オンリーワン・ロンリーワン | ・・ 夢と現の朧なる ・・

やりたい事があって、


叶えたい夢があって、


それは会社勤めで詰めているだけじゃ決して成就しない。




それが分かっていたから、大学を卒業するとき就職活動も就職もしなかった。


それどころか、本当は大学にだって通う必要は無かった。


だけど自分の人生、自分だけのものではなくて、共有しなければならない家族・友達・仲間が居るから「常識」という言葉に縛られて大学に通った。



大学に行ったことは後悔していない。



そこで新たに出会ったひと・もの・ことに大きな影響を受けて、その後の私の人生を変えたのは確かだし、自分のしてきたことに無駄なことは無いっていうのは本当だと思っている。


どんな寄り道も、どんな風景も、積み重なって今の自分があることに後悔は無い。




ただし、何をするにもこの世はお金というものが無ければ思う通りに動けないことがある。


お金の為に時間を費やすのは本意ではないが、先立つものが無ければ願い事を叶える為の足場も作れない。



大学を卒業してからアレコレあって、自分の『居場所』として落ち着いた場所のひとつが会社だった。


やりたいことを優先的にやって、夢を叶える為の時間を確保しながらの、合間のお勤め。




最初は愛着も興味も何も無く、ただ時間内に労働力を提供することで、報酬を得ているだけの感覚。


それが時間を重ねるにつれ、愛着が沸いてきて報酬に見合った成果が出せているか考えるようになる。


そして会社は年月と共に変化して、私が最初に愛着を持った企業とは違う姿に変貌した。



私の仕事は『対 お客様』の部門だから、出来る限り『WIN-WIN』な関係になることを願う部門とも言える。


だがしかし、変貌した会社は自分の一人勝ちの為なら何者をも蹴落とす独善主義。


手を差し伸べるとしたら、それは妄信的な信者とも言える顧客に限られる。


どっぷりと自分色に染まった顧客にしか優遇しない。




堪り兼ねて辞めてしまった。


会社にとって、長年在籍してあらゆるノウハウを持つ私の脳ミソを手放すことは惜しかったようだが、脳ミソの中に入っているのは所詮蓄積されたデータに過ぎない。


全て可視化して資料として残せば私と言う人間は不要だ。


幸いなことに、会社は私の脳ミソに入っていたデータの有効的な扱い方までは要求してこなかった。


どうせ今頃、そのデータだって過去の遺物としてどこかに埋もれているに違いない。


その会社を辞めて以降、会社勤めに疲れて暫く社会人を辞めていた。




どんな会社だって、どんな仕事だって、大勢が集まっている場所には一人ひとり役目があるけれど、その人が一人居なくなったことで傾いたり潰れるような会社は稀だし、そんな人も稀だろう。


世の中、大抵なんとかなるものなのだ。


その中で、自分が何になりたいか。


何をしたいのか。




社会人を辞めて、自分のやりたい事にだけ集中して、少し落ち着いてきたので、春先から肩慣らしに社会人復帰した。


週五日フルタイムなんて到底やる気にもなれなかったから、日数も時間も極力少ない、バイトみたいなお仕事の社会人。


学生バイトよりも勤務時間が短い社会人。


そのお仕事も今月いっぱいでおしまい。


来月からは、もう少し社会人らしいお仕事に変わる。




そこまで決まっていた矢先に、人手の足りない緊急の案件が発生して、SOSを求められた。


先ず最初に、人手が足りないから助けて欲しいと言われた。


お世話になったし、信頼もしている上司から言われたら、それは出来る限りの事はしたいと思う。


ただし、来月から予定していた仕事に入るのが、延期出来たらのお話。


それが可能だったとして、どんな業務なのか確かめたら、私が辞めた会社と浅からぬ関係のあるお仕事だった。


また、エンドユーザーの声を無視する横暴な仕事に違いない。


自分たちの都合に合わせて顧客を振り回すに違いない。




「ひどいことになっているんでしょうね」



思わず口からこぼれた言葉に、上司は深く頷いていた。



「わかる?そうなのよ」




仮に私が人手のひとつとして出向いたとして、関わるのは1ヶ月弱だ。


心身に支障を来たすほどの長期ではない。


しかも、まだこの話が確定した訳でも無い。


だが、そんな話を聞かされただけでも心が危険信号を灯しているようで、胸が塞がってしまったような感覚になる。




私には、会社勤めは向いていないんだと、つくづく思わされた。


人手のひとつ、コマとして扱われて、そこには関わる人からの信頼や期待があってのことだとしても、会社という存在が私には合わないのだろう。


辞めた会社だって、仲間のことが大切だと思ったし好きだった。


直接の仕事の内容そのものも、嫌いではなかった。


遣り甲斐は充分過ぎるほどにあった。



それでも、会社の方針に自分を預けられなければ、どうにもならないのだ。



会社の選び方が悪いと言われてしまえばそれまでだろうが、そこまでして選んでも、人と同じで会社も変わる。


しかも、人間一人を相手にするのとは違って、会社そのものには意見をぶつけたり分かり合うというコミュニケーションの手段が存在しない。


そんな厄介な場所に、頑固で不器用な私は長くは居られないのだ。




そうやって突き詰めていくと、自分がやりたいことはオンリーワンなんだということ。


やりたいこと、叶えたい夢、それは確かにオンリーワンの自分にしか出来ないんだということ。




そしてオンリーワンの自分になる為には、ロンリーワンになることも余儀なくされるということ。


たくさんの助けを借りて、仲間に囲まれて、一人じゃなかったとしても、精神的にはロンリーワンでなければ貫けないこともあるだろうということ。




なんだか、そんなことばかりをぐるぐる考えてしまって、今夜は眠れそうもない。