ちりとてちん 3/6,7 | 甲羅に似せて

甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

 胃液があわ立つ事の多い今日この頃、「どねしよー。」とたまにつぶやきながら、日々が過ぎていきます。


 さて、同じような格好で居酒屋でビールを酌み交わす小次郎さんと正平君。ビールなんか飲む年頃になったのね。小次郎さんは正平君の塗り箸で儲ける事、まだあきらめていなかったんですね。

 引っ張るので気になっていた「はてなの茶碗」の続きの再現ドラマスタートです。


 ちゃきんさんが買い受けたお茶が漏る茶碗は、お公家さんの間で大流行、時の帝のお手も触れ、値打ち物になって返って来て、鴻池さんが千両で買い受けます。


 正平君の箸は誰かの手に渡ったら、新たな展開が待っているんでしょうか。


 並べて敷いた布団の上で、小草若さんが「はてなの茶碗」の稽古をしているのを、四草さんがうんざりした顔で見ています。そこに九官鳥の「下手くそ!やめてまえ。」の声が(笑)。平兵衛の声は、いつも、なんだか四草さんの心の声みたいですね。

 草々さんと比べられないようにと「はてな~」を選ぶ小草若さんのせこい算段を、四草さんは鋭く指摘します。

 この2人が布団を並べて寝ているなんて、笑ってしまいます。不思議な取り合わせですが、正反対の2人だからこそ、足りない部分を補ったり、教わったりできるのかなあとも思います。

 何かしら、納得のできる形で、落語会に臨めるといいのですが。


 喜代美ちゃんがアパートで木曽山君の着物を縫ってるいる周りには、奈津子さん、菊江さん、咲さんと、くせのある女性が集まっていて、妙になじんだように正平君が混じっているのがおかしいです。

 不器用なのに自分で縫ってあげようという、喜代美ちゃんの気持ちがいいなあ。その優しさが木曽山くんに通じればいいけど。


 小浜では、正典さんの作業場に清海ちゃんが来ています。木曽山君の初高座祝いに頼んでいた塗り箸を、正典さんが丁度作っていたときでした。厳しい修行もいろんな思いも、塗り重ねたものだけが塗り箸のように浮き上がって自分の中に出てくる、それを箸を見るたびに思い出してほしいという喜代美ちゃんの思いを正典さんから聞いて、清海ちゃんはなにか感じるものがあったようです。


 一方寝床では、木曽山君の芸名は何がいいか、いつものメンバーが集まって話しています。「草」をつけただけでは徒然亭と区別がつかないしと話していると、木曽山君が思いつめたように、「今度の落語会には出られません。」と言って出て行ってしまいます。


 追いかけていって喜代美ちゃんがわけを尋ねると、「高座に上がるのが怖い。落研というのもネタが15~6あるというのも嘘だった。」と言います。草々さんさんたちが入ってくると、「まだ高座に上がるのは早いと思います。」と木曽山君。「失敗したっていいんだから。」と喜代美ちゃんは励まします。


 別の日、喜代美ちゃんの所に来てうそくさいと怪しがる奈津子さん。一方、「目を見ればうそかどうかわかる。」とおかみさんモードにひたっている喜代美ちゃん。それを大きな勘違いと言い放つナレーション(笑)。


 天狗座では、どこから聞きつけたのか、小草若さんが「はてなの茶碗」をかけることを聞きつけ、鞍馬会長はぜひ聴きにいくと言います。「散髪屋組合の会ですから。」と、あまり小草若さんは観に来てほしくなさそうです。


 磯七さんは、落語会が終わったら、具合の悪いお姉さんと旦那さんの面倒をみるために、大阪を離れると、いつものメンバーに話します。上方落語が気軽に観られなくなる事がほんとに淋しいという磯七さんの言葉は、草々さんや喜代美ちゃんにとっては、ことの他、心に響く言葉だったでしょうね。


 そんな話を聞いたすぐあとに、木曽山君が縁側で正平君に話していた、落語会に出たくないほんとの理由は、「初高座が散髪屋組合の落語会なんてショボくて嫌だ。散髪屋に何故初高座を決められなければならないんだ。」ということでした。


 それを聞いてしまった草々さんは、木曽山君になぐりかかり、正平君に止められますが、喜代美ちゃんが変わりに平手で頬をたたいていました。

 手を引っ張って磯七さんのところまで連れて行き、「あやまりなさい。」と言いました。

 「落語は、それを愛してくれている人がいて成り立っている。舞台の真ん中にいる者だけが主役だと思ったら大間違いだ。それがわからないようなら、落語なんてやめてしまいなさい。」と喜代美ちゃんは木曽山君に言い放ち、その場を去ります。

 草々さんは、「高座に出るまでの修行がまだできていなかった。」と、土下座して磯七さんに謝ります。

 しまったという顔をしている木曽山君は、今なにを思っているんでしょうか。


 周りの人が、残らず木曽山君の初高座を応援している中での、この発言は相当な衝撃です。人の善意を踏みにじって驚きあわてる姿を見ることに喜びや楽しみを見出すなら、この場所はもう木曽山君のいるべき場所ではないかもしれません。


 草々さんが最初の頃言っていた、「鉄砲勇助のうそは人を楽しい気分にさせる嘘で、お前のは違う。」という言葉が、重い意味を持ってここにきてのしかかってきます。


 うそつきというキャラクターで認知されて、スルーされてきたこの頃の木曽山君ですが、人がいちばん大切にしている事を踏みにじるような悪質な嘘は、一緒にやっていく根っこの所の信頼関係をこわしてしまうのだと気づいてないのだとしたら、精神的に幼すぎるのではないでしょうか。


 それとも、善意の人に対する恨みのようなものがあるのでしょうか。


 今となっては、本当に落語がやりたくて入ってきたのかという所から、疑いの気持ちを持ってしまいます。


 でも、草々さんの弟子になりたくて、あんなに熱心に電話をかけてきたことを思うと、心の底には、真面目な気持ちがあると信じたい気もします。

 これだけ人にうそをついていたら、自分の心にはもっと沢山のうそをついて、何が本当のの気持ちなのか、わからなくなっているんじゃないでしょうか。

 そういう、生き方の1番基本的なところから教えなければならないとしたら、草々さんと喜代美ちゃんの苦労は大変なものです。


 「おかみさと弟子として、いい関係を作っていきたかったのに。」と嘆く喜代美ちゃんですが、今の木曽山君に必要なのは本気で説教したり怒ったりしてくれる存在だと思います。

 うそのない人生を自分の道で切り開いてきた喜代美ちゃんだからこそ言える、嘘のない心からの言葉。それがきっと木曽山君の心に届くと信じています。


 要領が良くてもうそばっかりの木曽山君と、不器用でも自分に嘘をつかずに生きてきた喜代美ちゃんは、なんて対照的なんだろうかと思います。