最近、無料体験授業について考えることが多い。
本来有料の授業が無料になるわけだから、当然、人件費やテキスト代といったコストが余分にかかる。
しかし、クラス授業で、年度替わりにガラガラになった教室を埋めるような場合は、長い期間の無料体験を行ってもロス(損失)にはならない。
以下に無料体験のパターンを並べてみることにする。
【クラス授業編】
●週に1日無料
●1週間無料(もっとも多いのではなかろうか)
●2週間無料(次に多いのではなかろうか)
●1ヶ月無料(講習期間などの特別キャンペーンに多い)
●2ヶ月以上の無料(新規開校などレアなケース)
【個別指導編】
●1科目1コマずつ無料
●2科目1コマずつ無料
(英・数を受講できるこのパターンが多いのではなかろうか)
●3科目1回ずつ無料
●1科目4回無料(講習期間などの特別キャンペーンに多い)
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レアなケースでは教材費という名目で1回500円を徴収したり、無料体験自体を行わない塾もある。
僕はあいまいなものが嫌いなので、異業種における「特売効果」というものから無料体験の期間の数値化を試みた。
「無料体験工学」と勝手に呼んでいる。
顧客単価やターゲットの顧客層、競合の数などの影響を除けば、おおよそ適切な無料体験の期間は測定できる。
まず、私の塾での実験結果と異業種の特売効果から計算すると、
1ヶ月の無料体験を行うと、新規顧客の純増は1.2~1.5倍となる。
その数値をもとにシュミレーションを9パターン行った。
結果としては、1ヶ月の無料体験を年に3回行うのがもっとも収益改善に望ましいことがわかった。(受験生は無料体験の対象外)
春・夏・冬のように3回に分散させて行うのが望ましい。
そうしないと1年中無料のイメージがついてしまい特売効果が薄れるからだ。
これはクラス授業だけでなく、個別指導でも有効である。
もちろんクラス授業で席が空いている状況下では、より積極的に行う必要さえある。
ただし、塾の単価(月謝)が競合よりも著しく高い、あるいは著しく安い場合は、1回あるいは2回にとどめることをすすめる。
あえて顧客層を絞って高価格に設定している場合は、長い期間の無料体験はブランドを損ねる場合があるので、やらないほうがよいかもしれない。
なぜ長期間の無料体験を敬遠するのかと言うと「目の前の損失」にばかり目がいくからだ。
塾の形態にもよるだろうが、学習塾は平均1~2年通う会員制サービスである。
長期的なファイナンスの視点を持てば、いずれ「もと」がとれることは自明のことである。
一時の損失、それに伴う負の感情から自由になることだ。
それでも踏ん切りがつかないようであれば、
クラス授業であれば「2週間の無料」、個別指導であれば「2科目(英・数)2コマの無料」を年間のベースとして取り入れてみたらいかがだろうか。
新しいサービスで生徒を集めている、あるいは地域に競合塾がない、そのような場合は無料体験に力を入れる必要はないかもしれない。
しかし、競合が複数あり、サービスによほどの差別化要因がなければ、競争をせざるをえないのである。
その場合の競争とは「価格競争」に他ならない。
授業料を見直す前に、無料体験を見直すほうが簡単であるし、収益を改善する効果が高いということを最後に述べておく。