ちりとてちん 2/6 | 甲羅に似せて

甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

 師匠のおかみさんが亡くなった時、師匠は何をしていたのか、ずっと疑問でした。女性問題だと思って小草若さんは師匠を恨んでいましたが、今日の兄弟子達の話で、このとき師匠は、常打ち小屋のことで奔走していたことがわかりました。。

 この一件が、ファイナンシャルプランナーに銀行から借りたお金を持ち逃げされ、鞍馬会長に借金を肩代わりしてもらった挙句、高座をすっぽかした後の、酒びたりの日々に繋がるとは・・・。喜代美ちゃんと出会った頃の師匠は踏んだり蹴ったりのどん底状態だったんですね。


 部屋に戻った師匠を追いかけるように部屋に入った糸子さんは、意を決して入院してくださいと頭を下げます。「考えることから逃げるようにいろんな用事を作って、ほんとは怖いんでしょう?」と訊ねる糸子さんの洞察力に、参ったという顔で師匠は胸のうちを語ります。

 「地獄八景」のネタを語り聞かせながら、昔の人が考えた地獄は楽しいところで、どうしてか今ならわかるという師匠。「そう思わなかったら、まともに向き合ったら怖くて怖くて・・・みっともない男と思いますか?」と聞く師匠に「いいえ。」と答える糸子さん。「陽気なお囃子に送られて、地獄までの道中笑って過ごしたい。思い残すことのないようにしたいんです。」


 こうして言葉にして聞くと、一つ一つの言葉が胸に突き刺さるようです。落語家にとって落語は、学んでいくものと同時に、今自分が向き合わなくてはならないテーマと関わりの深いものを選ぶことによって、自分に引き寄せて身につけていくものなんですね。仕事であると同時に、自分を見つめなおすために、なくてはならないものなのかもしれません。そうやって落語を自分のものにしてきた師匠だからこそ、ひとりひとりの弟子達に、あんなに的確で心に残るアドバイスが出来たんだと思います、


 場面は変わって寝床で徒然亭のメンバーが常打ち小屋について話しています。個人芸と言われる落語も語り伝えるという意味では、聴いてくれて笑ってくれるお客さんがいて成り立っている。そういう落語の発信基地としての常打ち小屋というのは、上方落語に携わる者の悲願なんですね。


 ここで喜代美ちゃんは、語り伝える落語なのに、なぜ自分だけに創作落語をやれというのか、器用なことができる人間ではないとわかっているはずなのに、見放されたのでは?と落ち込んで話します。

 「自分のことばかり考えてると思うのは自意識過剰だ。」という四草さん。久しぶりの冷酷な突っ込み、さすがです。髪をオールバックにしてちょっと老けた感じになりましたが、きれいな目をしていますね。「師匠はもっと先を見ている気がする。」と言ったの草原さん。さすが1番弟子、師匠のことわかっています。


 師匠は鞍馬会長のところに出向いて、説得に当たります。案の定、会長は儲からないことのためには動かない様子です。そんな会長に、師匠は自宅を売って資金を調達することまで考えているようです。

 芸術一筋の師匠と違って、鞍馬会長はほんとに経営者ですね。儲かるかどうかということを常に考えていてこういう人も必要だなとは思います。会長なりに考えた提案は、女性落語家の若狭と師匠で師弟落語会を開いて話題づくりをしたらどうかというものでした。それが注目され再び落語ブームが起これば、その時は常打ち小屋のことを考えようとは、なるほど目の付け所が違いますね。

 でも、今の師匠にはそんな長い時間は残されていないことを考えると、じれったい気もします。


 師弟落語会のことを喜代美ちゃんと草々さんの前で話した後、再び創作落語をやれという師匠に、喜代美ちゃんはとまどって、「私に落語をやめさせたいんですか?」と食ってかかります。

 そんな彼女に、師匠は、「落語を続けさせたいんや。女が男のまねをして古典をやるだけでは生き残って行けない。生き残るすべを教えてやりたいんや。」と、自分の思いを話します。


 そこまで言うとお腹を押さえて苦しみ出す師匠。


 死の影は確実に師匠をとらえているようです。弟子達にいろいろな思いを託しながら、師匠はこの後、どうなるんでしょうか。常打ち小屋を作るという悲願は・・・?いろいろ思いをめぐらせながら、次回を待ちます。