録がぼくの背中を押してくれる。」と言う、北島選手の言葉の重みに心打たれました。


柴田亜衣選手は、やっと800mで北京への切符を手にしましたが、腰痛からフォームが乱れて、まだ本調子ではないようです。決勝でも、息継ぎで頭の軸がブレるのを直しながら泳いだそうです。

毎日泳ぎこんで、決まったフォームを体が覚えているはずでも、緊張や体の不調で、わずかにフォームが乱れて記録に響くという所が、繊細なスポーツだと思います。

頭のてっぺんからつま先まで、焼き鳥のように一本の串が突き刺さっているようにイメージして泳ぐように教えられるのですが、自分のくせが出てしまって、簡単なようで難しい事です。


200m背泳ぎで優勝した、入江陵介選手の泳ぎは、軸がぶれなくて、とてもきれいな泳ぎでした。以前にテレビの番組で取材されていた時、おでこに500mlの水の入ったペットボトルをたてて背泳ぎしていましたが、頭の位置がぶれないのでペットボトルが全然倒れなくてびっくりしましたが、今回の泳ぐ様子を見ても、顔だけ静止画像のように止まっているように見えるくらい、頭の位置が変わらないきれいな泳ぎでした。

ピアノがうまかったり、顔立ちも整っていて女性ファンが多そうですが、声変わりしたのかと思うほど高い声とやさしい話し振りは、他のアスリートと少し様子が違って芸術肌な感じがして、こういう人もいるんだと印象に残りました。


指の第一関節の長さが0.1秒だそうですが、零コンマ何秒という戦いの中では、1秒がとても長い時間だというのもすごいことです。ゴールでタッチするにも、腕の長さだけでも大分違います。

100m自由形で優勝した上田春佳選手が、身長177㎝と聞いて、「私と20cmも違う!」と、娘は騒いでおりました。


五輪選考がかかっているだけに、試合前の選手の緊張した表情、北京への切符を手にした弾けるような笑顔、わずかに届かずうなだれる様子と、勝負を賭けてきている選手達の気持ちが、見ている方にも痛いほど伝わってくる大会でした。


がんばって報われた人達にとっては文句なくすばらしい瞬間だったけど、がんばったけれどわずかに及ばなかった選手にも、大きな拍手を送りたい気持ちです。


そして、オリンピック出場を決めた選手達も、またこれから、プレッシャーと緊張との戦いの日々が始まるんですね。才能と努力だけでは足りなくて、どれだけメダルを取りたいと強く願うかが、勝負の分かれ目のような気がします。


どうか、オリンピックでも、日本の選手達が、がんばった力を残らず出せる戦いが出来ますように。