第一志望校探しは、まさかの振り出しに戻った


気が付けば、残された時間は1ヶ月もなかった


しかもその間に東京理科大学と慶應義塾大学の受験が挟まる


この2校については、正直言ってほぼノー対策

 

いくら併願校とは言え、ノー対策で本番を迎えるのはあまりにも危険すぎる

 

この2校の対策時間と本番入試日を考慮しても、最低一週間の時間は費やしてしまう


となると、新たな第一志望国立校に割ける過去問対策の時間はせいぜい3週間ちょっと


これはもう精神論だけではどうにもならない局面だった

 


だから、志望校選びの優先順位をはっきりさせた


1つ目:国語がないこと(国語があるのは、東大と京大だけ)
2つ目:問題との相性が良いこと
3つ目:たとえ浪人しても、もう一度挑戦したいと思える大学であること


この3つを条件に、塾の先生に相談した

 

場所は考慮しなかった、いやそんな場所を選べる程の余裕はなかった


そして、先生がすすめてくれた大学は正直ノーマークの学校であった


半信半疑でその大学の過去問を解いてみた娘がぽつりとこう言った


「……なんか、東大より解きやすい」


その一言で、ずっと張り詰めていた空気が変わった


もともと苦手だった国語がなくなったことで、娘の肩から目に見えて重たいものが下ろされたのが分かった


「ここにする」


理屈ではなく、直感だった


でも私はその直感を信じようと思った


文字通りの『特攻』であった


それでも、娘が自分自身で選んだ道だった

 


私はすぐに高校の担任の先生へ連絡した

 

突然の志望校変更の報告であったが、担任の先生は慣れた感じで、「辞めた方がいい」とか「志望校を下げろ」などと言う事なく

「あっ、そうなんですね。」と事情を深入りする事なく、淡々と対応してくださった

 

調査書を新しい大学名で書き直していただき、ギリギリで出願にこぎつけた


そこから先はもう一直線だった


真新しい赤本と向き合う日々


本番まで1日15時間近く勉強していたと記憶している


賽は投げられた


ここまできたら今までの積み上げと、娘の直感を信じるしかない


でも、不思議と不安よりも——娘はワクワクしながら過去問を解いていた


私は知っている


昔から娘はワクワクすると強かった


東大の過去問を解いていた時には見せなかった表情


手応えを確かに感じている顔


ああ、これは戦えるかもしれない


結果がどうであれ、この選択をしたこと自体が、娘にとって「大きな一歩」だったのだと信じるしかなかった