昔は高いところが好きだった。

いや、今も好きかな。

高層ビルから見渡す景色は気持ちよいし、山道の渓谷にかかる吊り橋もまったく平気。

高所恐怖症なんてまるで無縁だと思っていた。

数年前までのことだ。
ある日突然それは訪れた。


生まれて間もない子どもを抱いて、マンションの外通路を歩いているときだった。

もしここから落ちたら・・・ふとそんな思いが脳裏を駆け巡った一瞬、足がすくんだ。


以来、ずっと付きまとっている。


高所と言うにははばかる程度の高さでも身がすくむこともある。

いつもずっとというわけでもない。

高さを意識した瞬間、突然やってくる。

そしてしばらくするとそれは過ぎ去っていく。


わが身に起こる恐怖として感じたことはそれまでほとんどなかった。

わが子に起こる恐怖を意識した途端唐突に訪れる。


以前活動のなかで障害を持つ子の親から相談を受けている時、相手の気持ちを想像しその立場になって考え、理解しようと心がけていた。それはいまでも実践しているつもりでいる。


ただ少しだけ以前と感じ方が変わった。