傘 | ・・ 夢と現の朧なる ・・

4年間お世話になった、折り畳み式の日傘。



日傘としての役目は勿論、


突然の夕立にも一緒に立ち向かってくれた、毎年4月から9月までの私の相棒。



降水確率 0% の時にしか使わない、大事な大事な一張羅のパラソルとは違って、


ほぼ毎日のように出動させていた相棒。



それが、今年になって改めて開くと、風雨に晒されたり日に焼けたりして色落ちしていることに気付いた。


黒い日傘なのに、赤みがかった黒に変色している。



手放すのは残念だけど、このままじゃみっともない。



気付くといてもたっても居られなくなって、折り畳み式の日傘を探し回る為にデパートを始めとする傘売り場のある店舗を片っ端からはしごした。


明るくて暑い季節を毎日のように、何年も一緒に付き合っていく相棒なんだから、選ぶことに手は抜かない。


足が棒のようになるまで何時間も吟味を重ねて、ようやく決めた一本。




シンプルなデザインの中に、ちゃんとしたこだわりのある一本。




太陽の下で広げて初めて、その日傘のお仕事が始まる。


どんなに眩しい陽射しでも、繊細なレースが透けて浮かび上がるシルエットは見ていて幸せな気分になれる。


幸せな気分になれると、足取りも軽くなる。


どんなに暑くて強い陽射しの下でも、日傘に見合った自分を演出したくなる。




日傘はただの日除けなだけじゃない。


紫外線からお肌を守るだけじゃない。


心に潤いを与えてくれる、大事なアイテム。


そこからたくさんのイマジネイションが広がる、不思議なアイテム。


それは日傘をさす私に限ったことじゃない。



私が日傘に見合った自分を演出したくなるように。



向こう側から日傘をさして、綺麗なお洋服を着て、しゃなりしゃなりと歩く女性がやって来たら、


その傘に隠された顔が一体どんなものなのか、


ちょっと覗いてみたくなる人が居るはず。




だって人は、隠されたものを暴きたくものでしょう?




そんな夢を見させてくれる、日傘は素敵なアイテム。


残念なのは、日傘の中を覗いた後のことにまで、責任を取れないこと。



せめて私に出来るのは、前向きな気持ちで顔を上げて歩くこと。




今日から梅雨入り。


次にお日様の下で顔を上げて歩く日は、いつになるのかな。