今年一番心に沁みた曲 | 甲羅に似せて

甲羅に似せて

蟹は甲羅に似せて穴を掘るそうです。私も日々の想いを
蟹が穴を掘るように綴っていけたら・・・。

ブログネタ:2007年 一番聞いた曲 参加中

 秋川雅史さんの「千の風になって」でしょうか。
 
 去年の紅白歌合戦は、目玉がないとか言われてましたけど、この歌は、歌詞がすっと心の中に入ってきて、情景が目の前に広がる、印象的な歌でした。
 まさか、こんなにヒットするとは思いませんでしたが、そういう意味では、紅白という、多くの人が見る番組でこういう歌を取り上げたNHKに、ちょっと拍手を送りたい気分です。

 大切な人を失った人には特に心に沁みる歌だろうなあと、今年に入って周りの人が、お父さんを亡くしたりご主人を亡くしたりといった、身近な人の死と、残された人の悲しみをまのあたりにすることが続いたので、この歌を思い浮かべることが多かったのです。

 それでも、それはある意味、他人事だったわけですが、自分の母を亡くした後この歌を聴いて、前とは違う感慨を持ってこの曲を聴いている自分がいました。
 亡くなった人が、もう何も考えることは出来なくなってしまったんだけど、どんな心残りがあったんだろうとか、ほんとはこんなに早く死にたくはなかったんでしょうとか、もう会話が出来ないのに、「どんな気持ちなの?」といつも心の中で話しかけている自分がいるのですが、何の答えも得られなくて、切ない気持ちでいたんです。
 
 この歌は、死んだ人が残された人に語りかける形になっているので、そういうあてのない問いかけに対する答えを聴いている気がして、とても心が癒されます。しかも、冷たいお墓の中ではなく、風になったり、鳥になったり、夜には星になったり、自然の中で自由にしている様子を思い描くことが出来るので、死んだことを痛々しく感じなくていいんです。

 歌っている人があまり感傷的な歌い方をしない所もいいですし、この歌の歌詞は、アメリカのテロの後、大切な人を失って傷ついた人々の心を癒した詩に、日本人が歌詞をつけたものだということは知っていたのですが、その詩がどうやって生まれたのかを最近知って、また新たな感動がありました。

 アメリカ人のメリー・フライという人が、悲しむ友人を慰めるために書いた詩なのだそうです。
 その友人はユダヤ人で、ドイツから来たのですが、具合が悪く老いた母をドイツへ残して来ていて、消息を探していた所、亡くなったという知らせを受けて、「自分はお墓の前で母にさよならも言うことが出来ない。」と、ひどく悲しんで泣いてばかりいたそうです。当時、ユダヤ人への迫害がひどくなって、ドイツへ帰ることができなかったんです。
 メリーという人は、友人のそんな様子を見て、買い物から帰ってきた紙袋を破いて、詩を書き綴り、「私はこう思う。」と友人に渡したそうです。
 友人はそれをとても喜んで以後嘆き悲しむことがなくなったそうです。

 そんなエピソードも思い出しながら聴くと、やっぱり今年の歌はこれだなあと改めて思います。